レポート

エアコン暖房が嫌いな皆様へ
エアコン暖房のポイントはココ! その1


空調の中で、エアコンはもっとも流布した家電でしょう。世帯普及台数は2〜3台。どの家に行ってもあります。
夏に評判がいいエアコンですが、冬はさほどでもありません。
あまり暖まらないとか、暖房費が掛かるとか、いろいろな声が飛び交います。今回は、それに対し、どうすべきなのかをお話ししましょう。

 
■直火暖房はもはや使えない
まずは、エアコン以前の話から。
私が幼い頃、各家庭にあったのは石油ストーブとコタツ。今は両方ともあまり見かけません。どちらが残っているかというとコタツですね。

実は、今の日本の住宅には、石油ストーブは合わないのです。これはガスストーブでも同じですが、直火方式というのは、今の日本の住宅にはなかなか合わないのです。
今の日本の住宅は密閉性がイイのと、人があまり換気に気を遣わなくなった、というより換気を無視しないと生活が成り立たない人が増えたと言うべきなのでしょうね。

エアコンが出てから、夏場の快適さに魅了された日本人がしたことは、建物の省エネ化を進めることでした。エアコンがなければ、日本の8月など仕事になりません。私は日本人が勤勉に働くのは、エアコンがあるからだと思っているくらいです。

省エネ化は、別の言葉でいうと、断熱化です。窓は二重以上で、できれば木枠サッシ、壁、天井には断熱材。そしてエアコンは空気を入れ換えないで部屋を冷やすので、換気は少し。これが基本です。そのため、極めて密閉度が高い、これが現在の日本の住宅です。

その上、外の空気にはいろいろなものが飛び交っています。国民病扱いに近い花粉症は、国民の約1/3が発症しています。2月のスギ花粉の飛散から、5月にヒノキの花粉の飛散が終わるまでの4ヶ月間は、窓も開けられません。さらには秋のブタクサなど・・・。花粉症だけでなく、黄砂、PM2.5。窓を開けるのが億劫になる状況です。

さらに、まだ十分な24時間換気システムが整っていない家も多い。今からZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)が実用化されるに従って、それに必要な太陽電池、蓄電池、HEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)に加えて、24時間換気システムもちゃんとしたものが取り入れられることになると思います。

 
さて、私が換気、換気というのは、人間が放出する二酸化炭素、そして過大な湿気は基本換気でしか、入れ替えることができないからです。直火は酸素を消費、二酸化炭素をどんどん増やします(完全燃焼)。それだけならまだしも、酸素が少なくなると一酸化炭素を出します(不完全燃焼)。

二酸化炭素は安定した化学物質なので、それなりの量でも人体には影響はありませんが、一酸化炭素は違います。不安定な状態ですから酸素を奪っても二酸化炭素になろうとします。分かりやすくいうと、すぐ一酸化炭素中毒になるということです。環境基準で、1時間値の1日平均値が 10 ppm 以下であり、かつ、8時間平均値が 20 ppm 以下であること。これだけ微量なのです。これが直火暖房が、今の密閉性が高く、換気の少ない日本住宅に合わない理由です。
昔使っていたのは、現在程の密閉度がなかったことに加え、窓開け換気を積極的にしていたからです。理由は簡単です。各家庭が一酸化炭素の危険性を充分熟知していたからです。今や直火暖房も進化していますが、今はこの様な知識を知らない人もいるため、ちょっと長めに書きました。

 
■エアコンは原理的に省エネ型
DSCF9960

1968年の三菱 壁掛セパレートエアコン
この当時は、家の密閉度が足らなかった上、理論を実現できるだけの技術もなく
エアコン暖房は高かった。


しかしそうなると、電気を使って暖房するしかなくなります。
方法は、大きく分けると2つ。電気ヒーターを使う暖房とヒートポンプを使う暖房です。
電気ヒーターは電気エネルギーを熱エネルギーに変換します。これはかなりエネルギーを消費します。ヒートポンプは外の温度を上手く使い温度を上げます。そう、大気が持つエネルギーを使い、電気エネルギーを最低限に抑え、暖房することができるのです。これがエアコンが、ヒーターより広い空間を、安く、暖かくすることができる理由です。

では何故、エアコンの暖房費は高いというイメージがあるのでしょうか? それは使い方が違うからです。電気ヒーターで、部屋全体を温めませんよね。一時的かつ局所的。しかしエアコンは部屋に付いているので、部屋を温めるのが前提になりますので効果が少し分かりにくい。もし電気ヒーターで部屋を温めることになると、電気代がかかってしようがないでしょう。

 
■窓はヒートポンプ
ではエアコンで暖房するとして、より省エネで使う方法はあるのでしょうか?

まずエアコンは外気の温度を利用します。このため、なるべく外気との差が小さい方がエネルギーを使いません。このため設定温度を低くすると省エネになります。が、冷房と違い、寒さは我慢できないため、設定温度は人によりかなり違うと言います。さらに「活動量」「着衣量」で、人の快適性は大きく変わります。省エネ設定時は、着込むことが前提となります。

それ以上に必要なのは窓への対応です。1992年の省エネ住宅(築23年)の住宅モデルを例に取ると、屋根から6%、床から10%、外壁から19%、そして換気で17%。残りは窓からで、なんと48%。

新しい家はどんどん断熱が進んでおり、二重窓どころか、三重窓の家もあります。そしてそれが木製サッシならなお断熱性がありますので、この計算通りではありませんが、とにかく窓は要注意です。

窓ガラスが一重だと、窓はどんどん暖気を冷気に変えるヒートポンプと同じです。部屋を温めているのに、窓が冷房として機能しているわけです。

シンプルで効果的なのは、厚手のカーテンです。冷気は下に溜まりますので、冷気をカーテンで封じ込める感じで、セッティングしてください。これでかなり暖かさが違ってきます。

⇒ To be continued tomorrow

2016年1月3日

タグ: ,