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これはイイ!「ファンも自動洗浄できる『ファンロボ』は大したモノ!
内部自洗の完成形を示す 日立のエアコン「白くまくん」プレミアム Xシリーズ


「エアコンのフィルター掃除してください!」
よく聞く言葉です。フィルターが汚れていると、効率が格段に落ちますからね。
しかし、「『熱交換器』を、『ファン』を掃除してください!」という声は聞きません。

白くまくん Xシリーズのハーフカットモデル。
銅のパイプでつなげられ細くすだれ状平板配列フィンを持つのが「熱交換器」。
灰色の円筒形ファン(シロッコファン)を見せるため、熱交換器の長さ半分にしてある。


何故かと言うと、ファンの周りは熱交換器がとりまいています。熱交換器に触り、冷却フィンをダメにしたら、エアコンは本来のパワーを発揮することが出来ません。
そして、細いフィンでグルリと武装したような(ハリネズミがまるまった姿を思い浮かべてください)熱交換器は、人が触るモノではない。そんな認識でした。

 
しかし、2017年 日立は、熱交換器の自動洗浄システム『凍結洗浄』を世に出しました。

これはスゴいシステムです。エアコン内部の熱交換器を凍らせます。空気中の水分が霜となり熱交換器は樹氷に覆われた雪山のようになります。この時点で、付着したホコリ、油汚れなどは、氷の中にトラップされ熱交換器から浮きます。そして霜を溶かす。浮いた汚れは溶け出した水と共に、流れ出します。

凍結洗浄させたところ。フィンが白い霜で覆われている。


日立は難しいと言われた熱交換器の自動洗浄システムを世に出しました。
2018年は、その第二弾。最奥に鎮座する重要パーツ「ファン」の洗浄を試みたのです。

日立 ルームエアコン 白くまくん Xシリーズ(2018年モデル)
オープン価格(市場想定売価:約25万円(税込)(2.2kW)、10月末発売


 
■回転しているのにファンは何故汚れる
あるメーカーさんとの会話している時です。
「これ10年前のエアコンです。」
「現役ですか?」
「そうです。だからファンにカビが少し付いている。」
「使っていてもカビはえますか?」
「かなりはえますね。はえ具合でも、使用年数を感じます。」
(以下略)

「ローリング・ストーン」、「転石苔むさず」など、洋の東西を問わず、動いているものは汚れないというのが人の感覚です。
しかし、実際は違います。24時間動いているはずのファンでも、汚れがびっちり付きます。

しかし付くのは、ファンを形成する羽根の先端だけです。羽根の中心、根元などには付きません。
そしてそのホコリの塊が巨大化して行くのです。

ホコリが付くのは先端部だけ。理由は「よどみ」。


何故でしょうか?

日立の解析だと羽根の先端で空気は2つに分かれます。羽根の中央などはかなりの速度で空気は流れるのですが、その分かれる地点で「よどみ」が発生するそうです。「よどみ」というのは流速が極端に遅くなる部分。このためホコリが付着するそうです。そしてホコリが溜まって行くというワケです。

ツルツルした樹脂で成形されているフィンも、動かなければホコリが積もるわけです。

このホコリの中にいつしかカビの胞子が入り込みます。多湿の日本の環境下、ホコリという絶好の食べ物があると、カビは繁殖します。冒頭の会話につながるわけです。

しかも、カビは繁殖のため、必ず胞子をまき散らします。ファンに付いているとなると、部屋の隅々まで飛び散ります。必ずと言ってイイほど、カビの胞子が含まれている日本の空気ですが、「過剰」はダメです。病気になる可能性があります。

キレイなエアコンにするためには、ファンの先端のホコリを取ることが、必要条件の一つです。

 
■「凍結洗浄 ファンロボ」とは
日立の凍結洗浄は「スゴい技術」です。熱交換器のフィン全体をキレイにします。熱交換器とファンは目と鼻の先、ま、それよりは少々距離がありますが、ホコリをそこまで運べば、後は問題ありません。

で、日立が作ったのは、「可動ブラシ」です。
メカニズム検証した通り、ホコリが付くのはファンの先端だけ。外に剥き出しです。それを擦ってやろうという考えです。

ファンに「可動ブラシ」が当たっているところ。


同時にファンを逆回転させます。
正回転の場合、空気の流れは、熱交換器⇒ファン⇒出口という流れです。欲しいのは、ファン⇒熱交換器ですから、全く逆。ファンを逆回転させることで、ホコリを熱交換器に吹き付けるワケです。
当然、熱交換器に達する途中で落ちるホコリもあります。それらは下の水受け皿で対応します。

ステンレス水受け皿。灰色の肋骨状の上にファンが来る。


そして凍結洗浄。ホコリを洗い流します。

残るは、ホコリを落としたブラシ。これも凍結洗浄で洗い流します。ブラシの方向性を180°変更、ファンの方を向いたり、熱交換器の方を向いたりさせることで対応しています。

「可動ブラシ」洗浄時の様子。熱交換器にブラシが触れていることが分かる。


 
■台所とリビングでのお掃除の差
汚れで一番嫌なのは「油汚れ」です。とにかく落ちにくい。汚れを落とす時のポイントは先手必勝!汚れがこびり付かないうちにナントカしようと言う考え方です。

ところで「エアコン」の内部お掃除が自動化された今回の「凍結洗浄 ファンロボ」も関係あるのでしょうか?

実はあるのです。台所だと48時間毎、リビングだと84時間毎に掃除をするそうです。
ポイントは、何故「台所」が分かるのか。
これは内臓のデジカメ(生活カメラ)で、人の動きを把握。台所特有の動きを検知し、自分がどこに設置されているのかを把握します。

エアコンに内臓された生活カメラ。
的確な情報収集が、必要な作業を決めるのは、人間と同じ。


外部データーが多ければ多いほど、いろいろなことができます。

 
■「ステンレスクリーン」&「凍結洗浄」の商品力
エアコンは幾つかの方向性があります。
省エネ法にも関係ある「省エネ」性能。トップランナー基準ですから、何としてもやり遂げなければならないので、全メーカーが「省エネ」縛りの中、開発しています。

次は体感温度を下げる機能です。
夏の温度は28℃と一応決まっています。しかし、より涼しくというニーズを満たすためです。ここで使われるのが「気流(風)」と「湿度」。最近ホットな機能です。

そして寒冷地でも、エアコンが使えるようにと、「室外機の強化」。話題にはなりにくいところですが、最も変わった部分かも知れません。

で、次は、「AI化」、「IoT化」の流れが基本となります。

しかし、日立は、その前にと「衛生」を選びました。
エアコンの中にカビが生えることは昔から知られていました。そして、今、「侵襲性肺アスペルギルス症」「カンジダ症」など、カビが起因の病気が増えてきています。

これは家の密閉度が、高くなったことも関係しています。昔は換気が一番、風通しが一番でしたが、今は「エアコン」一番、そしてそれを最大限に活かす「省エネ住宅」一番です。密閉度が高いと、人がいる限り湿度は上がります。そしてホコリが多くあるところにカビ胞子が運ばれると、カビが生えると言うわけです。

人気のキレイなワンルームマンションはイイものですが、誤るとカビが直ぐ生えます。掃除してもエアコンの中ではえているかも知れません。意識しないでスィッチ・オン。胞子は部屋中に拡散されます。しかも換気しないので、胞子の数は増える一方というわけです。

ステンレスフィルター お掃除機能付き(2019)


除菌・防カビ効果のチタン熱交換器(2019)と、10年使用した熱交換器(2006)


除菌効果のある銀イオンを練り込んだファン(2019)と、10年使用したファン(2006)


ステンレスの通風路(2019)と、10年使用した樹脂製の通風路(2006)


ステンレスフラップ(2019)と、10年使用した樹脂製フラップ(2006)
当時でもフラップは掃除できた。


私はいろいろなビジネスを見てきて、お金になりにくいと感じた分野が2つあります。
それは「予防医学」と「環境」です。
双方共にお金が掛かります。が、効果が極めて見えにくい。つまりユーザーは対費用効果を中々感じることができない。

ここにお金をかけている人なら、シーズン前のエアコン掃除、15,000円也。だとすると、「凍結洗浄」安い!これはイイとなりますが、やはりまだ少数でしょう。

しかし「省エネハウス」は注意しなければ「健康ハウス」でないように、「快適エアコン」も「健康エアコン」にはなりません。日立が、2000年のフィルターお掃除機能から、地道に続けてきた「クリーン技術」は、今回で、エアコンのほぼ全てのパーツが掃除できるというモデルで、一つの大きなことをやり終えた気がします。

単なる便利さより「健康」。これは大きな認識かも知れません。

いいモデルだと思います。

 
商品のより詳しい情報は、日立のホームページにてご確認ください。
https://kadenfan.hitachi.co.jp
 

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2018年8月29日

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