今年は、スティック型掃除機がキャニスター型掃除機の販売を上回る年と言われています。私も使っていますが、まず便利さが全く違います。とにかく楽です。
各社共に、スティック型掃除機の商品力を強化する中、シャープは力を入れた新製品を出してきました。
■現在の掃除機に必要なこと
現在、日本の家屋の75%のエリアはフローリングだと言われています。
畳ではありません。
その上、雑巾などにより、上からプレッシャーを掛けての拭き掃除はほとんどしません。
このため、日本家屋に特有とも言える「壁際の細かいホコリ」「フローリングの皮脂汚れ」にきちんと対応する必要があります。
さらに昔と違い、家屋の密閉度が高くなりましたし、昔より声高に言われている「アレルゲン」にも、きちんと対応しなければなりません。
■今までのスティック型掃除機
今までのスティック型掃除機に求められたのは、「吸引力」と「持続力」。
要するにスティック型掃除機に必要な小型高出力のモーター、そして高性能バッテリーがなく、全メーカー、この開発が、まず最優先。
この2つが、ある程度のレベルに達したメーカーから、デザイン、使い勝手、等、独自の魅力が出せるようになったわけです。
時期的には、2014年の中頃からでしょうか。
この時期から、満足度がグッと上がってきました。
が、それは実用に足るスティック型掃除機ができる様になったということで、キャニスター型同等までキレイにできるという意味ではありません。
冒頭に掲げた3つのこと、「壁際の細かいホコリ」「フローリングの皮脂汚れ」「アレルゲン」などは不満足な場合が多くありました。
■激変した三代目「FREED」
さて、三代目は、その家をつぶすか、伸ばすかだと言われています。
歴史を紐解いても、鎌倉幕府の最後の将軍となった三代目 源実朝、南北朝の動乱を収めた足利幕府の三代目 足利義満、国内の治世を安定させ300年近く続く江戸幕府を確固たるモノにした三代目 徳川家光など、枚挙に暇がありません。
今年で三代目となるシャープの「FREED」ですが、正直かなり変わりました。
まず目立つのは、カラフルでポップな色に縁取られたヘッドです。このヘッド、鶏もしくは恐竜のヴェロキラプトルの蹴爪のような出っぱりが後ろに出ています。
異形と言っても過言ではない独特の形をしています。
どうして、こんな形なのでしょうか?
■スティック型掃除機がメインになったら
スティック型掃除機がメインの掃除機と考えた場合、部屋の隅々まで掃除することが前提になります。
結構時間が掛かるのですね。
先に、バッテリーの駆動時間が長いことが必要と書きましたが、20分以上運転できるようになった今、別の課題が出てきます。
それは、床の汚れを逃さない高い掃除性能、そして長時間掃除できる軽い操作性の両立です。
床の汚れを逃さない高い掃除性能。
強力な小型高出力モーターができた今、ヘッドをどう設計するのかが問われます。
ヘッドは基本的に、平べったい四角の箱です。その箱の中のゴミを空気ごと吸い取るわけです。
問題の一つは、その中にどうやってゴミを入れるのかということです。
空気ごと吸い取るわけですから、細かなゴミも吸い取るためには、この箱の密閉度が高くなければなりません。が、密閉度を高めると大きなゴミが入ってこられなくなります。
ヘッド前側を開け、そこに大型のブラシをはめ込み大型のゴミも吸い取る構造の掃除機もありますが、これは吸引力に優れたモデルでないと、その実力は出せません。
逆に密閉度を高くすると、中の細かいゴミまで吸い込むことが出来るのですが、酷い場合にはヘッドが床に吸い付いた状態になります。つまり、重いヘッド、扱うに困るヘッドということです。
家電はすべてバランスが取れていることが前提ですが、課題を解決、もっとより良い商品にして行きます。今回は、小型高出力モーターに合わせ、ヘッドを見直す必要が出てきたわけです。
■シャープの狙い
「アレルゲン」「壁際の細かいホコリ」そして「フローリングの皮脂汚れ」。
シャープはターゲットにこの3つを据えました。
まず「アレルゲン」です。
これは強い吸引が求められます。
シャープが行ったのは「絞り込み」です。
漫然とヘッド全体を吸い込むのではなく、ヘッドの中の特定アリアに絞ったのです。
狭いエリアとなりますので、吸気風の速度があがります。
新型ヘッドの場合、シャープの測定だと、100km/hr。約27.8m/sec。
気象用語でいうと烈風。樹木自体は倒れなくても、風で揺すられるレベルです。(これより上はあと一つ。樹木が倒れるレベルしかありません。)
この強い吸気風で、微細なアレルゲンに対応します。
次は「壁際の細かいホコリ」です。
これも似た技術です。
今回のヘッド、正面の壁に当たるバンパー部が、『軟質』の素材でできています。
つまり吸引が高いと、内側に引かれる、するとヘッド空間が小さくなりますので、より吸引を高めることができる。その力で除去します。
最後の「フローリングの皮脂汚れ」。
これは、先の2つの汚れとは違います。こびり付いた汚れです。
普通なら、雑巾で拭きまくり、こそぎ落とすなどします。
そう『吸い取る』のではなく、『こそぐ』のです。
これはヘッドの中のブラシが頑張ります。
「床みがきブラシ」と名付けられたブラシでこそぐのです。
■ヘッドが異形なわけ
ここまでの説明だと、ヘッドに蹴爪がなくてもいいように思います。
しかし、実際吸引力を上げるとパワーブラシでもなかなか前に進みません。
というのは、ブラシは毛の塊ですからね、床にぴったりとは付かないわけです。
むしろ同じ所で何度も回すからこそ、こそぎ落としなどができるわけです。
逆に付くとコロコロの領域。
先ほど、『こそぐ』と書きましたのが『はぎ取る』と書くべきでしょうね。
が、そんなことをしていたら手入れが大変です。
勘のいい人はお分かりでしょうね。
シャープはここに、走行アシスト用のモーターを入れたのです。
名付けて「e-ドライブ」。
■「ごみセンサー」付きました!
アレルギー性喘息など、アレルギーを持っている人に取って、掃除してアレルゲンが取れるか、どうかは非常に重要です。
しかしアレルゲンは小さい。実際眼に見えない。少なくとも、掃除中に見えるかと問われれば全く見えません。
この時の、対応方法は2つあります。
1つめは、ゆっくり掛けることです。1m2当たり、約20秒が目安です。
これは、実験から導き出された結果で、アカデミー(医学会)でも採用されています。
2つめは、アレルゲン、つまりハウスダスト用のセンサーを持つということです。
こちらは、アレルゲンのビジュアル化。とでもいうべきものでしょうね。
手元ランプがピカピカ光って、アレルゲンのある、なしを教えてくれるのですから、これは便利です。
■脱着式充電池の便利さ
シャープは脱着式充電池を採用しています。
実は脱着式充電池の良さは、1つでは中々でてきません。
2つあると明確に出てきます。
例えば、今回のFREED、標準モードで30分ですが、強モードだと8分。
しかし性格的に強モードが好きという人、割といます。
そうなるとFREEDは使えない掃除機と言われそうです。
が、EC-SX520はバッテリー2個付きです。
強モードでも16分。これなら実用的に問題ありません。
その上、交互に使えば、1つの電池に掛かる負荷は減りますから、寿命も延びます。
放充電回数:1100回ですから、単独で約3年。2つで6年。
イイ感じです。
■第一印象(1st impression)
シャープの三代目 FREEDを触った感じは、かなりいい感じ。
シャープがアピールする特徴はよく出ており、看板に偽りなしという感じです。
ただし、私(約170cm)には少し小さいというのが本音です。
スティック型掃除機のグリップには2種類あります。
バー状の、どこを持ってもいいですというタイプと、ここを持って欲しいとグリップを付けてあるタイプです。
シャープは後者です。
つまり、女性の身長に合わせたFREEDは、私は少しだけ前屈みになります。
メインで、これだけで、と言う場合は、適正サイズでないと長時間使えないですからね。
ちなみに、現時点では、長さの調整機能は付いていません。
よくできているだけに、少し残念でした。
逆に女性にはピッタリと言えると思います。
商品のより詳しい情報は、シャープのホームページにてご確認ください。
http://www.sharp.co.jp/products/