CEATEC 2017 「8K」と「AIoT」で攻勢に出るシャープ
ここの所、シャープが熱い! コーポレートカラーの様に「燃える赤」と言ってもイイかも知れません。
(カープの本拠地、広島県にもシャープの工場はあります・・・)
構造改革が終わったとして、攻勢に出ています。
キーワードは「8K」と「AIoT」。CEATECでも、それをメインにしていました。
■8Kエコシステム
ここでいうエコは、省エネで環境に優しいと言う意味ではありません。
エコシステムで一つの言葉、「生態系」と言う意味です。
「8K」という人間の眼に近い解像度を持つ映像システムがテレビだけでなく、いろいろなことに使われることを意味します。
例としては、カイロス社などと共同で進めている、世界初の8K硬性内視鏡システムがあります。
硬性内視鏡というのは、その名の通り、硬い内視鏡で曲がりません。
主に泌尿器、産婦人科、消化器、耳鼻咽喉科、眼科用の手術時に使われます。部位に小さな穴を開け、そこに硬性内視鏡を入れ手術します。メリットは術後の傷跡を最低限にできること。余り切らないので、体への負担も少ないですし、特に傷跡を気にすることが多い女性も受けやすい手術です。
今、手術は一人で行いません。処置は一人でしますが、サポートに複数の先生が付きます。
内視鏡手術の場合は、モニターをいろいろな先生が見るわけです。
大きく解像度の高いモニターが必要とされます。このための70型8Kモニターなのです。
2015年にソニー・オリンパスメディカルソリューションが開発した手術用の4K内視鏡システムがオリンパスより発売されましたが、この時のモニターサイズは、31/55型ですから、8K 70型の方が高精細です。
高精細で嬉しいのは、細かな血管、神経が見えること。患者への悪影響を少しでも減らすことができます。
また優れた医療機器は患者への負担だけでなく、医師への負担も減らします。
例えば、夜、雨がザンザン降る中をクルマを運転すると、普通の時より疲れますよね。この逆の様なモノです。
手術を正確に速く終わらせることができるので、疲れない。つまり、もう一件手術をすることも可能なのです。
これ以外にも、いろいろな分野に使うことができます。
例えばサッカー。8Kで撮影した俯瞰映像の中から、ある選手だけを4Kでずっと追いかけることも可能です。
(4Kムービーで、子どもを常に画面の中心に持ってくる「後から補正」と言う機能があります。この場合、4K映像でなく、2K映像になってしまうのですが、それの8K版です)
要するに、元の素材がイイと、いかようにも料理が出来るわけです。
人間の眼の解像度は、8K〜16Kの間と言われています。元が8Kだと、かなりのことができます。
シャープが提唱する8Kエコシステムは、かなり使えると考えられます。
■AIoT
もう一つシャープが力を入れているが、AIoTです。
AIoTはシャープの造語。辞書を引いても出ていません。
AI(人工知能)+IoT(Internet of things)の意味です。
今回、”Artificial Intelligence of Things” の略と言っていますが、元々の意味は、AIとIoTの融合です。
家電はいろいろな情報を持っています。
エアコンなら部屋の温度、湿度。冷蔵庫なら、どの位の食材を、何度で保存しているのか、とかです。
その情報を、インターネットでクラウド上に集めるのが、IoT。
つまり、ネットにつながっていると言うことです。
そのクラウド上にあるのがAI。
AIはもらったデーターから、いろいろなことを判断し家電を操作します。
AIoTは、これに個人(オーナー)の特長を取り込んでいきます。
要するに、自分の好きな方向を勝手に学んでくれて、自分の好きな方向へとカスタマイズされるわけです。
家電が、オーナーに慣れることには、かなりカスタマイズ化されていますし、初めのうちに、あーだ、こーだ、指示していたこともせずに済むようになります。
例としては良くないですが、結婚した後、旦那の動きで何をしたいのかが、的確に分かる恋女房の様なものです。
夫婦の会話は、他人から見たら暗号みたいなものです。
で、シャープはこのAIoTをより、強固にするサービスも始めてました。
それが「COCORO+(ココロプラス)」と呼ばれるサービスです。
例えばキッチン家電だと、オーブンレンジの「ヘルシオ」、電気鍋の「ヘルシオ ホットクック」、そして「プラズマクラスター冷蔵庫」がIoT化されています。
これのCOCOROサービスは「COCORO KITCHEN(ココロキッチン)」。
「好みを覚えて献立相談」「スマホでレシピが確認できる」「聞いてお得な情報配信」などができます。
これに加えられたのが、「ヘルシオ デリ」と呼ばれるサービス。
「ヘルシオ」や「ヘルシオ ホットクック」用の料理キットとプログラムを販売すると言うモノです。
発表会で、「和食」「フランス料理」「中華料理」の献立を食べましたが、中々美味しい。
今まで何かと言うと、HEMSか、単独サービスで終わっていたのですが、シャープはここを攻めているので、かなりイイ感じと言うことが言えます。
■見に行くのではなく、体験しに行く
この8Kエコシステムにせよ、AIoTにせよ、CEATECに行って見ても余りわかりません。
ただ見ているだけでは分かりにくいです。
このため時間は掛かるのですが、体験することをお勧めします。
ちょっと並んだりしなければならないし、時間が必要なので、面倒なのですが、それがベストです。
個人用に「カスタマイズ」のAIoTとかは、貴方でなければ分かりません。
今、展示会は曲がり角。
CEATECも、テレビなどの展示はほとんどありません。
今は「イイモノができました。」ではなく、各社「私が描く未来は、こう。だからこのシステム。しかし、今はこんなもん!」という展示です。
未来(夢)に対し、現実はショボく見えることが多い。
そう意味では、CEATECは舵を切りすぎた感があります。
その点、IFA、CESなどは、間口が広い(会場もだだっ広い)上、見せ方が上手い。
概念を振りかざすのではなく、モノに語らせるようにします。
夢は10年先ではなく、1年先。理解できる夢を語るわけです。
CEATECはそれが上手くないのですが、体験すると納得感が出てきます。
体験しながら、ゆっくり感じられることをお勧めします。
#シャープ #CEATEC 2017 #8K #AIoT
■関連情報 レポート「IFA 2017 シャープの欧州専用白物家電の嵐、もしくはシャープに何が起こったのか?」
2017年10月3日
タグ: 8K, AIoT, CEATEC 2017, シャープ