ソニーの『Xperia』の美意識
ファーウェイ騒動、アップルの株安が伝えられた2019年1月。
次世代5Gは、各国の思惑が絡み進みが遅くなりそうですし、ジョブス亡きあとのアップルからは新機軸の話しはでてきません。そんな中、個人的に国内メーカーのスマホを再考察してみよう思いと、最初にソニーコミュニケーションズに行き、お話しを聞いてみました。 ■中国人はソニー好き? フランクに話しをしてくれる海外の方がいると、いろいろなモノの見方ができます。欧米の人も面白いですが、中国、韓国の人だとなおさら興味深い話しが聞けます。
私の友だちの中国の彼は20才。当然、黒モノ家電が好きです。中でもPCとスマホは大好きなそうです。
当然、日本のスマホにも興味津々。
「で、どこのが好き?」
「ソニー!」
「シャープは?」
「シャープ??」
中国育ちの彼にとって、シャープブランドは、高級ブランドという意識は薄いようです。理由は、テレビの安売りにあるようです。「性能ではなく、価格で売っている」ので、「スゴい」とは思えないというのです。言外に、シャープは買収できて当然という感じが窺えました。
私は、バブル期、三菱地所が2,200億円でニューヨークのロックフェラーセンターを買った時の衝撃を思い出しました。そして、この時期、エンパイヤステートビルディングも、ホテル火災でも有名なホテルニュージャパンのオーナー:横井英樹氏が4,000億円で買っていました。
双方とも、アメリカを代表する建物です。郊外の土地を売ってもらい工場を建てるのとはわけが違います。ニュースを聞いたとき、私は唖然としました。多分、中国の彼の感覚だと、シャープは郊外の土地、ソニーは著名な建築のような感じなのではないでしょうか。
しかし、昔の、技術で新しい世界を切り開いていたソニーと違い、今のソニーは総合商社のようにも見えます。昔、ソニーの製品なら取りあえず購入というソニーマニアも少なくなりました。しかし、海外ではソニー伝説がまだ息づいている様です。今回はそのソニーのスマホの話しです。
■ソニーのスマホとは何ぞや? スマホが爆発的に普及したのは、常にネットと接続でき、常に携帯できるツールだからです。
情報時代の今、ネットの膨大なデーターを使いこなせると確かに便利です。それに気付いたジョブスがPCの次に来るものとして、作ったスマートフォンが「iPhone」です。爆発的な普及は、皆さんがご承知の通りです。スマホは独特の製品ですが、ベースがモバイルPCにあることはお分かり頂けると思います。
しかし、今のソニーはPC部門を持ちません。ソニーのPC部門であったバイオは、「VAIO」としてソニーから独立しています。PCよりスマホが今ドキ。だからPCは社外に出したという言い方は可能です。しかし、PCとスマホ、根っ子は同じですからね。実際、独立したVAIOはスマホも上市しています。
■SEE MORE, HEAR MORE, FEEL MORE 今、ソニーで有名なモノは、デジカメとテレビ、スマホに携帯オーディオなどです。特に視覚と聴覚に関しては、ずっとやってきています。また、映画会社も傘下にあります。こう書くとピンと来た人も多いと思います。そう、ソニーのスマホの母体は、「テレビ」なのです。
スマホの画面は、細かい文字までピシッと表示しなければなりません。このため解像度を上げます。また写真、動画を見ます。色にもこだわりが要求されます。
ソニーは、この部分を自社のテレビ、ブラビアがそうであるように「快感体験」できるレベルに上げたのです。手のひらの中の高性能テレビ。昔、ポータブルTVなどを作っていたソニーが、スマホの形を借りて、小型の高性能テレビを作っているようなものです。Xperiaは、正しくあの「ブラビア」の血統なのです。
実際、NETFLIXなどで配信される高画質コンテンツを映すと一目瞭然。引き込まれます。OLED(有機EL)パネル、HDR(ハイダイナミックレンジ)などを使っているのは他社と同じですが、その洗練度が桁違いなのです。特に夜間シーンは魅力的です。
元々ソニーのスマホのペットネーム「Xperia(エクスペリア)」は、「experience(体験)」とラテン語で場所を示す接尾語「ia」を合わせた造語で、「体験する場所」という意味だそうです。良質なソフトさえあれば、素晴らしい映像体験ができると言うわけです。
海外のキャッチコピーは「SEE MORE, HEAR MORE, FEEL MORE」。知性より感性に訴えるスマホといえます。
■感性を映し出す日本メーカーのアナログ品質 さてもう一つ感じるのは、デザインです。OLEDを使ったスマホの表面は、漆黒と相場が決まっていますが、ソニーの狭ベゼルXZ3の表はの場合、どことなく柔らかさを持ちます。黒漆に近い感じです。黒漆と言えば、金閣寺二階の潮音洞の床。紅蓮の炎に燃える金閣寺は、三島由起夫により見事に描写されましたが、私は似たニュアンスをXperiaに感じます。どこか温かい。工業製品ではなく、工芸品のようです。
技術の積み重ねで作られたのではなく、「あるべくして、ある」という感じ。それとも「黒は黒より出でて、黒より黒し。」とでも言うべきでしょうか?
これは日本のアナログ技術の一つ。品質を感じさせる技術と言えます。
ウォークマンを紐解くまでもなく、ソニー製品の良さは小型、凝縮された時、その魅力が発揮されるようです。
いろいろな意味で、ソニーのXperiaは、『21世紀のウォークマン』なのかも知れません。
常に身につけておくモノ、例えば時計は、時として人の美意識を表します。スマホも「便利」を突き抜け、別の意味を持ち始めたのかも知れません。
商品のより詳しい情報は、ソニーモバイルのホームページにてご確認ください。
https://www.sonymobile.co.jp/xperia/
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2019年1月24日