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4Kテレビは買いか?東芝 新型TV発表会


4Kのテレビの普及が始まった。
メディアでは、そう書かれるモノの、今一歩、ピンと来ていないことも事実。
理由は簡単。テレビは、放送受信機。その放送が4K対応になっていないからである。
■こんなこともありましたね。
昔々、クルマでカタログでの最高速、パワー争いがあったことを思い出してください。
ところが買ってみると面白くない。
クルマの面白みは、自分の手足の如く操るからこそ面白いのであり、それがままならないと、どんなにパワーがあろうと面白くないのだ。
この次に出てきた言葉が「ファン・トゥ・ドライブ(ドライブを楽しもう)」。
しかし、これもクルマ屋にとって鬼門。

クルマの挙動が面白いのは、変な装備が付いていない安価モデルだ。
まだ、神の様に褒め称えられる、トヨタ「トレノ」。通称86などもそうであるが、当時は最廉価モデルのスターレットが痛快だった。

しかし、最廉価モデルが高級車より売れてはならないわけで、メーカーは自社に最適な方向へ、ユーザーを導こうとするのも事実。

と言うことで、もう一度4Kの意味を考えて見たい。

 
■4Kの意味
まずディスプレイ解像度ですが、これが有効に働くか、否かを大きく決めるのは視力と、視聴距離です。これによりディスプレイのサイズが決まります。
いろいろな要素があると面倒臭いので、視力を1.0とします。

すると、
視聴距離 ハイビジョン 4K
1m 20型 40型
2m 40型 80型
です。

多くの人は、2〜3mでの視聴だそうです。
まあ、ハイビジョンの50〜60型だと、通常の方なら不満ないレベルになっていると思います。
となると、安いハイビジョンの方が安いし、それなりの価格だし、それでOKなのではということになります。

 
■高画質によって変わって来た画質評価
ここまでは単純に見えるか、見えないかです。
しかし、ディスプレイ全体が高画質化されるにより変わって来た評価項目があります。
それが「実物感」「奥行き感」の評価です。

私も別ペンネームで、DVD/BD映画の画質評価をしていたことがありまして、その時に思い知ったのが奥行き表現ですね。実物感もそうなのですが、BDは奥行き感がDVDに比べ桁違いなのです。陰翳を活かしたシーンなどは、見入ってしまうほどです。

これらは、解像度と同じとで細かくし過ぎると解らなくなります。
しかし、実は正確に見分けられる(解像度)より、実物感、奥行き感はより細かい表現が必要なことが発表されたのです。

昔、デジタル・オーディオの黎明期に、CDは20MHz以上は耳で聞こえなくなると言われたのが、今はハイレゾ。CDはイイ音とは言われませんが、アナログと違い、デジタルは規格がないと、どうしようもないですからね。標準としては大きな意味があります。

ハイビジョンもこれと同じような状態になっています。
ハイビジョンは解像度で決められました。そして標準になったわけです。
しかし、人間の眼(実際は脳?)をより研究すると、そんな単純には決まってなかったわけです。

 
■有機ELテレビと液晶テレビ、どちらがお勧め?
今年の目玉は、いよいよ有機EL大画面の投入と言うことでしょうね。
有機ELは、一昨年のIFAの基調講演を韓LGがした通り、韓LGがパネルの供給元です。
「しかも、これだけ液晶TVが全盛の世の中、有機ELって意味があるの?」という疑問もお持ちの方もいらっしゃると思います。

意味は大いにあります。
それは有機LGが発光型、液晶が透過型だということです。

発光型というのは、そのピクセル(画を構成する単位)が光を発しているということです。
このため、黒の時は発光しません。真の黒が作れるわけです。
透過型というのは、バックライトの光が液晶を通過する時に色もらうと言うことです。ところがバックライトは完全に消すわけには行きません。そのため、どうしても黒が白っぽくなってしまいます。
要するに、光の基調となる黒に差があるわけです。

アナログテレビに使われたブラウン管は発光型です。
では、その次の平面テレビの時、発光型はなかったのでしょうか?
そう、今はパイオニアもパナソニックも撤退しましたが、プラズマテレビが発光型でした。

が、このプラズマテレビ、画は良いのですし、応答速度も速い。
フィギュアスケートでも、ぶれずることがない優れものでし、DVD / BD映画の画質評価にも使えるレベルでした。
が、滅法電力の消費がスゴかったのです。そして発熱もスゴい。冬場、暖房替わりに使うことができる位でした。

ま、後期型は、消費電力も落とし、かなりの線まで行ったのですが、世はエコブーム。エコポイントなんてものもありましたね。
元々のイメージをぬぐい去ることができず、パナソニックは工場閉鎖に追い込まれました。
で、その次の技術が有機ELと言うわけです。

 
もうお分かりですね。
液晶がここまで進化した今、有機ELは映像好きが買うモノでいいのではと言うことです。
メーカー様には悪いのですが、普通の人にはオーバースペックです。

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東芝 65X910 有機LE 65型テレビ。
申し分ない画質。ため息が出てくる。


 
■東芝の特長は?
CESでも解るように、パナソニック、ソニーなども一斉に有機ELテレビを発表しました。
そんな中で、東芝の特長を幾つか上げておきます。

1)リビングにあったデザイン。

今、テレビが大画面化したことを受け、AVマニアでも普段は、プロジェクターでなく、リビングのテレビで映像を楽しむ人が増えてきました。
そんな人が好みは、テレビの存在感を消してくれということです。プロジェクターの場合はスクリーンですから、これはお分かり頂けると思います。

このため、今回は、スタンドが出しゃばっていません。
パネルは、有機ELの長所、パネルを薄型化できることを活かした、6.5mm幅。
「最高のインテリアは額縁だ」という言葉がありますが、それを実践したデザインです。

 
2)4K有機EL用専用エンジン 〜Beauty PRO〜

他社からパネルを買っても、東芝の画と言えるのは、専用のエンジンを積んでいるからです。
コントラスト、超解像、人肌の処理、などなど、これが画質のニュアンスを決めます。
料理で言うと味付けですね。
素材は海外から仕入れても、味付け、つまり画の見せ方は、東芝オリジナルと言うわけです。

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3)有機ELレグザオーディオシステム
平面テレビの弱点。それは音の悪さです。
画の迫力に対し、音が付いてこない。
理由は薄いからです。
スピーカーが迫力をもって、音をしっかり前に出すためには、スピーカーの細かい振動を増幅して前に出してやる必要があります。そのスペースが必要なのです。
今回は、正面から見えないように配置された新開発の大容量バスレフ型ボックス2ウェイスピーカシステムを搭載。
低音から高音までクリアな音声再現を目指しています。

DSCF9775 あるべき姿に作られたテレビと言えます。

 
さて気になる価格ですが、オープン価格。
発売時の店頭売価は、65型は90万円前後(税抜)、55型で70万円前後(税抜)の見込み。
性能も流石ですが、機能も流石です。
発売は、3月上旬予定です。

 
■液晶は、4K、2Kどちらを買うのか?
では、4Kと2Kどちらがいいのか?
という問題があります。
画だけを取ると4K。価格を取ると2K。

考えなければならないのは、放送の移り変わりです。
4K放送が、いつ浸透してくるのかです。
NHKは、オリンピックまでに4Kは当たり前、一部8Kもと鼻息荒いのですが、今、民放の経営は楽ではありません。
日テレは兎も角、他の局の視聴率が厳しい。
となるとスポンサーが付かないわけですので、お金が入らない。
幾らNHKがこうすればいいと指導したとしても、まぁできないですね。
正直、ハイビジョン化されて良くなったのは、スポーツ、音楽、自然ドキュメント、及び 字幕。

NHKは、国民から吸い上げていますが、ワンセグまで取ろうとする卑しい根性。スマホにワンセグ機能が付いていれば視聴料を取ろうなんて、言語道断・・・。
その金で4K放送を、他に先駆けてさっさかするのは、「デジタル標準を作るハイビジョンの場合なら兎も角、幾ら東京五輪だからと言ってちょっとね。」と思います。

それはさておき、問題は、2Kにしろ4Kにしろ、今のチューナーしか付いていないので、4K放送が普及するに従い、場合に寄ってはチューナーを変えなければなりません。外付けチューナーで頑張ると言う手がありますが、かなりカッコ悪い。

 
ただ、ディスプレイで見るモノはテレビだけではないですね。
光ディスク、デジカメ写真、ムービー、等々、4Kのソフトはどんどん増えていきます。
4Kのパネルがあれば、接続とかに工夫が必要だとしても、なんとかなります。
数年でなく、10年位使うことを考えると、4Kの方がベターだと思います。幸い価格もこなれてきました。

 
■東芝の4K液晶(Z810Xシリーズ)の特長
考え方は、有機ELと同じです。
オリジナルの画像エンジンで、液晶が苦手にする肌色を強化します。

DSCF9779 そして、有機ELと同じ考えで、音を強化。

あと一つは、バックライトの強化です。
全面直下LEDバックライトにしてあります。ちょっとお金の掛かる技術ですが、有機ELが実用化された今、液晶もポテンシャルを上げなければなりませんので。

 
こちらの方も全てオープン価格。
市場導入売価は、65型が63万円(税抜)、58型が42万円(税抜)、50型が35万円(税抜)です。
発売は2月です。

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左)従来、右)新型。
従来モデルで白トビしているところも、新型ではきれいな肌色。


 
商品のより詳しい情報は、東芝のホームページにてご確認ください。
http://www.toshiba.co.jp/regza/index_j.htm

2017年2月5日

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