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平成を偲ぶ
連載35周年記念「島 耕作「超」解剖展」@有楽町マルイ


平成30年もいよいよ終わり、来年は平成最後の年。
経済で言えば、バブルに始まり、デフレに終わったと言うべきでしょうか?
そんな中、連載35周年を迎えたマンガがあります。「島耕作シリーズ」。今、有楽町マルイで「「超」解剖展」行われています。

島耕作に見あげられる、作者:弘兼憲史氏


■「働き方改革」がない時代、島耕作は・・・
連載スタート時、島耕作は何をしていたのかというと、「オフィスラブ」です。
昭和の時代は、「残業」は当たり前、仕事が済むまで頑張る、という時代です。「24時間働けますか!」というCMが流れた時代。

となると、会社に入って遊ぶ暇もないわけです。大学時代に彼女まで作っているならともかく、そうでないと新しい女性との出会いはなかなかありません。
携帯も、ネットもない時代ですからね。
ついつい仕事場の華に手を出してしまうという感じですかね。

作者の弘兼憲史氏曰く、「島耕作は、自分から手を出さないタイプ。パワハラやセクハラで訴えられることはないと思います・・・。」

ま、物語は、軽いノリからスタートします。

女性にことかかなかった、島耕作氏。
三つ子の魂、百まで。


ちなみに、彼の務める「初芝」のモデルは、日本最大手の電機メーカーと言われております。

 
■海外勤務が当たり前に
この後、島耕作は、日本での成功、失敗を体験し、ニューヨーク勤務を命じられます。折しもグローバル時代。普通のサラリーマンでも海外でビジネスするのが当たり前になった時代です。

弘兼氏はこの当たりから、マンガの手応えを感じたと言います。失敗しても「リストラ」がない時代ですから、厄介者を厄介な部署に飛ばす感じですかね。しかし、環境が変わるのは人生はもちろん、ビジネスでも大チャンスといえます。

しかし、同時に、4半期決算など、長期視点で仕事ができにくい環境にもなりました。長期ビジョンが立ちにくくなり、長期に渡って基礎研究を続けることができなくなりました。これはメーカーが最先端技術を持ちにくくなったことを意味します。

代わりに出てきた言葉が「産学共創」。学校、特に大学も「白亜の塔」「象牙の塔」と言ってはいられません。積極的に「産業界」と組むようになります。

 
■海外から帰った島耕作は、家電を売らない!
海外から戻った島耕作は、子会社へ出向します。海外で成功を収めたら、本社でというのが筋でしょうが、ここら辺の家電メーカーは没落しきりです。

ワインも売りました。


理由はデジタル化と、PC分野で勝てなかったことがあげられます。

デジタル化というのは2つの意味を持ちます。
1つめは「デジタル規格」を満たしていれば、製品として世に出せると言うことです。イイ例が液晶テレビです。ハイビジョン用の液晶テレビのパネルは、2Kのスペックを満たしていれば、日本製だろうが、ドイツ製だろうが、中国製だろうが、印度製だろうが、同じと言うわけです。ユーザーはハイビジョン放送を見るためにテレビを買うわけですから、その規格を満たしていると言うことは、最低保障はされているということです。

もう1つは、「規格」のパッケージ化です。これは分かり難いですが、デジタル化の場合、回路対応が非常に多い。この複雑な回路を、1チップ内にまとめてしまうのです。そうするとそのチップさえあれば、その性能が引き出せるわけです。どこでも作れるというわけです。

デジタル技術というは、均一化、並列化をもたらすのです。

日本には不利な状態。特にハイスペックを誇った黒モノ家電が瀕死の状態に立たされます。

 
しかも開発スピードが尋常ではありません。ドッグイヤーとも言われましたが、業界的には「ムーアの法則」に縛られます。ムーアの法則というのは、インテル社の創業者の一人 ムーア氏が、集積回路上のトランジスタ数が、1.5年で2倍になることを経験則として提唱したモノですが、呪縛的な強さを持ちました。全メーカーがそれを目指して作るわけです。脱落したら負けという壮絶な争いです。実はこれPCの集積回路だけの話しではありません。
HDDの記録スペースもそうですし、光ディスク記録もそうです。当時の最先端技術開発は、その要求をギリギリ飲み込める状態でもありました。

しかし、日本はその一部にしか勝てませんでした。当然、電機業界は明日が見えなくなります。島耕作は、基本サクセスストーリーです。このために子会社で極めてアナログ的な仕事をこなします。

別な言い方をすると、技術ではなく、人についたという言い方も可能です。

うーん。何故、ライオン?


そして、専務、常務、社長、会長と出世しながら、複雑な世界情勢を乗り切ります。

 
■平成は「激動の時代」
弘兼氏は、平成を一言で表すと「激動の時代」だったと言います。
平成の元号は、『史記』五帝本紀の「内平外成(内平かに外成る)」、『書経(偽古文尚書)』大禹謨の「地平天成(地平かに天成る)」からで「国の内外、天地とも平和が達成される」という意味なのですが、全く真逆でした。

外は、「湾岸戦争」「9.11」を経て、「イスラム国」の問題は解決しません。ソ連も消えました。しかし、米、中、北朝鮮、ロシアなどは活発にやり合っています。
内は、80年代の「一億総中流階級」の雰囲気はなく、「リストラ」「ブラック企業」が、ネット上も「なりすまし」「炎上」が繰り返されています。また、オウム真理教の「サリン」、通り魔、いじめ、近くは「あおり運転」まで、やばいことが多いです。

また、「移民(人口問題)」「廃炉(エネルギー問題)」の問題もあります。

 
昭和は「戦争」という凄まじい爆発的な経験がありましたが、平成はカンナで身を削るように体験です。

 
■弘兼氏が注目する事業
70歳を越える弘兼氏は、ますますお元気。まだ、マンガに対する意欲を持たれています。

今の彼の興味は、「国際リニアコライダー(ILC)」。東北ビッグバンとも言われるこの計画は、北上山地の地下100メートルの盤石な花崗岩に、全長20キロメートルから50キロメートルにわたる世界最先端の素粒子実験施設ILCを建設する計画です。

このILCで、電子と陽電子を光速に近い速度まで加速させ、正面衝突をさせると、宇宙誕生から1兆分の1秒後の状態がつくり出されます。「ほんの一瞬」だけビッグバンが再現され、質量をつかさどる「ヒッグス粒子」をはじめとして、さまざまな粒子があらわれます。

これらの粒子を観測することにより、どのようにして宇宙が生まれ、物質が生まれたのかという、人類が長年抱いてきた謎の解明に挑むことができます。また、加速器技術の応用範囲は、医療・生命科学から新材料の創出、情報・通信、計量・計測、環境・エネルギー分野まで多岐にわたると考えられています。

さすがマンガ、セリフが格好いい。
現実の経営者も見習って欲しい。


今からの日本を考えると、これ位ぶっ飛んだことことをしないとダメというのは、日頃家電業界を取材している、私もヒシヒシと感じていることです。

 
■平成の終わりに
年末年始、大掃除のあとは、こたつに入り、ミカンに紅白、年越しそば。あくれば正月、お雑煮食べて、初詣も悪くはありませんが、こんなふうに平成を偲ぶのも一興だと思います。

三田先生他 の一言もあります。


展示会の詳細は以下の通り。
名称 島耕作「超」解剖展
期間 2018年12月15日(土)〜2019年1月14日(月)
※1/1(火)は休館日のため入場不可。
時間 11:00~21:00
日・祝は10:30~20:30
入場は閉館の30分前まで。
場所 有楽町マルイ 8階 特別展示スペース(東京都千代田区有楽町2-7-1)
入場料 一般1,000円/学生・エポスカード割引・50代割引 500円/ 小学生以下・60歳以上 無料
※入場特典として本展示会限定の「島耕作」オリジナルグッズをプレゼント(なくなり次第終了)

「イイね」したいTECOTの帽子。
販売中です。


 

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2018年12月19日

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