シャープの紙パック掃除機『EC-VP510』
シャープの紙パック掃除機『EC-VP510』が発表されました。
スティック型掃除機ではなく、コード有りのキャニスター型です。一時期、サイクロン掃除機により、「絶滅」とも思われた方式ですが、今また、同等レベルまで押し戻してきました。そんな中での発表です。
■紙パック式とサイクロン式 サイクロンシステム。90年代後半から、世界を席巻した掃除機の吸引システムです。それを作り上げた「ダイソン」は一躍世界のスターダムにのし上がりました。
CMでうたわれているように「世界で唯一、吸引力の変わらない掃除機」が効能です。「凄いシステムですが、それはダイソンさんの目から見てのお話で・・・」ということにならず、世界中で大ヒット。ダイソンは売れに売れ、日本でもトップシェア。シャープ、東芝、パナソニック、日立、三菱、など名だたる総合家電メーカーを蹴散らしました。
しかしそれにとって変わられた、紙パック式の未来はないのでしょうか?
紙パック掃除機のポイントは、掃除機本体よりも「紙パック」自体にあります。 サイクロン式が出てくる前の1990年代前半の「紙パック」は、使い捨て=吸引力弱くなったら、どんどん取り替えて欲しい、を競っていました。それを直撃したのが、「バブル崩壊」です。
バブル崩壊により、就職氷河期から始まり、家計は完全緊縮。
日本人は、ランニングコストが掛かるモノを極端に嫌がるようになります。それまで主流だった紙パック掃除機の「紙パック」もその一つです。
もう一つ、理由を挙げるとすると、紙パック掃除機よりサイクロン掃除機の方が、力を入れて作られていたことを上げたいと思います。今までの設計の延長で、それなりに作ることができる紙パックに比べて、サイクロンは完全に新設計。しかもゴミが回るビジュアル付き。設計者だけでなく、デザイナーも腕を振るったでしょうね。
掃除機は、動きがある家電なのですが、紙パック掃除機は、ゴミを覆い隠すため躍動感を表現しにくい。それに対し、サイクロン掃除機はダストボックスを透明にすることにより、躍動感、高揚感を出せるわけです。しかも、模範となるダイソンが、あのビジュアルですからね。ここで品質感に、かなりの差が出るわけです。
しかし、サイクロンもパーフェクトなシステムではありません。
ゴミ捨ての時、剥き出しのゴミを、ダストボックスからゴミ箱に捨てなければなりません。手に触れると汚いです。その上、ゴミ箱に移したとき、「お釣り」をもらうことがあります。そう、アレルゲンなどの軽いゴミが、宙に舞うのです。私のようなアレルギー体質の者は、背が「ぞわっ」とします。
そして今、日本は超高齢者社会。
病気は、弱者を狙います。弱者とは、子供、老人、病弱な人を指しますが、老人、病弱な人が増えるのです。彼らには、アレルゲンの二次汚染がない紙パックの方が楽です。
そんな中、パナソニックが出したのが、Jコンセプトの紙パック掃除機(現行モデルは、MC-JP810G)。紙パック掃除機の、複雑なシステムを持たないという特長を最大限に活かした「軽量化」がポイントでした。テストして自在な掃除できることに感嘆しました。その紙パックは「三層」構造。細かなゴミまで逃さずトラップし、その上、「紙パックが一杯になるまで、あまり吸引力は変わらない」を実現しました。
紙パック式は、こうして復権したわけです。
結果、紙パックは盛り返します。今のキャニスター型では、紙パック:サイクロン=6:4でしょうか、紙パックは手堅く、支持されている方式なのです。
■紙パックは、シャープのコンセプト「軽い」とよく合う シャープの掃除機のコンセプトは「軽い」ことです。
シャープはどちらかというと、シンプルなモノ作りをします。キーワードで見ると分かりやすい。「液晶」「プラズマクラスター」「AIoT」と、その時代広範囲に使える技術を自家薬療中のモノにして、商品化します。
掃除機のコンセプト「軽い」は、紙パック掃除機と極めて合います。
前述の通り、紙パック掃除機は、紙パックがかなりの機能を担うので、シンプルな構造にすることが可能だからです。
本体に、ホース、ヘッドも入れた標準質量:3.4kg。手元質量(手で感じる重さ):400g。実に軽いです。ヘッドを自在に繰り出せるのは何とも気持ちがイイモノです。
手元質量というのは、スティック型掃除機がメインになりつつある今、キャニスター型掃除機の利点と言うことで、しばしば触れられます。多くのメーカーが採用している手持ち式のスティック型掃除機の場合、手元質量は、1.3~1.8kg。このため、手持ち型スティック型掃除機での、長時間の掃除は、結構くたびれます。
それに対し「軽い」というのは大メリットです。
■カーボンパイプ採用の長短 掃除機のパイプ。
この材質は結構難題です。軽さを意識して薄く作ると強度が足りませんし、しっかりした金属素材で作ると、強度はあっても、スゴくコスト高になったりします。
シャープが選んだのは「カーボンパイプ」。シャープは、スティック型掃除機を軽くするときも、カーボンパイプを使っており、採用しやすかったこともあったと思います。これでパイプは強く、軽量になりました。
素材に凝ったシャープですが、このパイプ欠点もあります。それは長さの調整機能がないことです。今回は、女性の平均身長に合わせたということですが、持ってみると男の私(身長:168.5cm)には短く、腰を屈めて掃除機をかける形になります。これは結構辛い。家事分担が今後必須なら、この短所は修正すべきでしょうね。
■シャープ掃除機の魅力 ~スグトルブラシ~ 関西で気がせく人のことを「いらち」と言います。
そのいらちな人でも納得できるのが、「スグトル(直ぐ取る)ブラシ」です。
楽なこともありますが、上手いなぁと思うのはブラシの固さ。ブラシが柔らかいとホコリが纏わり付きますし、固いとゴミが跳ねます。丁度イイ塩梅のブラシです。
■重要な紙パックのスペック 『EC-VP510』用の純正の紙パックは、0.3μmの粉じんを99%キャッチする5層構造です。
多層化は、前述の通り、紙パックの目詰まり対応として取られた手段ですが、コップの破片などの危険物を吸ったとき、破れにくい、そのまま捨てられるなどの利点をもたらします。
そして気になるお値段は、5枚入りで1,200円(税抜)(EC-17PN)。
■紙パックの利点=吸引したモノに触らない 前段で、ガラス片のことを書きましたが、吸い込んだゴミに触らずにすむというのは、紙パック掃除機のメリットです。
今回、シャープは、そのメリットを最大に活かすアタッチメントを用意しました。
それが、「スグトルブラシ」の応用版、玄関用の「スグ換え玄関ブラシ」です。
玄関は何気に汚れています。
が、集合住宅などが増えた今、外に掃き出すというのは許されません。で、出来たのがこれです。
それ以外のアタッチメントは以下の通り。
■何気に便利!「マジックバランス」 私は、スティック型掃除機でも「自立式」を使っています。理由は「自立」するからです。
掃除はいろいろな事態に見舞われます。一番多いのは、荷物をどかすこと。掃除する前に片付けはするのですが、少しばかり片付けなければならないことは、ありがちです。そんな時、掃除機が立てて置けるのは非常に便利です。
これは、キャニスター型でも同じ事。今回の新型はきちんと自立するようにしました。名付けて「マジックバランス」。小技ですが、何気に便利です。
また、次の写真ような、厚みのあるラグの段差も、ノープロブレムな「ラグ超えヘッド」も搭載。
全方向への気配りがなされています。
古いタイプと思われがちな「紙パック」のコード有りキャニスター型掃除機ですが、実は最も実用的な掃除機だったりします。掃除機を買われるとき、是非、検討対象に入れて下さい!
商品のより詳しい情報は、シャープのホームページにてご確認ください。
http://www.sharp.co.jp
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2019年2月14日