「オーダーは、土鍋より美味しく炊けること。」という何ともスゴい宣言で始まったバルミューダの新型炊飯器の発表会。技術的には、「蒸気炊飯」というそうです。特殊なことは、そうなのですが・・・。
■売れたバルミューダの製品
バルミューダで、売れた製品は2つ。扇風機とトースターです。
この2つは価格も高いのですが、きちんと今まで気付かなかったところをキチンと修正し、良くデザインされた製品だと思います。
扇風機はDCモーターによりバッテリーが使え、より節電でき、今の住宅事情、睡眠事情にあった微風も使えるモノですし、トースターは5cc程の蒸気で内部の乾燥を防ぎつつ、外だけカリっと焼き上げます。特に後車は、やり方としては昔よりある手法ですが、面倒だったことを簡単にできる様にした点で評価しています。
ただし、今回の炊飯器は、各メーカー共、力の入った分野。羽釜炊飯を超えるために、あの手この手、膨大な人、金、時間を掛けて対応しています。
今後の動きというと、家族構成の変化により、メインが5.5合炊から3.5合炊きへ変わることでしょうか。
そんな中のバルミューダの新型炊飯器。お手並みを拝見と行きましょう。
■土鍋炊飯のポイント
筆者は、長谷園の土鍋でお米を炊いています。小さい穴が数個付いた中蓋が付いている専用のモノです。
炊き方は、余り難しくありません。といだお米を必要合数入れます。当然、水も。そして15〜20分放置。米に水を含ませます。
で、ガスをON。中〜強火。季節によっても変わりますが、私の持っている2合炊き土鍋に、2合の場合、7〜8分位で、外蓋の穴から湯気が出始めます。そして1分。火を止めます。
そのまま放置すること、20分。結構な具合に仕上がります。が、土鍋はアチチ状態で、鍋掴みを持っていても、余り持ちたくない状態です。
2合炊きに、2合だと水:360cc。ガスだと、7〜8分で間違いなく沸騰します。つまり、土鍋の中は蒸気で満ちるわけです。当然、蒸気は内蓋を温めて上に抜けようとします。そして中蓋も温まり、外蓋も温まると蒸気が外に抜ける訳です。
つまり、土鍋炊飯は、沸騰後、蒸気で二重に包まれた状態をキープするのがポイントなのです。
これに近いモノは、今の炊飯器に付いています。
洗う時、分かると思いますが、多くの炊飯器の蓋は二重。蒸気をある程度閉じ込める構造になっています。
■バルミューダの新型炊飯器
バルミューダの新型炊飯器は、独特の構造をしています。
外釜、内釜と釜が2つあるのです。
内釜には、お米と水と通常なのですが、外釜には、水200ccが入ります。
それを焚くわけです。
内釜は、この200ccの蒸気で焚かれるわけです。
逆な言い方になりますが、常圧蒸気ですから、100℃以上になりません。今の炊飯器は、加圧高温で、水分をどんどん米の中に入れていくのですが、それとはことなります。
ここから先、いろいろな説明を受けましたが、正直言うとバルミューダの主張が正しいか分かりません。個人的には、まだ理論的に組み上がっていない感じがします。興味ある方は、バルミューダのホームページをご覧ください。
■試食時の違和感
試食は、島根 仁多の「きぬむすめ」で行われました。
きぬむすめは最近作付面積が拡がりつつある品種で、コシヒカリと同等以上と言われる食味を持ちます。
また、島根県仁多は、美味しいお米の産地として非常に名高いところでもあります。
事実、仁多米は、米・食味鑑定士協会の、2017年国際大会の国際総合部門で『特別優秀賞』を取っています。
このエリアは環境保全地区としても名高く、鳥の生態系を守ろうとするバードライフ・インターナショナルの昨年のガラディナーのお土産が、仁多米でした。
さて、私も、米・食味鑑定士協会のライセンスを持っているのですが、米の食味鑑定は、炊飯後、1時間たったご飯に対して行います。
鑑定項目は、「色・ツヤ」「香り」「粘り」「食感」「食味」の5項目。
標準米は、魚沼産のこしひかり。比較して答えを出します。
色・ツヤ | 粒は揃っているか、色はどうか、光沢はどうかを確認します。 |
香り | 口元に近づけた時のふくよかな香り、噛み砕いた時のほのかな甘い香り、そしてノドを通る時の鼻に戻される香りですね。ノドを通る時の香りは結構重要です。 |
粘り | 噛んだ時の粘り具合です |
食感 | しっかりしているのか、柔らかいのか、それとも極端にモチモチした食感なのか等です。 |
食味 | 美味しいか、美味しくないか |
焚いたばかりのお米は、香りが強く、差は出ません。
炊きたてをお茶碗で。かなりさっぱりしています。粘りが少なく、かなりしっかりした炊きあがり。
粒立ちの良さ、カレー・炒飯などでのばらけやすさは、売りの一つですので、その通りに炊きあがっています。
というと良いように聞こえますが、正直、60歳以上の人には固すぎると思います。
考えて見ると、お米は老若男女全員が食べるモノです。が、幼児は、柔らかいお米を、それから段々かためになります。そして年を取ると段々柔らかくなります。
つまり炊飯は、ユーザーにより炊き分けるのが常です。
それに対し、バルミューダは全員が若手と言える年齢。
つまり官能評価で、かために票が集中したのではとも思えます。
通常、炊飯器は、標準の固さに対し、柔らかめ、かためにふるプログラムを持っています。
これに対し、バルミューダが用意しているのは、白米、早炊、玄米、炊込、おかゆの5つのモード。
時間は炊飯器にお任せになるので、水での固さ調整になるはずです。
今回の試食分は、今回として、炊飯器の善し悪しは入手後、条件を振ってみて結論づけたいと思います。
食味は、もう少し噛んだ時、米の旨みが出てくるような感じが欲しいと思いますが、及第点でした。
■割り切った仕様
この炊飯器、かなり割り切った仕様となっています。
まず、3合炊きのみのラインナップです。
次に保温機能はありません。
また、炊飯中湯気が炊飯器から上がります。
最近の圧力型は、蒸気を外に逃がさないモノが多いですが、これはそんなことありません。しっかり蒸気を出すタイプです。
ここら辺は、大人が使う道具としては問題ないでしょう。
逆にプラスなのは、内釜の圧倒的な軽さです。
米3合、水540ml入れても、女性でも苦にならないでしょう。
また、サイズが小さいのもいい感じです。
お米は主食ですし、何年も、何年も各メーカーは工夫を凝らしてきました。
しかし、まだこの様に新しい提案が出てきます。
今回発表会だけでは、その良さを見極められませんでしたが、テストをして、その有用性を見極めたいと思います。
商品のより詳しい情報は、バルミューダのホームページにてご確認ください。
https://www.balmuda.com/jp/