パナソニックの新型スティック型掃除機。
ハイスペックと第一印象のズレ。
パナソニック 新型スティック型掃除機 MC-SBU820J の発表会は力の入ったものでした。また、スペック表を見てもトップデーターが並び、「なるほど、スゴい。」と言いたくなるものでした。が、タッチ&トライした第一印象は全く別でした。
■今の日本の掃除機市場
ダイソンが「もうキャニスター型掃除機の開発はしない。」と宣言したのが、今年、2018年春です。これは2つの意味を持っていると思っています。
一つは文字通り、今からスティック型掃除機の時代になるということ。そしてもう一つは、ダイソンが春に発表した「Dyson Cyclone V10 コードレスクリーナー(以下V10)」の出来がすこぶるよく、これ一台で掃除は十分という自信があるということです。
実際、V10はとてもいいスティック型掃除機です。
そして、メイン掃除機のトップをスティック型掃除機で狙う新たな競争が始まったわけでもあります。
日本の掃除機市場の総台数は伸びていません。2015年を基準にすると2018年は7%減るだろうと、パナソニックは予測しています。
大きな原因は、人口ですね。ただ、日本の人口は、2008年をピークに減り始めているのですが、単独世帯数のピークは2023年ですから、まだ別の要因もあると思います。
2015年、総世帯数:5333.2万世帯に対し、掃除機国内販売台数:864万台の総需が、2018年、総世帯数:5372万世帯(予測)、掃除機国内販売台数:804万台(予測)。大まかにいうと15世帯あると1世帯は掃除機を新調する感じです。
しかし、掃除機と言いますが、今は多種多様。メインと言われるものでも、「キャニスター型サイクロン掃除機」「キャニスター型紙パック掃除機」「コードレススティック型掃除機」「コード付きスティック型掃除機」「ロボット掃除機」など多岐に渡ります。
その中で、延びているのが「コードレススティック型掃除機」。2015年は全体の17.4%だったのが、2018年 32.3%ですから急激な伸びをしています。
また、コードレススティック型掃除機を購入する人は、74%がキャニスター型からの買い換えと、ダイソンの見立てと合っています。
注)人口、世帯数に関しては国立社会保障・人口問題研究所の2018年推計を、掃除機に関しては発表会でパナソニックが提示したデーターを元に筆者が計算した値です。
■今のスティック型掃除機に求められるもの
さて、スティック型掃除機がサブではなく、メインになりつつあるわけですが、どんなところがポイントなのなのでしょうか?
スティック型掃除機の良さは、その手軽さにあります。サッと取り出し、サッとお掃除。これはメインになっても変わりません。このため、スティック型掃除機は「デザインのよさ」が、一つおおきな条件として上げられます。
次のポイントは、「バッテリー」です。要は、どの位掃除できるのかです。導入期は、長くても標準 20分という時代でした。やはり、長くても大丈夫というのはイイ事です。
ところがバッテリーと共に持ち上がってきたのが、スティック型掃除機でもどんな形状を取るのかということです。人気のエレクトロラックスは、常に床に置かれることを前提に設計されています。手を離しても自立でき、とても楽。我が家でも愛用している1台です。
これの逆は、スティック型掃除機をハンディ掃除機の延長として捉えた掃除機です。典型例はダイソン。手に持った掃除機の先を床に付ける感じです。パイプ、ヘッドなどを取り替えると、ハンディ掃除機にもなるのがとても便利です。
後者の欠点は、常に手で持つことです。欧米の女性は、肩、二の腕に筋肉が十分付いているためか、特に厳しく言われないようですが、ヤマトナデシコは、箸より重いモノは持ったことがないと自称する女性も多いですから、重さには余り強くありません。
で、軽量化です。モーター、バッテリーは元より、本体も肉薄にする軽量化がポイントです。
しかし、軽量化は、パワーを奪うことが多いです。掃除機で言うと、モーターを小型軽量にし過ぎてしまったために、吸引力がなくなる感じです。
この矛盾を解決するのが重心の位置です。それを主眼に作り込んだのが、東芝「トルネオV コードレス VC-CL1300」。軽量化もかなり頑張ったが、バランスにこだわったモデルです。
このように、スティック型掃除機は、彼方を立てると此方立たずが一杯。つまり、要求される要素のバランスをどう取るのかが、腕の見せ所です。
■パナソニックの技術の集積
パナソニックは、いろいろな技術を持っています。モーターはもちろん、バッテリーも自分たちで作っています。(EVメーカー テスラへのバッテリー供給は有名ですね)
まず、今回新たしく設計したのは、「モーター」です。キャニスター並の吸引力、最大吸込仕事率:200Wが狙いです。取ったのは、口径の大型化。バッテリーの減りを押さえながら、パワーを出すためです。
バッテリーは8セル。定評あるリチウムイオン電池の8セルも搭載させました。これも業界最大。これで、自動モードで約18〜40分、強モードで約6分の使用が可能です。
実はこの2つは、重くなる要素です。モーターの大口径は、大きくする話しですし、バッテリー数は、通常の6セルから、8セルですから。
モーターとバッテリーがもたらした、効果は次の動画で。
それをフォローするのが、本体の軽量化です。
ハニカム構造の「セルロースファイバー樹脂」を採用したのです。カーボンファイバー樹脂は、炭素繊維を樹脂と混ぜ合わせたもの。軽く、強度に優れた素材として、F1カーのシャーシなど、ここはというところに用いられます。パナソニックが持ち出したのは、カーボンの代わりにセルロースを用いたもの。セルロースは植物繊維のことです。
軽い、強いなどのメリットもありますが、その分、お高くなるのも事実。
これで実現したのが、スティック:2.5kg、本体:1.9kgという重さです。
この他にもヘッドもよくできていますし、「親子ノズル」「ガバとりノズル」も付いている上、20μmのゴミを知らせるクリーンセンサーも付いています。20μmだと、ダニの成虫、スギ花粉は元より、ダニの死骸・フンなど、アレルゲン物質の有無が分かります。
実は、クリーンセンサーは、私のお気に入りの機能です。
■第一印象
説明した技術の数々が搭載され、そして掃除機をよく知るパナソニックですから、ダイソン V10に太刀打ちできる掃除機だろうと、ワクワクしながら触ってみました。
第一印象は、「重い」「振り回せない」です。ちょっとショックでした。何度か、トライしましたが、重さが先立ちます。スティック型掃除機の一番の特長、「軽み」が出ていないのです。
また重さを分散するとするハンドサポーターにも、違和感を覚えました。手の動きを封じられるというか、違和感ありありなのです。
プラスの要素が生かし切れていない感じが強く非常に残念でした。
が、これはあくまでも制限されたタッチ&トライでの印象です。
その場で中々出来ないチェックに、「ゆっくりかける」というのがあります。これはパナソニックが搭載させているクリーンセンサーに引っ掛からないまで掃除することで、ハウスダストのアレルギーを持つ人には重要です。医療のガイドラインでは、20秒/m2。以前、2015年に、パナソニックの紙パック掃除機:MC-JP500Gで、クリーンセンサー(当時は「ハウスダスト発見センサー」)の機能に感嘆しながら、何度もチェックしましたが、ほぼ同じタイムでした。
このチェックがまだですが、やはり「重い」のはスティック型掃除機には似合わないので、最後までひっかかることになると思いました。残念です。
商品のより詳しい情報は、パナソニックのホームページにてご確認ください。
https://panasonic.jp/soji/index.html
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2018年7月23日
タグ: MC-SBU820J, スティック型掃除機, ハウスケア, パナソニック, パワーコードレス