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スティック型掃除機の新基準は?
東芝の新型スティック型掃除機「トルネオV コードレス VC-CL1300」を検証


2000年から活性化を続けた掃除機市場ですが、最近割と落ち着いてきたようです。そんな中、未だに動きがあるのは、スティック型掃除機。2nd掃除機として導入されたモノですが、近々、50%以上の家庭で、メイン掃除機との役割を担うと考えられています。
■メインと2ndで何が違うのか?
スティック型掃除機は、別名コードレス掃除機。その名前の通り、機動力がポイントです。ただ機動力と言っても、どちらかというとコンパクトな一体型掃除機&コードレスであるため、直ぐ使えるところがミソ。

掃除も全体的でなく、汚れているところだけ。
ずいぶんぞんざいな掃除の仕方のように見えますが、一人住まいでしたら、これでかなり頑張れますよ!

が、一台でOKとはなりません。
理由は簡単です。
メインと呼ぶには実力が足りないのです。

よくあるのがモーターパワーが足りない。これは吸引力が弱いことを意味します。
強力なモーターはキャニスター型掃除機用に持っているのですが、大きく重い。スティック型掃除機には搭載できません。
また、ヘッドもキャニスター型の様に、錬りに錬られたものではありませんでした。
次に、充電量が不十分。これは家全部を掃除できないことを意味します。
また、キャニスター型と違ってヘッドの小回りが利きません。
先ほどのヘッドは、床の種類に対しての吸引力ですが、こちらは動作です。

ヘッドは、日本と欧州ではまったく違いますね。
欧州は靴の文化。床も基本的には堅い。そのためジュータンを引きます。
ところが日本は素足の文化。このためフローリングでも柔らかめ。どちらかというとキズが付きやすい固さです。
このためヘッド内のブラシも日本は柔らかめ。しかも素足ですり込んだような汚れも、雑巾で拭き取るような感じのブラシを使います。

他にもいろいろな要素がありますが、日本で、メイン掃除機として認知してもらうためには、これらをクリアしなければなりません。

 
市場ニーズが満ち、技術の積み重ねができてきた今、一斉にメイン掃除機を目指したモデルが発表されはじめました。
今回、紹介する東芝のスティック型掃除機、「トルネオV コードレス VC-CL1300」もその1つです。

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東芝 スティック型掃除機「トルネオV コードレス VC-CL1300」
オープン価格、9月下旬発売


 
■東芝のこだわり
スティック型掃除機は大きく2分されます。
1つは、重心が床にあるもの。重さはほとんど床が支え、押す感じで掃除する。典型例は、エレクトロラックス。
いま1つは、重心が手元にあるもの。重さはほとんど手で支え、振り回すような感じで掃除をする。
東芝「トルネオV コードレス VC-CL1300」もその1つです。

 
さて今回、東芝はどこにこだわったのでしょうか?

東芝が今回やり直したのは、バランスです。実は重さも約1.9kgと軽めなのですが、それ以上にバランスの取り方に感心しました。

バランスを見直すと言うことはどういうことでしょうか?
重さを手で支えるのは今までの通りですが、バランスを見直すことにより『軽く感じさせよう』ということです。

20160802 TO 掃除機 新製品説明会 資料_005

東芝の配付資料より抜粋


もっとも軽く感じるのは、重心を持つということです。
ヤジロべーでいうと、中央部、支点です。
スティック型掃除機で重いのは、モーターとバッテリー。その他の部分は軽いと言えば軽いのですが、体積が大きく、それなりの重さがします。
この3つのバランスを取るのです。

ところが、実際に握るところは、スティックの端、これは掃除機の端でもありますので、モーター、バッテリー、その他部分全部が手の前になります。これだとかなり重い。このため、モーターとバッテリーはなるべく手元に持って来ます。それで軽めに感じさせるのですが、東芝はそれ以上の作り込みを見せています。

トルネオVは、持つ所に丸ハンドルを採用しています。
そうすると丸ハンドルの下、掃除機をつり下げるような感じになります。東芝は、ハンドルの下にモーター、後ろ側にバッテリー、前側にその他の部分を配置しました。
ちょっとしたことですが、これがとんでもない違い。軽いです。

 
■軽いことはイイ事だ!
単純なことですが、身長差:数cmで、格闘技の強さが桁違いになるような差があります。
取り回しが良くなるのも1つですが、今足らないものをつぎ込むことができます。

冒頭に述べました通り、スティック型掃除機は、メイン掃除機を目指して作られてきました。
が、足らない部分があります。吸引力、充電量・・・。
確かに、時間を掛ければ解決する問題でもありますが、少々重くなることが許されるなら、現時点の技術でも「強い吸引力」「長時間使える充電量」を確保することができます。

つまり軽いことは、楽に掃除できるだけでなく、いろいろなことに使えるのです。

 
製品のサイズ、重さは割と議論される様ですが、バランスは余り詰めたという話はでません。
手間が掛かるのです。その上、訴求しにくい。

司馬遼太郎が、名鑓の描写を「持ちやすい、振り回しやすい、塩梅がいい」とありますが、スティック型掃除機のバランスはそんな感じです。
金がかかる割りに、店頭で訴求しにくい。

が、スティック型掃除機を存分に使うためには必要なことなのです。

 
■メイン掃除機としての仕様を備える
吸引システムは、独自の「バーティカルトルネードシステム」。サイクロン部にフィルターを持たないため、吸引力持続が自慢です。

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8つのサイクロン孔。


モーターは11万回転/分の「ハイパワーDDファンモーター」。

ヘッドも手を抜いていません。本格的なファイバーブラシ「トリプルイオンファイバーヘッド」。

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トリプルイオンファイバーヘッド
赤、黃、青の特性が異なる3つの毛を植え込んだヘッド


メイン掃除機としての仕様になっています。

 
■これは便利な3つの機能
また「トルネオV コードレス VC-CL1300」、3つの便利な機能を持っています。

1つめは「ゴミ残しまセンサー」。
これは0.5μmのゴミを確認しながら吸い取るセンサーであるが、喘息などの原因となるハウスダストなどは、一桁上のミクロン・オーダーなので、これがあると非常に楽。アレルギーを持つ人にもやさしい。

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ハンドル部のライトでゴミの有無を知らせる


2つめは「エアーブローノズル」。
こちらは排気で「吹き飛ばす」機能。今の掃除機は、室内を閉め切ったままで掃除できるように、徹底的に排気のフィルタリングフィルタリングがなされており、掃除機を掛けると空気もキレイになると訴求しているメーカーさえあります。
そんな排気を風速:25m/秒で吹き付けるわけ。
風速:25m/秒というのは、クラス10 全強風。(これより上には、クラス11 暴風しかない。)解説によると、「陸地の内部ではめずらしい。樹木が根こそぎになる。人家に大損害がおこる。」とあり、まあ凄いレベル。
室内の隅、窓枠掃除などで重宝するレベルです。

20160802 TO 掃除機 新製品説明会 資料_012

東芝の配付資料から抜粋


3つめは「壁掛け用ホルダー」。
スティック型掃除機の収納はいろいろな提案がありますが、一体型で部屋隅に置いておけてすぐに使える、を外しては非常に寂しいモノがあります。
「バッテリー外せます。」「本体だけ納戸に置けます。」というのは、頭で考えるとよさそうだが、実際は割と手間。
このため、否定意見があっても、部屋隅置きのためのツールは充実させるべきです。

 
■死角はないのか?
王道進化したといえる「トルネオV コードレス VC-CL1300」。
しかし、死角はないのでしょうか?

細かい点詰めが甘いのは、スティック型掃除機全メーカーにいえることあるので、ちょっと置いておくことにして、ここでは2つのことを上げます。

1つめは、動作時の長さです。
冒頭、バランスに関して書きましたが、こちらは長さです。
と言いますのは、ユーザーによって使い勝手のいい長さが異なるからです。
日本人成人の平均身長は、男性:167.3cm。女性:154.2cm。13cmも違います。
東芝のスタッフに聞いてみますと、158cmを中央値に設計したそうです。当然、大きな男性は持ちにくい。

これを緩和する方法として持ち手の部分をバー(棒状)にするという手、もしくはパイプを二重にしてスライドできるようにして、本体長さを調整する方法というのがあります。

が、今回の東芝は、双方とも採用していません。
このため、女性には問題ないが、男性はやや身をかがめて掃除することが必要になるかも知れません。
家事分担への影響が出るかも知れませんね。

 
2つめは、自立できないこと。
元々手持ち型なので仕方ないことと言えば、その通りなのですが、自立できると何をするにも便利なのは事実です。

 
本格的に伸びてきた市場に対し、発表された東芝のスティック型掃除機「トルネオV コードレス VC-CL1300」。
決してハデさはないのですが、よくよく使い方が考えられた製品だと思います。

 
商品のより詳しい情報は、東芝のホームページにてご確認ください。
http://www.toshiba.co.jp/living/cleaners/index_j.htm

2016年8月27日

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