新製品

イイ感じの新タイプ ヘッドフォン。アンビー社の『sound earcuffs(サウンド イヤーカフ)』を試す。


ヘッドフォン、幾つ使っていますか?
私は、2つ。新幹線、飛行機の中で使うSONYのオーバーヘッドバンド式ヘッドフォン MDR-1ADAC。長時間付けても楽なことと、ノイズキャンセリング。そして飛行機内での映画を観る時にも使えるように、ケーブル接続です。
もう1つは、都内でウロウロする時の普段使い。
こちらは、軽く、音漏れがほとんどないのが条件ですが、音楽を楽しむという意味では、いろいろな条件が付加します。
主要道路、地下鉄の中でも音楽がハッキリ聞こえること。そして外の音も邪魔に鳴らないように聞こえることです。

例えば、ノイズキャンセリングの場合、車内放送はごく小さく聞こえるのですが、多くの場合は音楽でマスキングされます。要するに社内放送を聞き逃し、ついうっかりと言うわけです。東京の場合、本数が多いので、すぐ逆側の電車に乗りサポートできるのですが、これが、埼玉、千葉、などのローカル線になると、1時間に数本。ポッカリと時間が空いてしまいます。人生の休憩時間としてはイイことですが、次の予定が決まっている時などは、汗ダクダクなんてことも。

また、今、自転車に乗っている時の音楽鑑賞は禁止。全面禁止には異論があるのですが、そうなっています。これは逆もそうで、歩行者でも危ないこともあります。
自転車だけではないわけです。

ということで、外部の音も聞きながら、音楽が楽しめる音で聴けるのが望ましいわけです。

しかしヘッドフォンは、外部音を遮蔽するのを基本に作られていますから、そうは問屋が許さない。このため、むしろノイズキャンセリング型で、Bluetooth接続のモノを愛用していますが、上記の問題は片付いていません。
 
■「耳穴を塞がない」という思想

今年のウェアラブルEXPOに出展されていた
eo社の骨伝導ヘッドフォン


外の音を遮断しないということを考えると、一番有力なのは、音楽の音を耳以外から聞こえるようにする方法です。その考え方で作られたのが、「骨伝導ヘッドフォン」です。音の振動を頭蓋骨に伝え、直接聴覚神経に伝え聞くという方法を取ります。
昔より良くなりましたが、音を心底楽しもうとするには、もう少しだと思います。

それに対して、アンビー社が作った今回のモデルは、音を耳に流し込む方法を取ります。
音は音源から四方八方に散らかるように思われる人もいられると思いますが、実はある一方向だけに出すことも可能です。光も振動ですから同じ性質を持ちます。四方八方へ照らす電球の光も光なら、サーチライトのように同じ方向へ押し出すわけです。

分解図


キャップを外し、音導管を露出させたところ。


キャップをはめた状態。オレンジの穴から音が出る。


音を一方向へ押し出すには、筒の片方に音源を置き、逆方向の口から取ることをします。メガホンを逆さにいて、大声を出すのと同じです。
本モデルも、図でみると分かると思いますが、ヘッドフォンの中にあるドライバー(音源)を音道管で一点から外に出すわけです。

これで音漏れを最小限に留め、音楽を楽しもうというわけです。
しかも、音楽の方を耳に入れ込みますので。外の大きな音にも負けにくいというわけです。

色は6色。価格は、5,940円(税込)。


 
■新しい装着

通常のインナーイヤーヘッドフォンの場合、耳穴とのマッチングが重要です。実際、耳穴の形状をシリコンで型どりし、その人専用のヘッドフォンを作ることもあります。
以前、ソニーに所有の耳型を見せてもらったこともありますが、耳というのも千差万別。1つの形で対応する場合、心底大変です。

インナーイヤーヘッドフォンはドライバーを耳穴の側に付ける仕様ですが、今回のモデルは、音導管があります。彼らが採用したのは、イヤーカフ型。耳たぶの上部を挟み込む様に装着します。
女性ならアクセサリーをいろいろ耳に付けますが、男は余程のことがないと、カフはしません。ちょっと装着にはもたつきます。不器用な私などは、装着時先端部分が取れてしまいます。

女性がすると様になる装着方法。


が、きちんと装着すると、安定感抜群です。引っかけているわけでないので、ぐらぐらしません。

外から見るとこんな感じ。


 
■新しい体験もしくは第一印象

外の音も、音楽も極めて鮮明に聞こえます。
イメージは、スピーカーから聴いている感じに近いですが、スピーカーと違い、どの方向を向いても鮮明に常に目の前にスピーカーがあるような状態です。
今までになる新しい感触、いや音楽好きには快感です。

私は、外出る時は、面倒臭いのでiPhoneを音源としますが、非常にイイ感じです。
通常状態だと、ボリュームで40%。交通量の多い道路脇でも80%。余力があります。

音質もかなりイイ感じです。

 
ただし注意点もあります。
1つめは、ボリューム。
交通量の多いところのボリュームだと、普通の所ではかなり大きく聞こえます。
ところがボリューム操作は本体。歩きながらの操作は煩雑になるので、本体にボリュームのコントロールがあると、「その時々によって対応。」となるのですが、このモデルは、適応範囲の広いボリュームの位置を見つけた方がベターとなります。

また、ボリューム80%以上にだと、ドライバーの振動を抑えきれなくなり、音漏れがします。
つまり、先ほどのと合わせると、ボリュームは60%位が無難と言えそうです。

2つめの懸念点は、装着です。
装着してしまえば、何の問題もないのですが、装着時に力が入り、こじったりすると音導管のキャップが取れます。
今は慣れましたが、一番初めの時はキャップを落としてしまいました。
ま、慣れれば問題ないのですがね。

この当たりは、今後の課題とも言えますが、これはかなりレベルの高い要求。
この値段のヘッドフォンとしては、音質、性能共に十分すぎると言えます。

 
■ambie(アンビー)社のこと

ambie(株)は「⼈と⾳の、関わり⽅を変えていく。」を企業理念に掲げ、ベンチャーキャピタル WiLとソニービデオ&サウンドプロダクツとの共同出資により設⽴された合弁会社。
WiLが持つオープンイノベーションノウハウと、ソニーの⾳響技術を掛け合わせた⾃由な発想で、ユーザーの⽅々の⽣活をより良いものに変えるオーディオ製品・デジタルコンテンツを世の中に提案していくとのこと。

 
■『ながら』ヘッドフォンという分野を確立

今の世は、まれに見る消費文化で、ミリオンセラーの歌なども「あっ」と言う間に消費されます。
このため、誰でも知っている歌の少ないこと。
海外の人に、日本人が誰でも知っている歌はと言われて、日本のサブカルの象徴、皆が知っている可能性の高いアニメの歌を多用するほどです。

消費してしまい、伝搬しない。
「これって文化?」と問われると、「う〜ん」と唸りますね。

音楽の聴き方もそうですね。
「ながら」が当たり前。昔は歌い込める位、真剣に聴いた上での「ながら」ですが、今はすぐ「ながら」だそうです。
定額無制限のストリーミングなどは典型ですね。
その様な時代、つまり現代にピッタリのヘッドフォンと言えると思います。

いろいろ書きましたが、このモデル、かなり気に入っています。

 
商品のより詳しい情報は、ambieのホームページにてご確認ください。
https://ambie.co.jp

2017年2月14日

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