大幅に変わったCEATEC、CPS / IoT Exhibition を目的とし価値ある展示会になったのか?
昨年(2015年)、ドイツ ベルリンで開催されたIFAの後、CEATECに行くのは辛かった。
それは、余りにも訴えてこない展示が多かったからだ。技術、パーツ、製品、未来コンセプト、それらが並んでいるのだが、響かなかったからだ。WEDGE Infinityに、「ソニー、東芝が欠席したCEATEC ユーザーとの絆、切ってませんか?http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5509」というレポートを書いてしまったくらいだ。
それが、今年はどうだろう。かなり変わっていました。
■CPS/IoT Exhibition を目標に
今回のCATECは、サブタイトルがあります。
「CPS / IoT Exhibition」。
CPSは、サイバーフィジカルシステム。多様なデータ・情報が集まり、分析結果が現実世界にフィードバックされるという意味です。よく使われるクラウドサービスと考えてもらっても大きくはかずれません。
IoTは、インターネット・オブ・シングス。今あるモノ、何でもインターネットに接続させ、今までと違った機能を持たせようと言うわけです。
今、家電を含め、およそ世界のあらゆるモノは、CPS/IoTを上手く取り込もうとしています。
日本のエネルギー政策の一環とした「HEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)」もその一つです。
2016年のIFAでも、IoTは主題の一つとしてあげられていました。
が、それに対する展示はよくありませんでしたね。はっきり言って面白くない。
それが分かっているのでしょうね。IoTの展示は20%。新製品関連が80%でした。
2015年のCEATECが面白くなかった理由も、そこにあります。
システムを説明するためのパネル展示だけだと、全く面白くはないですからね。
洗濯機でも、幼い頃は、泡が回転するのを母親に「手を入れちゃあダメ。」と言われながらも、「スゴーい」と思いながら見たモノです。
これは観念ではないからですね。人は具体的なモノに引かれます。
面白くするには、具体的なものが必要です。
■シャープの「アシスタント」展示の意味
例えば、今回、シャープはかなり意欲的です。
「ホーム アシスタント」を入れてきましたからね。
「ホーム アシスタント」というのは、システムと人間とをつなぐ役割をするものです。
例えば、PCの場合、キーボードとマウス、ディスプレイがそれにあたります。
人間がシステムに命令を下す。キーボードとマウス。
システムが人間に回答する、ディスプレイ。
確かに、ビジネスなど、知的生産は、少々堅苦しいですが、キーボードとマウス、ディスプレイでも問題ありません。
が、日常生活には、堅苦しい。つまりシステム的に錬られていないわけです。
私は、家のシステムは「声」を使うべきだと考えていますし、常々そう主張してきました。
そして、スマホ、冷蔵庫など、顔がないモノとは会話がし難いことも。
そう、ホーム アシスタントは会話の機能に特化したロボットなのです。
IFAでは、シーメンスとボッシュのブースに展示。
私は「てるてる坊主」と勝手に名前を付けました。
シャープのは、「白だるま」と、これまた勝手に呼ばさせてもらいます。
実は、まだ、システムの最終スペックが決まらない今、売りますも、へったくれもないのです。
ただし、これがあるとないとで、天と地とも違います。
システムの具体性が出てくるのです。
要は納得できるだけのビジュアル。そして納得できるだけの説明が必要になると言うわけです。
■CPSとしての展示は今からの大きな課題
今回、気に入ったのは、パナソニックのセンサー展示。
例えば、ある球体を人の手に握らせます。
球体は樹脂部と金属部が半分半分、中には情報が入っています。
人が球体の金属部分に触れながら、別のスィッチに触れたとします。
すると球体内部の情報が、人間の手を伝わり流れ、その機器の操作をしてしまいます。
ちょっと可笑しな感じがするかも知れませんが、これは人間の体が電気を通す性質を持っているからです。
何か面白い。理論がどう、未来がどうということではありません。
係員も、「現時点で役に立つのかは不明。」と言っていました
引っ掛かかることが展示として重要なのです。
人間は必ず情報を取捨選択します。
有意識、無意識に関わらずです。
このため、引っ掛かる展示は重要です。そうでないと展示する意味がありません。
今回の、パナソニックの展示は上手いですね。
とは言うモノの、VR(ヴァーチャル リアリティ)を含め、最近のCPSに含まれる技術は、体感型が必要なモノがほとんど。説明を受けた上で、体感のために並ぶのですから、ともすると混み混みになりがちです。
ここら辺りは、主催者の力量が示されるところでしょうね。
私は、10に分かれた2時間のツアーコースなどがイイのではと思っています。
広く浅くと、狭く深くを分けて対応するわけです。
■日本の発信力
CEATECは、日本のメジャーな展示会。
もしこれが、去年を引きずりまくり、お客が入らなくなり、止めるとしたらどうでしょうか?
非常にもったいない。
一番大きいのは、日本発の情報発信力がかなり落ちるということです。
大企業は変わらないと言いますが、そうなのでしょうか?
私は違うと思いますね。
世界のジャーナリストを集められる見本市がある場合、そこに展示するということは、海外により具体的なイメージを持ってもらうことができるわけです。
日本として有力な情報発信力があることになるわけです。
今回のCEATECは盛大なレセプションレセプションは毎年行われています。が、なかなか盛大とは言えません。が行われ、安倍総理大臣を始め、高市総務大臣、世耕経済産業大臣らが祝辞を述べられました。
理由は、来年ドイツハノーバーで行われる国際情報通信技術見本市(CeBIT)へのメーカー出展を促すためです。ドイツ メルケル首相と安倍総理のトップ会談で、日本がCeBITのパートナーを獲得したためですが、もしCeBITにそれだけの力がない場合、安倍総理もパートナーを快諾はしなかったでしょう。
イイ展示会を持っているということは、それだけ強い国であることを意味します。
またイイ展示館は、裏で行われるビジネスも活発です。
余りお金に余裕のない、中小企業枠を設けるのも一つの方法だと思います。
中小企業への出展は、国がサポートしてもいいのではと思いますね。
とにかく、再出発をしたCEATEC。
まだ、まだ、トライ&エラーな所が目立ちますが、是非頑張って欲しいものです!
2016年10月4日