10万円を越すが その価値が十分あるロボット掃除機、iRobot社『ルンバ i7+』
iRobot社が、ルンバe5で、5万円を切り、ロボット掃除機の門戸を大きく開いたのは昨年の秋でした。これと真逆の、フラッグシップが『ルンバ i7』と『ルンバ i7+』。このルンバ、iRobot社の創始者であり、CEOのコリン・アングル氏が、「私はこのルンバを目指していた。」と言い切ったモノです。どこがそんなにスゴいのか、3週間の使用体験を交えてレポートします。
■コンセプトは「床掃除があること自体を忘れられる」こと
私は、ルンバ980を使っています。時間が来ると、さっさか掃除。人間と違って面倒臭がらずに部屋の隅々までキレイにしてくれます。取っても重宝。
基本的に「床にモノを置いてはダメ」というところはあるにせよ、毎日掃除してくれるのはとても助かります。手入れは週一、ダストボックスからゴミを出すことです。この掃除機メンテナンスは「燃えるゴミの日」と決めていますので、忘れることもありません。
まぁ面倒と言えば、面倒なのですが・・・。
しかし、iRobot社のCEO コリン・アングル氏の発言は、こんな私に痛烈に響きました。その発言は「床掃除があること自体を忘れられるのが、理想のロボット掃除機なのだ!」
CEOがここまで明確に「掃除は意識しないのが正しい」と聞いたのは初めてですし、だからこそ、ルンバは他のロボット掃除機の追従を全く許さないレベルの完成度なんだということが、直感的に分かりました。
■「i7+」は、何が違うのか?
「i7+」が今までのルンバと違うのは大きく2点です。
1つめは、自分が作ったマップを覚える機能が付いたこと。2つめは、ゴミをクリーンベース(タワー型の充電器/ゴミ吸い取り器)の紙パックに溜め込むことができる様になったことです。
1つめですが、私のルンバ980は、マッピング機能を持っています。このため、それまでのルンバのように1点4回掃除(多方向から掃除することにより、ゴミを確実にとる方法)をランダムにするのではなく、人が掃除するかのように、秩序だった掃除をします。
このマップが覚えられるようになった場合、どうなるのでしょうか?単純に言うと無駄な動きをしなくなり、「時短」化します。テストしたときは、20分の掃除時間が、マップ作成後は12分になったのですから、その効果は大したモノです。
加えて、作成したマップをいくつかのエリアに区切り、名称を付けてやります。例えば「台所」というエリアをマップ上に作ったとします、そして、AIスピーカーに「ルンバ、「台所」を掃除して!」と言うと、ルンバは台所に一直線に向かい掃除を始めます。
今まで、ロボット掃除機は、隅から隅まで掃除するので時間がかかっていたわけですが、これだと「ちょちょいの、チョイ!」汚れたところだけ掃除することが可能になったわけです。掃除して欲しいときに、掃除して欲しいところだけ、掃除することもありです。
2つめは、分かりやすいですね。今まで週一で行っていたゴミ捨てを長期に渡りしなくてもイイ様になったわけです。そしてこれには、より付随してプラスなことがあります。それは、ゴミ捨ての時「ハウスダストなどを吸入してしまうことを気にしなくてもよい」ということです。ダストボックスには、ハウスダストなど、体を害するモノが数多く含まれていますが、それを考えなくても良くなったのは取っても楽です。
■スマートマップができるまで
実は、このマップ1回ではできません。人のように上から俯瞰など、小型ドローンを組み込むなどしない限り、できませんから、数回掛かります。
実は、その前に重要なことがあります。「ロボット掃除機に適した部屋」にすることです。と言っても、赤ちゃんが家に来たり、ペットを飼うに初めてすることと変わりません。危ないところをチェックし直すと言うことです。
ロボット掃除機で、一番問題のは、床を這っているケーブルです。これを車輪が巻き込むと、さぁ大変。ロボット掃除機は、全力で脱出しようとします。これは必ず充電タワーのところまで、戻るようにプログラムされているからで、その力は中々強力です。
次にルンバは強くではありませんが、家具などと接触することが前提に設計されています。要するに、モノを押します。軽い家電などだと、移動させたり、ひっくり返したりします。
この2つが悪い形で重なるとどうなるのかが、2019年2月8日 東京消防局から髪票された映像です。ロボット掃除機が、スィッチの入ったままの電気ストーブを押しながらソファーが燃えるところ近くまで移動させるシーンが公開されました。当然、この後、火事です。
赤ちゃんでも、ペットでも、来る前に部屋を片付けるのは、赤ちゃんやペットが怪我しないこともそうですが、火事のようにあってはならないことを防止するためでもあります。
と言うモノの、難しく考える必要はありません。初回、ルンバの後ろにくっついて行き、良くない所を片付けるだけです。私の場合は、新しく買った無印良品の「ラグ」が軽すぎてNGでした。洗濯ができることを考慮したのですが、ロボット掃除機は考慮しなかったためです。
私のところで作ったスマートマップは、実際の間取りとは少々ちがうように見えますが、ルンバが通れないところは、壁と同じ表示になるためです。ロボット掃除機の動き方を思い浮かべると、かなり納得できるものでした。
■掃除の最後は、大音量! 掃除が終わると、ルンバi7+は、クリーンベースに戻ります。次の瞬間、ビックリするような音がします。そう、掃除機からクリーンベースへゴミを吸い出す音です。掃除しているときよりはるかに大きい音です。
多少汚れては居ますが、問題ないレベルにダストボックスは、カラになります。
■スマートマップが出来上がると、指示ができる。
スマートマップが出来上がると、先ほど話をした通り、時短ができます。
それ以外にも、面白いことができます。それは、ルンバに「××へ行って、掃除をして!」と指示することができるのです。
これは、子供のように、「台所」など家、各部の名称を学ぶわけではなりません。
スマートマップで、エリアと名称を指定してやって初めて出来ることです。
こうなると、ちょっとした掃除が楽になります。AIスピーカーを併用すれば、「台所を掃除して。」と本当に、子供に言うような感じです。
■3週間のテスト結果
その後、本当にテストした3週間、放置していたのですが、全く問題はありません。iRobot社は、紙パックは半年取り替えなくてもOKとしていましたが、今の日本だと、一年位大丈夫でないかと思える位のレベルでした。
あと、自分の家で、掃除を意識しないのはかなり快適です。
■ルンバの17年は、「人手をかけない様にするための時間」
ルンバが世に出てきて、かなりの時間経ちます。
その中で際立っているのは、「人の手を患わさないこと」にこれだけ執着するのかという思いです。
私が「日本メーカーは、ルンバに追いつけないのでは」と思うようになったのは、AeroForceクリーンシステムという特殊ローラーでゴミを浮き上がらせて、吸い取るシステムを出してからです。全くと言っていいほど、髪の毛が絡まないスシテムで、心底驚き、その情熱に打たれたものです。
(下記、関連記事参照)
それも今から考えると、長期に渡り、床掃除を人がしなくて済むシステムを作るためでした。そう、CEO コリン・アングル氏の言う通り、一事が万事、ルンバの技術は、全て、人を床掃除という家事から解放するために作られたものです。ルンバ i7+は、その一つの集大成です。
掃除機に140,270円(税込、オンラインストア価格)は高いように思われるかも知れませんが、ルンバ i7+は、それだけの価値を十分持ちます。なんせ、10分/日でも、3650分=約61時間。年2.5日。6年間使用するとなると、1日という時間を1万円で買うのと同意です。その上、部屋は常にキレイですから。
その意味でも、ルンバ i7+は、ルンバの中でもベストセレクト、お買い得の一つです。
商品のより詳しい情報は、iRobot のホームページにてご確認ください。
http://www.irobot-jp.com
■関連記事 レポート「iRobot、ルンバ880 その1 コンセプトとIQチェック」
レポート「iRobot、ルンバ880 その2 スゴいぞ、新型ローラー!」
#ホームケア #掃除機 #ロボット掃除機 #iRobot #ルンバ #i7+ #アイロボット #生活家電.com
2019年4月15日