アクア、ブランド・リボーン(再生)宣言を聞いて
会社は「法人」という言われ方をしますが、多数の人間から構成されているにも関わらず、あたかも一人の人格を持つように感じられます。
そんなメーカーが、ダブル・ブランドを持つことがあります。
実は、これ人間が二重生活を営むようで、非常に大変。
結局、どちらかが主、どちらかが従となり、最後は消滅してしまうことが実に多い。
ハイアールは、日本市場攻略のため、パナソニックより旧三洋メンバーで構成される洗濯機&冷蔵庫部門を買収して2012年アクアブランドを立ち上げました。
ところが、ハイアール自体、白物家電ではワールドワードでは、トップブランドです。
当然、日本市場でもいう考えだと思いますが、アクアと並行してハイアールブランドも日本市場で展開しています。
ハイアールの主張が、くらしを楽しく変える、「NEWスタンダード家電」。
アクアのブランドメッセージは、”Life is pleasure”。訳すと「生活の喜び」ですから、よく分かりません。
■先代が掲げた「日本覚醒」
アクアは、今年頭でCEOが変わっています。
先代は、高名な伊藤氏。
彼が作らせたというR2-D2の動く冷蔵庫は、ビジュアル的に非常に面白いモノでした。
何せ、一台 100万円の手作り。
唸りはしましたね。
ユーザーへの認知は上がると思いましたが、「だからどうした」ということにもなる商品です。
そんな中、アクアはドラム型洗濯機、AQW-DJ7000の販売を中止しています。
以降、ドラム型洗濯機は出しておりません。
アクア ドラム型洗濯機、AQW-DJ7000は、名機でした。
お湯洗い、空気洗い(オゾン洗浄)も付いており、洗濯の必殺技のデパートと言ってもいいです。
できないことが皆無。
省エネ性は、他メーカーより悪い所もありましたが、使って損しない一品。
というより、ファッション好きなら、この一台と言うべき逸品でした。
伊藤氏の種々の提案は、面白くもあったのですが、ちょっと、地に足が付いていないと感じたのは、私だけでしょうか?
■地に足を付けた商品作り、宣言
そんな状況の中、今回の「ブランド・リボーン宣言」です。
アクア(株) 日本代表 執行役員の山口仁史 氏の話から始まりました。
人の世の中は、自分が変わろうが変わるまいが、変化します。
いわゆる状況は変化すると言うわけです。
これに合ったモノを提供することが、重要というわけです。
特に今後は、日本の単身世帯数が大幅に増えます。
超高齢化社会の典型です。
そんな時代に、大型の冷蔵庫は必要なのでしょうか?
適当なサイズで、より使いやすい冷蔵庫の方が良くないでしょうか?
という訳です。
野球でよく勝っている時は、「オーダー(打順)を変えない。」ことがセオリーと言われます。
これは逆の言い方をすると、一寸でも綻びがでたら、変えなければダメだということです。
似た話にビートルズの一言が上げられます。
彼らの最も重要なことは、”Changing is best”だそうです。
「変わり続ける」ことが重要。
これを、キチンと行いますというわけです。
■語られなかったハイアールとの切り分け
実は、白物家電ですが、大半は買い替え需要。
しかも、壊れてから買いに行き、即決ということが多い。
じっくり選ぶのは、新生活が始まるとき。
と言っても、学生、就職時はお金がありませんからね。
最も、家電が充実するのは、新婚時です。
もし真にブランド力を狙うとしたら、新婚の女性でしょうね。
しかし、今回は、そのような話はでませんでした。
それどころか、ハイアールとの切り分けの話すら出ませんでした。
ここはちょっと残念でした。
ただ考え方と、商品を見る限り、現状ではアクアの方に分があると思います。
日本市場は、洗濯、冷蔵庫共に、風土環境が海外と異なるため、作り込んだモノの方が有利ですからね。
■第一印象
商品企画をした人なら、実に「当たり前」の話。
しかし、このことができているメーカーの実に少ないことか。
マーケティングデーターを持って説明するメーカーが多数ありますが、データーの読み込みが不十分なメーカーも多々あります。
そんな中、技術のあるアクアが、原点を見つめ直すというのは心強い話です。
ブランドのイメージワードなど、何もない発表会。
しかし、後日レポートしますが、この後の製品説明は素晴らしかった。
メーカーは最後、ブランドでもなく、商品そのものでユーザーと会話する訳ですからね。
画になるとは、言いがたい発表会でしたが、王道を歩もうとする今年のアクアの商品には、大期待です。
それと共に気になるとは、伊藤氏の遺産。
スケルトン洗濯機、液晶ディスプレイ扉の冷蔵庫など。
私は、これらも丁寧に仕上げて欲しいと思っています。
部分的な活かしでもイイです。
例えば、スケルトン洗濯機の動作音、水音などは非常に美しく「癒し」が感じられる程でしたし、狭い部屋でテレビと冷蔵庫の合体は、スペース効率的にも誤っていません。
が、アイディアは一度捨てると、死にます。
兎に角、捨てないで頂きたい。
今、シャープが、東芝が、中国系メーカーの傘下に入ります。
しかし、三洋のメンバーは頑張り、自分たちが主張できるブランド、「アクア」を作り上げました。
シャープ、東芝が、今後どうなるのかは分かりませんが、「アクア」もやったのだしということで頑張って欲しいです。
頑張れ、日本の家電マン!
⇒To Be Contined ”アクアの多彩な中小型冷蔵庫”
2016年3月25日