ダイソンの新サスペンド型ライト Cu-Beam Duo
ダイソンの新サスペンド型ライト Cu-Beam Duo。普通のLED照明に対し、異なる思想の下に作られたある種 異形と言った方がいい照明です。通常のLED照明が、数万、5万円もしないのに、これは28万円もします。ダイソンブランドを考慮したとしても高い!今回は、こんなCu-Beam Duoをレポートします。
■何故高いのか?
LED。Light Emitting Diode。日本語では発光ダイオード。古くも新しい技術です。原理は以前から知られていますし、実際製品も数多くありました。しかし照明に用いられたのは、最近です。それは光の三原色、赤、緑、青の内、青がなかなか出来なかったためです。作ったのは、中村修二氏。2014年のノーベル物理学賞は、この功績により授与されています。
中村氏のことを書きたいわけではありませんが、青色LEDがノーベル賞ものであると言うことは、それまで照明としては使えなかったことを意味します。その最先端技術の一つLEDが、直ぐ採用されたのは、液晶TV、PCのバックライト、そして照明です。特に2000年後半からの、省エネブームの波を受け、LED照明はあっと言う間にステータスに。
LEDのチップは、基本的に使い始めの光量が70%になるまでを寿命とし、それが4万時間以上であることです。
1日24時間使うとしても、約1667日、4.6年!半日しか使わないとして9.2年。8時間程度なら14.8年。寿命とは言え、電球の様に切れたり、蛍光灯の様にチラツキが発生するわけではありません。同じように点灯し続けです。
が、LEDは電球と違い、本当の点光源。豆球の代わりだと1つで済みますが、電球型の場合で数個。蛍光灯の代わりだと数十個以上使います。コストが掛かるのも欠点ですが、部屋の中が光に充ち満ち、影などの陰翳がなくなるのも、欠点と言えます。
LEDの普及に伴い、間接照明が主流の欧州でも、だんだん直接照明が主流になりつつあると言われています。
ダイソンが指摘しているのは、この点。
「文化としての照明」です。
昔はどの家にもあった陰翳。谷崎潤一郎が書き記した「陰翳礼賛」(最近は教科書にも載っているそうで、聞いた時吃驚しました)を持つ家は、日本では、ほとんどなくなりました。残念なことです。
このためダイソンが、ペンダント型の照明を作る時にこだわっているのは、「点光源」です。
先ほどLEDは複数を使って、電球、蛍光灯並になると書きましたが、LEDでも1つで済ますことも可能です。
それは巨大なLEDを作ること。
ダイソンが採用しているLEDは米クリー社(LEDのメーカーでは5指の内に入る)のものですが、非常に巨大。
常識外と言ってもいい大きさです。
「LEDは高い」と言われますが、一般的に言われる大きさの100倍以上ですから、最低でも100倍位します。
ダイソンが高い理由は、このLEDにあります。
■LEDの寿命を延ばせ!
LEDの寿命の書き方で、妙に思った人がいるかも知れません。
それは「寿命が来ても、光り続ける」というところだと思います。
実はLEDの劣化は、光る部分の劣化ではなく、色を調整するための蛍光剤が劣化するためです。
つまり蛍光剤が劣化しなければ、LEDの寿命は延びるというわけです。
となると、蛍光剤の寿命を延ばせば良いとなります。
ではこの寿命はどの様にして決まるかと言うと、耐熱性です。
電球に触って「あちっ」という思いとか、軽い火傷をした人は多いとおもいます。
光が出る時、それだけ発熱するのです。LEDは熱が出にくいですが、それでも発熱します。その熱で蛍光剤を劣化、ゆるやかに光量を落とすのです。
これを踏まえると蛍光剤の寿命を延ばす方法は2つ。
1つめは、蛍光剤を開発することです。
新規の有用な化学物質を作り出すのは容易なことではありません。またLEDメーカー自体にも大きな利益をもたらすために、LEDメーカー自体が開発します。
2つめは、LEDを冷やすことです。
ダイソンが取ったのは、こちらの方法です。技術はノートPCの冷却方法と同じです。ヒートパイプで、瞬時に熱を移動歩移出させる方法です。ダイソンは、この方法で、24時間点灯で約38年持つとしています。
ダイソンが採用しているのは、LEDが1つ(製品によっては2つ)ですから、そのLEDがダメになると堪りません。
ダイソン・ライトはこの様な思想に基づいています。
■一部屋、一照明
今回のダイソンのテーマはオフィス。
しかし大会社の大部屋で、営業机、事務机が並んでいて、蛍光灯により煌々と照らし出されるのとは違います。
どちらかというと、小さな事務所。
事務処理もすれば、リラックスしてクリエイティブな作業もする空間です。
事務処理は直接照明。
リラックス〜クリエイティブだと、間接照明がベターですね。
今回のライトは、それを1台でこなします。
上下に配置された2個のLEDに、それぞれバブルレンズを付け非常に広範囲に照らせるようにします。
このためペンダント型の様に傘を付けません。このためダイソンでは、ペンダント型ではなくサスペンド型と呼称しています。
その代わり採用されたのが、Ricochet(リコシェ)テクノロジー。
シャッターと反射板を組み合わせたテクノロジーです。
アップライトが多く欲しい時は、調整可能なシャッターを閉じ、不要なダウンライトを少なくし、上側に反射。光量を増やします。
ダウンライトが多く欲しい時は、調整可能なシャッターを開け、ダウンライトの量を減らすと言うわけです。
単純な様ですが、かなり有用。
アップライトの照射範囲は、40cmの吊り下げで、幅約4m。
ダウンライトは、タスクエリアの1.3m上の取り付けで、3.2×1.6m。
日本は現在シーリングライトが主流。
また間接照明なら別途買ってくださいという感じです。
昔は生活道具しか出していませんので、照明が少々場所を取っても問題足元要りませんが、家具をいろいろ置くのが当たり前になった今日、置くという発想の家電は人気が薄くなりつつあります。
その点、つり下げ型(サスペンド型)のライトで、双方できるのは、大いにメリットです。
またダイソン「らしいなぁ」と思うのは、その個性的なデザインです。
多分、デザイン事務所の様な、小事務所を中心に認知されていくのではと思います。
商品のより詳しい情報は、ダイソンのホームページ、ビジネス向けのページにてご確認ください。
http://www.dyson.co.jp
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2017年3月12日
タグ: Cu-Beam Duo, ダイソン, ライト