思うこと

日本の嗜好品。それは「お米」。
嗜好品としてのお米 01


昨今、コーヒーメーカーの価格差も凄いが、炊飯器も凄いです
希望小売価格:15万円のプレミアム・クラスが存在します。
知合いの女性から「どうして、こんなに高いの? これって要るの?」と質問を受けました。
今の米事情を話したら「貯金をしても買ってみたい」とのコメントを頂きました。
話した内容。それは「現在の米は嗜好品ですよ。」でした。

 
■嗜好品って何?

嗜好品をWikipediaで検索すると、「風味や味、摂取時の心身の高揚感など味覚や臭覚を楽しむために飲食される食品・飲料や喫煙物のことである。」と書いてあります。
しかし、私はちょっとこれに付け加えたいと思います。「嗜好品とは、感動をよぶ食品・飲料や喫煙物のこと」だと思っています。

ある瞬間に、見方が180°変わることは、ありませんか?
そう私は、いつものが、嗜好品(特別の)になる瞬間があると思っています。

そう感動体験ですね。

それ以降、それが頭にこびり付いてしまう程のインパクト。高いお金を出しても再度味わいたいものです。
私もあります。1992年秋田で比内鶏の刺身を食べたとき、余りの美味しさにびっくりしました。以降、比内鶏のファンです。

経験から五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)が、しびれるような体験をした瞬間、その人に取り、そこにあるものは嗜好品に変わると思っています。
これが私の考える嗜好品です。

ミルキークィーンでは、主食である米は・・・。
私は、ミルキークイーンを食べたときに感動しました。

光沢を持つ外観、そのやや甘い香り、もっちり感、粘り、等々。見ても、味わっても素晴らしかった。至福の一膳でした。

 
■最近の米事情

コシヒカリは美味しいお米である上、食べたことのない人の方が少なと思えるほど、ポピュラーなお米です。コシヒカリは「越(の国の)光」ですが、現在は北海道、沖縄以外の全エリアで作られています。
極端なことをいえば、コシヒカリは日本の標準米なのです。

今市場で求められているのは、コシヒカリを超える美味しいお米なのです。

その求めに応じてできたのが、ミルキークィーンを始めとする低アミロース米です。

低アミロース米の特徴は、「粘り」です。パサパサ感のないもっちりしたお米といった方が分かりやすいかも知れません。

 
■米とコーヒーを比較
coffee4 さて、嗜好品の1つにコーヒーがあげられます。

コーヒーを極めるのは、本当に大変です。
味を変える要素が、あちこちあり、それをクリアしなければならないからです。

まず豆の種類により味が分かります。作るエリア、より正確にいえば同じ農園でも斜面毎に味が異なります。精製(コーヒーの実から豆を取り出すこと)でも、乾燥式、水洗式で味が変わりますし、生豆での保存方法によっても変わります。
スペシャリティ・コーヒーはこれらをクリアしたコーヒーです。

長くなるので、以降羅列しますが、この先の扱いでも味は変わります。
焙煎、焙煎豆の保管方法、グラインド、抽出方式、水、温度、カップでも違います・・・。
2000円/100gのブルーマウンテンでも扱いが悪いと、390円/100gの特売品に劣ることさえあります。

 
稲片やお米は、言いますと、米の種類(ブランド)により味が違います。産地、より正確にいえば田んぼ毎味が違います。食味は農法によっても変わります。脱穀法、その後の乾し方でも味が違いますし、保存、精米、そして水、炊き方、蒸らし、茶椀への盛り方、温度でも、違います。

美味しい米を食べるということは、米のブランドから始まり1つ1つ丁寧な対応が必要となります。

贅沢の象徴であるスペシャリティ・コーヒーと同じ扱いがいるのです。
そう美味い米は嗜好品であり、美味い米を食べるのは贅沢なことなのです。

 
■大きく味が変わるところは?

個人が関与できるところでいうと、1)ブランド(含産地)、2)保存、3)精米、4)炊き方(含 水質) での差が大きいです。
この4つにこだわると、美味しく米が食べられます。

 
1)ブランド
自分の好きな味を選ぶことが重要です。
毎回違う米を買い、探すのも1つですし、米・食味鑑定士の資格を持っているお米屋さんが近くにあれば、是非相談してください。

 
2)保存
保存は、次の精米と密接な関係があります。
身近過ぎて、特別に気にされる人は少ないようですが、お米は「光」「空気(酸素)」「湿度」でどんどん食味が悪くなります。
現在、スーパーで売っているブランド米は、ほとんど精米後のものです。
食味は、精米直後が最も美味しく、精米後14日が賞味期限といわれております。保管条件によっては14日以下かも知れません。

しかし玄米状態ですと、糠が米を覆っていますので、遙かに持ちがいいです。
ちょうど、コーヒー豆の方が、コーヒー粉より保存に適しているのと同じです。
コーヒーが好きな人は豆買いで、まず粉は買いませんよね。

できる限り、流通がよく保管の良い米屋・スーパーで買うこと。
できれば玄米で保管するのが良いです。
精米で買う場合は、冷暗所で保管し、なるべく早く食べきります。

 
3)精米 RC23_R_キャプション有り 米から糠を取り除くのですが、米は糠の下には栄養素の層、旨味の層がありますので、精米し過ぎると旨味の層まで落とすことになります。
食味も含めて、自分に合った精米歩合を見つけて頂ければと思います。
精米は家庭用の精米機(1~2万円位)で、簡単にできます。
コーヒーでいえば、グラインダー(ミル)ですね。

米(豆)の風味を損なわないように、精米(碾く)時に熱を持たないことは重要ポイントです。

精米機があれば、白米から無洗米、フレッシュ白米、玄米から無洗米、上白米、分つき米、胚芽米などができます。便利です。

精米機で可能ないろいろなお米  
4)炊き方 Wおどり炊き電気炊飯器は、かまどから主婦を解放した素晴らしい家電ですが、食味はかまど炊きに劣りました。これを克服しようと、各社あらん限りの技術と知恵を投入。そしてできたのが、現在のプレミアムクラスといわれる電気炊飯器です。もはや達人の域ですね。

しかも今はコンピューター制御ですので、学習したり、好みを入れることも可能で、だんだん自分好みになっていきます。

プレミアム炊飯器は確かに高いですが、最高の米の食味をきちんと出すことができますので、買っても損はないと思いますし、むしろワクワクしながらご飯が食べられるということで生活に張りがでてくると思います。

 
■ある中国人金持ちのアクション

話の冒頭に出てきました女性の知り合いに、中国人のお金持ちがいます。彼は自分のためだけに、ヤンマーの退職者を技術顧問に雇い、ミルキークイーンを作っているそうです。中国で日本の米が珍重されているのは、ご存じかと思いますが、お金があるとここまでするんですね。

中国の人が日本に来たときに、驚くことの1つは米の美味さですから、当然といえば当然といえます。

米に関して、日本の農業技術は世界最高峰の1つです。
ゆめぴりか、ミルキークイーンなど、低アミロース米の有名ブランドはコシヒカリの子孫です。弛まない努力が、コシヒカリより美味い米を生み出したわけです。
(念のために書いておきますが、コシヒカリの子孫でない、低アミロース米も多くありますし、その他の種類で美味しいものも多くあります。)

海外から多くの観光客を集める日本ですが、理由の上位に「日本食が食べたい」があります。日本の食文化は、米を抜きに語ることはできません。

日本では、嗜好品とも言えるお米がいろいろあり、それを家庭で楽しむことができます。 これって凄いことだとは思いませんか?

2013年8月8日

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