レポート

エアコン暖房が嫌いな皆様へ
エアコン暖房のポイントはココ! その2


まず質問です。
オイルヒーターとエアコンで、人がいない状態で、同じ温度まで温めたとき、室内の状況は違うでしょうか? いろいろな人に質問すると、かなりの人が違うと答えてきます。
■足を狙って温める最新式エアコン暖房
が、正解は「同じ」です。

何故「違う」と言う答えが多いのでしょうか? 理由はエアコンの「風」にあります。空気環境の快適性と言うのは、「気温」「湿度」「気流」「放射熱」「着衣量」「運動量」で決まります。オイルヒーターが気持ちがイイのは、放射熱だからです。

では、エアコンの問題は何か? それは風です。冷房では温度を下げてくれる風が、暖房では不利に働くのです。エアコン暖房で最もしては行けないことは、ずばり顔に温風を浴びることです。気持ち悪くなることも一つの大きな理由ですが、それに加え湿度が少ない冬場、温風を浴びると脱水が促進されるからです。顔も突っ張ります。

昔から「頭寒足熱」と言います。こうすると身体にイイという言葉ですが、非常に理にかなっています。

人間は恒温動物です。そして心臓を始め、脳以外の重要な臓器はすべて胴に入っています。このため寒さなど、身体に影響を及ぼす行為に関しては、すぐ反応をします。そう、血液を胴に集めるのです。当然手足は冷える。だから足熱です。足熱がイイのは、胴もやんわりと温められるからです。頭は逆ですね。知恵熱という言葉がある通り、熱を帯びやすい。当然、熱してはいけないということです。

各メーカーで技術は微妙に違いますが、今のエアコンは、人間、及び空間の状況が優れています。これにより室内に居る人の足元に向けて温風を送ります。合理的で、人にとって気持ちのイイ温め方と言えます。

 
■最新式エアコン暖房は床暖型
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生活家電.comでも人気の高い、三菱電機のエアコン、FZシリーズ。
最近トレンドは全て入っている。


人の足を温めない場合は、エアコンは部屋を温めます。
今のエアコンは床に温風を吹き付けて温めるのです。

これは温かい空気は軽く、天井に溜まる性質があるためです。エアコンは壁に付いていますから、そこから温風を床に吹きつけて這わします。そして暖気は上にのぼって行きますので、部屋全体が暖まるというわけです。

この方法が最近のトレンドなのは、風向きと風の組合せにあります。
風向きは温風をなるべく真下に送ります。これはフラップ等風向きの制御技術が上がったからです。そして風の組合せで床全面に温風を這わせることをします。
これは温度の違う風を放出できるようになったためで、例えば床を温める温風の上に、温風より少しだけ冷たい風を覆い被せるのです。その風がフタになるので、暖気が部屋の上側に上がるのが遅くなります。それで部屋の床の隅々まで暖気が回るというわけです。

このため、床の上を温風が通りやすいようにキレイにしておくことです。通らないと空気の温度にムラができます。冷気溜まりです。防ぐためには、ロボット掃除機が掃除しやすいレベルにしておくということでしょうかね。

夏は天井を舐めるように冷風を出し、冷気が降りてくるので部屋全体を冷やすなら、冬は床を舐めるように温風を出し、暖気が上にのぼり部屋を温めるわけです。そして、その暖気がエアコンの中に入り、また床に吹き付けられるという形で循環するのです。ちょっと古いエアコンは、ここまでの制御はできませんが、顔に当てない、温風を床に当てることは可能です。これがエアコン暖房のコツです。

 
■サーキュレーターは必要か?
一頃、サーキュレーターが必需品の様に騒がれた時がありました。
しかし本当にサーキュレーターが必需品かどうかは、エアコンと天井の位置関係によります。

まずエアコンと天井があまり離れていない場合、サーキュレーターは意味がありません。エアコン自体が、その役目をすることが、今までの説明からご理解頂けると思います。

しかし、今のリビングは吹き抜けなどを使いますからね。エアコンの上にかなりのスペースがあるわけです。こうなるとこのスペースが暖気溜まりとなるわけです。このスペースが大きいとサーキュレーターをお勧めします。
サーキュレーターが必要なのは、そんな時です。

 
■加湿機は必要か?
さて、冬に悩ましいのは湿度の問題です。冬、乾く理由の1つは低温だからです。空気に含むことのできる水分量(絶対湿度)が少なくなります。このため低湿でも、人間の身体から常に水分が出て行きます。身体が乾くわけです。その上低湿はウィルスが存在しやすい環境。このため50%位まで湿度は上げたいモノですよね。で、加湿機の登場と言うわけです。

が、使う前に知っておきたいことが幾つか。

1つ目は、湿度は偏在しないと言うことです。部屋の端で湿気を出したとします。数分で部屋の中の湿度は一定になります。冷気溜まりのような湿気溜まりはできないということです。

2つ目は、温度が上がると、絶対湿度は上がるということです。空気に含まれる水分が上がるわけです。この逆も真なりです。

3つ目は、部屋の中に放出される水分量は考えているより多いということです。人間も放出していますし、コーヒーなどからも放出されます。コーヒーからでも出る位ですから、料理などしようものなら、一気に上がります。鍋物したら90%まで湿度が上がったと実体験を語ってくれる人もいました。

その温度の空気が含むことのできる水分を越えることが日常生活をするだけでも起こるわけです。では、余った湿気はどこへ行くのか? 結露として水に戻るのです。

結露と書きましたが、別の言い方をするとカビ発生の必要条件です。日本の高温多湿は、微生物に取り好ましい環境で、カビの種類は世界でもトップクラス。どこにでもカビはいるということです。つまり結露でも放っておくとカビるということです。

結露を防ぐためには、湿度を上げないことです。しかし冬場のエアコンは、除湿が効きません。このため、加湿するときは「ゆっくり」とです。そして必要なだけ放出すると、すぐに止めた方がイイです。店頭でよくある白煙が見えるような使い方は避けた方が賢明でしょう。

ちなみに加湿し過ぎたのだが、結露をさせたくない場合は、どうするのか。1分換気をお勧めします。湿度は偏在しませんから、短時間でもかなり下げることができます。

 
■肌のケアは・・・
20151225 資生堂 笑顔はヒカリも味方にする 資料_005 のコピー 最近、資生堂の方に質問する機会がありました。
資生堂から提示された、水分蒸散量と湿度に関するデーターで、「どの位の湿度ならベストなのか?」と聞いたわけです。

資生堂担当者の答えは「わかりません。」でした。

ただ資生堂は、肌のみずみずしさは非常に必要と考えており、浸透性の良い化粧品を開発しているとの事でした。

 
昔から、関東は上州(今の群馬県)からのから風が有名でした。
江戸時代の考証をされる人によると、江戸っ子はパサパサの肌だったとのことです。
から風に肌の水分を持って行かれるわけです。

それを考えると、家の中、家の外も考えると、スキンケアというのは、肌自体に頑張らせるモノなのかも知れません。
が、高湿だと脱水しにくくなるのも事実です。

室内を加湿するモノありですが、くれぐれもカビ対策も考えながらでお願いします。

 
■最後に
今のエアコンは、今まで述べたことに基づき設計されています。弱点は、暖房時は、エアコンが持つ「温度コントロール」「除湿」「送風」の内、「除湿」は使えないこと。また「送風」も直接的なメリットは出しにくいことです。このため、家が持つ要素、換気との連携プレイが不可欠です。家の知識も必要になります。

最新のエアコンは、ヒートポンプの性能が上がったため、かなり寒冷地でも充分実用性があります。そして省エネです。このためメイン暖房で使うならエアコンです。せっかくの省エネ暖房器具。正しく使って安く、温かく、そして健康的に乗り切りましょう。

最後に、年末にも関わらず取材を受けて下さいました、ダイキン工業、パナソニック、日立ジョンソンコントロールズ空調、富士通ゼネラル、三菱電機(五十音順)の各メーカー様に厚く御礼申し上げます。

2016年1月4日

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