東京電力の小売り自由化に向けたメニューの検証01
もしくは電気料金が1万円以下、月の使用量が、300kWhまでの人へ
東京電力、電力小売り自由化に向けたサービスメニューが提示されました。
今回の一連の価格の基礎になるため、じっくり検証して行きたいと思います。
■プランは大きく2つの種類に
まず、従来のあった基本プラン、従量電灯は全て残ります。
それに対し、新プランが出されるわけですが、新プランは大きく2つに大別されます。
1つは、日中一定の価格で販売するという従来電灯の考えを世襲するもの。
あと1つは、スマートメーターを活用し、積極的に節電してもらおうとするものです。
まず、従量電灯に比して出された「スタンダード」プランから検証します。
■スタンダードSと従量電灯Bの比較
スタンダードSとして、東電から出された単価は次の通り。
これは従来電灯Bに当たるプランですが、基本料金は同じです。
では、電力量料金を比較するとどうなるかというと、僅かに高い設定になっています。
これは、従量電灯Bで用いられていた、三段階料金制度の第1段階料金と第2段階料金をまとめて、最初の300kWhとしてまとめたためです。
該当者は極めて少ないと思いますが、電気量料金(基本料金などが含まれていないため、実際に電気料金として支払金額とは違います)としての差は、2000〜3000円位の時が、最も差が出ます。
■スタンダードLと従量電灯Cの比較
同様に出されたのが、従来電灯Cに当たるスタンダードLです。
こちらもスタンダードSと同じ事が言えます。
■スタンダードXプランと他のプランのポイント
一番大きな違いは、スマートメーターの積極活用です。
ピーク電力によって、基本料金を変えようというものです。
下の説明図を見てください。
電力の使用量は年間で出たり入ったり、ピーク電力というのは一番多く使った瞬間の電力を言います。
例えば、たまたま、エアコン暖房と、電子レンジと、IHクッキングヒーターに加え、洗濯乾燥機を動かしてしまった(どれも消費電力が多いものです)とすると、その瞬間がピーク電力になるわけです。
ユーザーから見ると、そんなタマタマの瞬間で、年間の基本料金が高くなるのかいと思われると思いますが、これは電気の施設がピーク電力に合わせて建設、運営されるためです。
例えば、ここ数年、原発がなくても日本はやってきています。
理由はお分かりですよね。
皆、節電しているからです。
夏などは盛んにピーク電力をアピールします。
ご丁寧にも、今何%まで教えてくれます。
これは設定されたピーク電力を越えると、電力会社はそれ以上の電力を供給することができないため、停電にせざるを得ないからです。
ただアピールし過ぎて、お年寄りの熱中症を誘うようなことがあるのは頂けないですが・・・。
ただし、これはユーザーの使い方次第でピーク電力を下げることも出来ます。
先ほどの例で言えば、洗濯乾燥機を炊事の時に動かさなければいいわけです。
基本料金が固定の場合、節電は耐える一方でしたが、これは違います。創意工夫で値を下げることができるわけです。
因みに、スタンダードLとXで、基本料金の単位が異なります。
Lは、「kVA」。Xは「kW」。
直流の場合は、皆さんもご存知の W(電力)=V(電圧)×A(電流)が成り立ちます。
が、交流の場合、これに力率を掛けます。
単純に言うと、仕事に使われた電力を算出しているわけです。
ということで、「kW」の方がより実際に近いです、
スタンダードXは、自分で節約できるスタンダードLと、言う言い方ができます。
■新プラン スタンダードのまとめ
これでお分かり頂けると思いますが、東電は新しいプランで値下げを行っているわけではありません。
理由は、電気のインフラは、国のベーシックインフラであるため、安く供給する必要があったからです。つまり、電力会社は良心的な価格で供給してきたということです。
このため「小売自由化」と言っても、そう簡単に20%値引きます、なんていう数字はでてきません。
これが実態です。
特に使用電力が少ないと、値引ける部分は少なくなります。
このため東電では、いろいろな提携先セットプランを作っています。
つまり単独でできない値引きを、複合することにより出そうという考え方です。
では、他社頼みかというと、そうではありません。
■変わる東電
プラン発表時に、小売を受け持つカスタマーサービス・カンパニーの小早川プレジデントが話したことは、「東電は電力会社ではなく、エネルギー会社」であるということでした。
これはジョークではありません。
東電の発電所の主力は、LNG(液化天然ガス)を使っています。
つまり、ガスを扱う量も半端ではないわけです。
今、業務用で使っているLNGを都市ガス化して売れば・・・。
2017年には、ガスの自由化も始まりますからね。
ここで勝負することが可能なわけです。
こうなると、家庭の2大エネルギーを扱うわけですから、影響力も変わってきます。
■月の使用量が、300kWhまでの人に
このため、月の使用量が、300kWhまでの人は、慌てないことが肝心です。
放っておけば、今まで通りのプランで継続されますからね。
全てが出揃ってから、改めて契約を考えることをお勧めします。
その時のポイントは、基本料金の見直しです。
そのためには、どんな家電を持っていて、どんな様に使ったのかを把握します。
東電はでんき家計簿など、様々なサポートツールを持っているので、それを試すのも一つの手です。
⇒To be continued
『東京電力の小売り自由化に向けたメニューの検証02
もしくは電気料金が1万円以上、とにかく電気を使う人に』
詳しい情報は、東京電力のホームページにてご確認ください。
http://www.tepco.co.jp/index-j.html
2016年1月8日