カドークオーラのプロ用に設計された “鼻のない”ドライヤー「BD-E1」を紐解く
「カドークオーラ」は、日本の空調家電メーカー「カドー」と韓国「SKグループ」の「SKネットワークス」が販売する理美容家電の開発、生産を行うメーカーです。と言っても、2018年創業ですから、新参メーカーです。その第一弾モデルは、なんと「鼻のないドライヤー」でした。
ダイソンがドライヤーを出して以降、いろいろな動きがあるドライヤー分野ですが、ここに一石を投じた形になります。
■プロと一般の差
プロが使うモノと、普通の人が使うモノ、差があるものと差がないものがあります。
例えば、F1マシン。当然プロしか乗らないモンスターマシンで、サーキットをミズスマシのように軽やかに滑らかに走ります。
これは、「サーキットという限られた空間を速く走る」という、かなり尖ったコンセプトで作られたモノです。普通の人が走るのは一般道な訳で、それは天と地との差。一般道でのウネリ、ギャップなど、F1マシンは吸収できません。腹を擦ったりして、酷いときには壊れるかも知れません。
逆にドライヤーなどは、基本的な部分は、プロ、一般人ともに共通です。何たって、「速く、自在に乾かす」というコンセプトは変わりません。もちろん違うところもあります。それは目標値です。
例えば、プロの場合、美容院で使うわけです。美容院は10〜15m位のところに椅子を並べます。が、椅子の間隔が狭いと圧迫感がでますの、お客は嫌がります。また、美容師も自在に動けません。このため、ドライヤーのコード長は、3m以上あります。
また、使用時間が圧倒的に違います。カドークオーラが確認したところ、1日に20人頭を乾かし、15分/日だったとか。掛け合わせると、5時間はドライヤーをかけていることになります。しかも、お客様に喜んでもらわなければならない。
喜んでもらうには幾つかポイントがあります。自在なスタイリングを可能にする。なるべく短時間で仕上げる。髪を傷めない。
しかし、美容師が疲れてくると腕が鈍ります。となると、美容師が疲れないことも大事です。
このようなコンセプトを入れてプロでも満足できるように設計されたドライヤーが「BD-E1」です。
■地肌と髪にやさしい、乾かす風
ドライヤーは、「温風」で髪を乾かします。
ただ、温風と言ってもいろいろあります。昔(小2位です。)使っていたナショナルなどは強烈な熱風でした。乾くのも速いのですが、誤って発泡スチロールに当てたところ、見事に溶けましたからね。発泡スチロールは90℃で溶解するのですが、小2ですから、そんなことは分かりません。本当にビックリしました。(今、思い返すと火事にならなかったのが幸いという感じです)
今の主流は低温になりつつあります。
髪の毛は、タンパク質が4つの結合でつながりできています。
水素結合、イオン結合、シスチン結合、ペプチド結合の4つですが、ペプチド結合以外は、切れても再結合できます。例えば、水に濡らして形を整えるのは、水素結合をいじった、パーマの薬剤はシスチン結合をいじったスタイリングというわけです。
ところが、ペプチド結合だけは再結合しません。枝毛、切れ毛になります。
乾かしすぎ(オーバードライ)の状態では、このペプチド結合が切れやすくなる。このため髪の毛のダメージを防ぐために。「低温」が主流になったわけです。
ちなみに、BD-E1の風温は85℃です。
でも、低温だと乾かすのに時間が掛かります。
このため、行うのが風量アップです。
BD-E1の風量は、2.2m3/min。普通のドライヤーが1.3〜1.5m3/minですから、約1.7倍の量です。低温でも、すばやく乾かすことができます。
最後は、風質です。
カドークオーラは、イオン発生機技術を持ちません。できないことはないでしょうが、できたイオンの効果は一つ一つ検証する必要があります。シャープ、パナソニックがいろいろなことを言えるのは、第三者機関による検証ができているからです。
このためカドーオークラは、ヒーター部に力を入れます。
採用したのは、セラミックコーティングを施した熱線と、オーラストーン、テラヘルツ鉱石を混合したセラミックカートリッジ。この2つで、「遠赤外線」を頭皮に当てようというわけです。
ご存じの通り、遠赤外線は、熱を伝える効率が非常にいいです。遠赤外線自体は表面で止まりますが、遠赤外線が当たっていると、熱は深部まで入り込みます。調理器具のヒーターでやたら「遠赤外線」という言葉がでてくるのは、奥までキチンと熱が入り、肉をやわらかく焼くことが出来るからです。
ドライヤーの場合は、頭皮。皮膚深部には毛根など、髪の毛を支える部分はあります。要するに効率のよい熱の掛け方をして、深部の血の巡りをよくし、活性化させようという考えです。
カドークオーラの技術は、この3つに集約されます。
■鼻なしデザイン
しかし、BD-E1のデザインは、なんと言っても「鼻なしデザイン」です。
このデザインを採用するためには、通常、鼻の部分にあるヒーター位置を見直さなければなりません。プロの中には、そこを持ってスタイリングされる方もいらっしゃいますからね。
このデザインにメリットはあるのでしょうか?
実は、大いにあるのです。
まず、バランスがいいのです。BD-E1のほとんど重さは、カタツムリの殻のような円形部分が占めます。映画「2001年宇宙の旅」で、人間が猿から進化して、初めて持つ武器「棍棒」と同じなわけです。
握り拳の上だと、持ちやすい上に、疲れにくい。長時間使うプロにとり願ってもない形状といえます。
もう一つのメリットは、「潜り込ませやすい」。髪の毛で一番乾かしにくいのは「襟足」です。ここは髪の毛も多いですから、普通に当てると表面だけです。普通のドライヤーは潜り込ますときに「鼻」が邪魔します。
「鼻なし」はそれがないわけです。
プロでなくても、それだけで飛びつきたくなります。
重量:400gの軽さ。高さ:25cmの手頃さ。
その上、柄の断面が角の緩い三角形。これは持ちやすいです。
■安価ドライヤーの40倍の耐久性
プロに言わせると、ドライヤーは消耗品。ケーブルの付け根が傷むのですね。で、速い人なら半年で交換するとか。時間換算すると、ざっと500時間です。
実は、安価なドライヤーの場合、ブラシモーターを使っているので、約500時間で、モーターの寿命がくるそうです。
BD-E1の場合、ブラシレス。こちらの寿命は、20,000時間以上。40倍の差というわけです。
価格は、28,000円(税抜)ですが、それだけの価値は十分ありそうです。
■日本市場から、どこに発信するのか?
BD-E1の販売は、日本から始まります。当然、カドーが販売に当たります。
よく出来ている上に、50,000円を切りますので、買いやすい。
OLなどの自分ご褒美になるのでは、ないでしょうか?
次は、美容大国と評される韓国。ここはSKの腕の見せ所でしょう。
で、次は、どこかというと、中国を初めとする、アジアではないかと思います。中国と朝鮮は似た美意識を持つところがありますし、北京はともかく、上海、香港はかなり熟れています。
パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークのファッションシーンを彩るかは分かりませんが、東京、ソウル、上海、香港、シンガポールならがんばれぞうです。
鼻のないドライヤーが、その鼻先をどこに突っ込むのか、すごく興味が沸きます。
最後に。12月10日に発売するBD-1Eはあくまで、一般向けです。コード長は1.8mですから。しかし、気になるドライヤーが一つ増えたことをお伝えします。
商品のより詳しい情報は、のホームページにてご確認ください。
https://cado.com/jp/cadocuaura.html
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2018年12月1日
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