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8K 技術の使い道
CEATEC2016 03 NHK/JEITA


いろいろなところで8K映像のデモを見ます。
感想を一言で言うと、「こうしないとダメなの?」という感じです。
が、今回、「ここでは必要だなぁ」と思ったところがありました。
■4K、8Kの意味
4K放送が放送されていない現在、日本のテレビは、3台に1台は4Kテレビが売れているそうです。
これってかなりスゴいことです。
今回、8Kに対してコメントする前に、ちょっとこの意味を考えて見ます。

 
2K、4K、8Kというのは、解像度と言われるモノです。Kはキロ=1000の意味です。
2Kの解像度は、1920×1080。この内、1920の値が、2000に近いので、通称:2Kと呼ばれるわけです。
ちなみに、テレビの縦横比は、16:9ですので、片方の値が決まれば、もう片方も決まります。

そして、2Kは、HD、つまりハイビジョンを呼ばれデジタル放送の基になっています。
日本は2011年に地デジ化、デジタル放送にした際、2K基準になりました。

では、その倍の解像度を持つ4Kは必要なのでしょうか?

 
これは幾つかの理由があり、必要とされています。
一番言われているのは、「大画面化」。

今、貴方が、2Kを50V型(昔風に言うと50インチ)のテレビで見ていて、もう少し大きいテレビで見たいなぁと思ったとします。
が、2Kのまま大きくすると、・・・。
お分かりですね。画はドンドンなまった形で見えるのです。

デジタル放送の場合、1920×1080の解像度。これは、その画を2,073,600個、つまり約200万の小さなピクセルと呼ばれる四角で構成します。テレビを大きくするということは、この四角を引き伸ばすことです。
つまりボケて行くということです。

この200万ピクセル、どこかで聞いたような気がしませんか?
そう、デジカメでいう画素数です。
現在のデジカメの多くは、約800万画素。これはA3プリントしてもキレイに印刷できることから導かれています。

さて、それはさておき、テレビを大きくするには、高解像度化する必要があるわけです。

 
■多用途展開できる4K
DSCF2177

パナソニックの4Kムービー。
4Kの動画から切り出した静止画はキレイ。


4Kのメリットはその他にもあります。3Dです。
先日、連載が終わったマンガ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」にもネタで出ていましたが、この3D、両さん、私の様に根強いファンがいるモノの、日本ではパッとしません。

実は、この3D。解像度技術が非常に関与しているのです。

フィルムのコマ数、30コマ/秒は、人間の眼の残像原理を利用したモノです。
3Dの場合は、これを右目用、左目用と用意しますので、60コマ/秒必要となります。
これが意味するのは、倍の信号処理が必要と言うわけです。
要するに、すごくパワーのあるCPUが必要なのです。

ところが、そこまで技術が進んでいない場合は、どうするか?
処理できるまで、コマ数を減らすのです。
もしくは一コマの解像度を下げる。
当然、2Dより汚い画となります。

3Dを嫌う人は多いです。
が、今の作り込まれた3D映像(映画)は、スゴい!
超一級というより、「ド」級の凄さがあります。

これ言い方を変えましょう。
2Kの3Dを面白くするためには、4Kレベルの技術が必要なのです。

4Kの技術をモノにすれば、2K映像は何でもござれ、と言っても過言ではありません。
今の映像を充実させるためには、次の世代の技術が使えることが必要です。

 
■8Kの場合
DSCF7770

展示は、NHK / JEITAのブース


では、このまだ2K時代、8Kは必要なのかと言いますと、「必要なところもある」が正解です。
200インチのテレビが各家庭にある必要なんて構図はありませんから、そんな話をする人は置いて置きましょう。

では、どんな時に必要かというと、普段意識しないような、「微小」「望遠」を使うところです。
どこかというと「医療」です。

医療、特に先端医療技術は、このレベルの眼が必要なのです。
ほんの微かな予兆、そして、人体への影響を極力避けるための微小エリアの切開、接合を行うには、8Kの眼が必要。
0.04mm(40μm)の糸もはっきり見えます。見えると言うことは、勘ではなく、正確に使いこなせることを意味します。

DSCF7768 DSCF7769  
ところで、次の写真の意味すること分かりますか?

DSCF7767 内視鏡のレンズで、8Kの映像を得ているのですが、光量がスゴすぎて、白トビしている図です。
かなりの特殊環境。
8Kのキレイな画を得るためには、照明も含め、今よりさらに撮影環境を変えなければならないということです。

8K放送を、東京オリンピックにと言う人もいますが、私は4Kで十分。
むしろ、見方の多面化が欲しい。
選挙番組で、常に、つっこみの鋭い池上彰氏の番組がトップにくるのではなく、それぞれのチャンネルが工夫を凝らした映像で勝負して欲しいと思うのです。

8Kは開発費も掛かり、それを市場に落とすには2020年はかなり時期尚早と思うのです。
医療の、ややゆっくりめの歩みと一緒に頑張ると言うのは、どうでしょうか?

2016年10月7日

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