レポート

快適を越える「快感」暖房。デロンギのマルチダイナミックヒーター


密閉度の高くなった日本の住居。
密閉度が高い故に、昔の様にいろいろな暖房を選択することはできません。
例えば、石油ストーブ。煙突を付けなければ、換気が足らずにしんどくなります。
「火」自体を暖房に使えなくなった今、皆さんは暖房に何をお使いですか?
エアコン? 電気ストーブ? パネルヒーター? オイルヒーター?

今回は、デロンギのマルチダイナミックヒーターをテストした結果をレポートします。

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デロンギのマルチダイナミックヒーター。
書斎が6畳であるため、約6〜8畳用のMDH09-BKをテスト。
他に約10〜13畳用のMDH15BKがある。


 
■空気調整と快適性
室内環境をコントロールする場合、話は空気調整と快適性に分かれます。

空気調整は、人間にとり適切な空気になる様に、環境を整えると言うことです。
要素は、「温度」「湿度」「気流」「二酸化炭素量」「粒子状物質(PM:Particulate Matter)」「揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)」の6つ。

二酸化炭素は、空気中濃度、1000ppm(0.1%)を越えると頭の働きが低下、3〜4%に達すると頭痛・めまい・吐き気などを催し、7%を超えると意識がなくなると言われています。
密閉性が高い室内だと、すぐに濃度が上がります。

そして粒子状物質の代表が、PM2.5ですが、(スギ)花粉、黄砂、カビ胞子などもこれに含んでもイイでしょう。呼吸器系に悪影響を及ぼすことが知られています。

揮発性有機化合物は、新建材によるシックハウス症候群で一躍有名に。悪名高きホルムアルデヒドはここに属します。

ここで分かりますように、空調された空気とは、温度、湿度、そして風量管理された、成分もきれいな空気を意味します。何となく理化学的な感じですね。

 
一方快適性です。
快適性評価「PMV(=Predicted Mean Vote)」も、段々一般的になってきました。
この評価方法ですが、国際規格 (ISO7730) になったのは1994年。今ではオフィスづくりの温熱指数として世界各国が採用している物です。

こちらの要素は、「温度」「湿度」「気流」「放射」「活動量」「着衣量」
「放射」「活動量」「着衣量」の部分が異なります。

ここで言う「放射(温度)」は壁、天井、床、家具などから赤外線によって人体に伝わる熱のことです。
そして、「活動量」「着衣量」は人により変わってきます。

 
暖房を考える時は、「温度」「湿度」「気流」「放射」を考えなくてはなりません。
つまり、空調とは要素が一部異なるわけです。

 
■エアコン暖房の基本とトレンド
エアコン暖房がランニングコストが最も安いのにも関わらず、いろいろな暖房器具が提案されています。それは、「湿度」「気流」「放射」の関係が微妙だからです。

 
まず、人間自体、次の特徴があります。
「頭寒足熱」。極めて重要な特長です。

人は、恒温動物です。
特に重要な臓器、心臓、肺、内臓が同じ場所に集まっているのは、そこだけ温めるだけでイイからです。それが胸から胴です。

では、実際に体温が低下しそうな時はどうするのか。
手、足などの熱を、体に廻すのです。
このために、冬場は手、足が、冷たくなります。体質によっては、シモヤケやアカギレなどになり大変です。
このため、人間、暖を取る時は、手、足をじっくり温めるのがイイのです。
ちなみに、脳は発熱量が大きい。
逆に言うと冷やし気味がイイわけです。

さらに言うと、冬場、温風が顔に当たると皮膚が乾き、ツル感じがしますね。
冬は低湿度ですからね、風が当たるとあっと言う間に水分を外に持って行かれるわけです。

これを総合すると、エアコン暖房の風は浴びてはダメということです。

実際、現在のエアコンは、風は自動で足を狙う機能が付いていますし、そうでない場合は、床めがけて温風を出します。
暖かい空気は上昇しますので、下から上へ温かく。擬似的な頭寒足熱です。
これが今のエアコンのトレンドでもあります。

 
■放射を主体とした暖房が気持ちがイイわけ
エアコンと違い、放射を主体とした暖房は、気持ちがイイですね。
まず、冬は「無風」自体が暖かいです。
これは風に当たると体感温度が下がるからです。

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横面。角は全て丸みを帯びている。


加えて言うと、湿度は上がり目の方が暖かい。
結露が発生しない程度に湿度を上げられればベストと言えます。

エアコンの温風を浴びると、体表面の強制的に気化しますので、それに輪を掛けることになります。
夏は、湿度が高いため、風に当たると熱と水分が奪われ気持ちがイイのですが、冬は、湿度が低いので風がない方が気持ちがイイのです。

放射系の暖房が気持ちがイイのは、無風だからです。
その上、放射熱は「じわっ」と効いてきますので、さらに気持ち良さが増します。

デロンギのマルチダイナミックヒーターは、この放射型の暖房です。

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上面。暖かい空気を上に逃げるようにメッシュ。
丸みを帯び、触り心地もいい。


 
■マルチダイナミックヒーターの長所
デロンギは、マルチダイナミックヒーターを第三のヒーターと位置づけています。
それは温度管理が非常に正確だからです。
上がったり下がったりして、平均温度を作り出すのではなく、同じ温度に素早く達し、維持するのが特長です。

sec01_figure しかもサイレント型です。

まぁ、能書きは置いておくとして、テストしてみましょう。

 
■「快感!暖房」
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視認しやすい表示パネル。


人間に快感をもたらすモノを「嗜好品」と言います。
極上の酒、コーヒー、料理。
繊細な香り、絹の肌触りなど。
どれもすぐになくなるモノばかりです。

それでも、それに浸っていると快感ですからね。
嗜好品は高値取引されるわけです。

で、使って見るとマルチダイナミックヒーターは、「嗜好品」でした。

私は、春の陽だまり。そよ風が吹く、午後が大好き。
というわけで、20℃設定でテストしました。

窓際に置きます。

あるデーターによると、室内の熱の46%は窓から逃げます。
窓自体、巨大な熱交換器(冬場は冷房)と言ってもイイです。
窓の手前に置くのは、この窓への空気を暖かく上昇する空気の流れで遮断するためです。
これが今のセオリーです。

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マルチダイナミックヒーターの取説は、非常に分かりやすい。


マルチダイナミックヒーターは、かなり素早く暖かくなります。
数分で、室内も気温が緩んできたのが分かります。

以降、ひたすら、気持ちイイという感じです。
ほのかな暖かみが、じんわり伝わる。
まさに遠赤外線の、気持ち良さですね。

床にごろりとそばに寝っ転がり、読書。
本当に気持ちイイ。

 
普通なら、ポカポカしてきて、段々熱くなり着るモノで微調整しながら、温度が落ち着くのを待つのですが、それはありません。
常にじんわりと暖かい。
この温もりは、癖になります。

 
■付いているのが、分からない位、静か!
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マルチダイナミックヒーターの内部。音を発するような機構はない。


実は、私がマルチダイナミックヒーターで一番多くミスったのは、外出時のスィッチ切り忘れです。
理由は簡単。
暖かさが過剰でない上に、音がしないからです。

これは実にスゴいことです。

どんな家電でも動作音があります。
静音型と言われる家電でも、それなりに動作音がします。

意識して抑えているのは、AV機器です。
当然のことながら、AV機器で音がすると音再生の邪魔になりますからね。

AVルームを作る時、厄介なのは「無音」を作り上げることです。
外からの音を防ぐのは色々な手があります。問題は、空調。エアコンです。
本格的に作る場合は、エアコンの風をダクトで入れることをします。音源を遠くに離すわけです。
かなり面倒です。

マルチダイナミックヒーターは、そのままAVルームに採用ができます。

椅子に座り、原稿書きなどをしていると、その存在は、全くと言っていいほど感じられません。
音がしないし、熱の伝わりも緩やかですから、気配がないのです。
こんな暖房は見たことありません。

 
■お勧めはプログラム運転
マルチダイナミックヒーターは、基本リモコン操作。
基本は、AUTO(オート)モード、ECOモードを使います。

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シンプルで使いやすいリモコン。


が、お勧めはプログラム運転。
これは、自分の生活スタイルに合わせ、時間と温度を、曜日毎設定することができるというものです。

一番最初は、一週間をメモ帳に簡単帯グラフ化することをお勧めします。
何時から、何時まで何度の部屋で過ごしたいかです。
外出も入れておきます。

それに対し、3つの温度を設定できます。
温度は、☀マーク、三日月マーク、*マークで表されます。
それぞれ、高温(在宅)、低温(在宅)、不在が対応します。
私は、高温:23℃、低温:15℃、不在:5℃(変更できない)としました。

実は、プログラム運転は、常にスィッチ・オンの状態。
暖房を働かせないために、外より低い温度にするわけです。
室内で5℃は、ほとんどの場合、東京の最低気温より低いです。
当然部屋中は、それ以上。このため不在時に暖房が入ることはないです。

DSCF0040 設定はやや面倒ですが、プログラム運転を使うと、とても便利。
暖房自体を意識しませんし、過剰暖房時がないのが、高ポイントです。

 
■エアコンよりランニングは少々高いが・・・
しかし、こんな快感暖房のマルチダイナミックヒーターですが、冒頭に書きました通り、ランニングコストはエアコンより高いです。

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暖房機器なので、安全性に
富んだACアダプターが採用されている。


理由は簡単です。
エアコンは、熱交換器だからです。
冷たい外の気温でも、熱を供給してくれるのです。
それに対してヒーターは、電気エネルギーを熱エネルギーに変えるわけですから、こちらは単純なエネルギー変化。助けがないので、これはかなりエネルギーを消費します。

それを防ぐためには、過度な使い方をしないことで、それも含めるとプログラム運転は、イイ感じです。

 
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使わない時の収納性も、よく考えられている。


また、マルチダイナミックヒーターの魅力は、「快感」にあります。
これはエアコンにはない魅力です。
寝る前の体が温まった感じということもできるでしょうが、非常に気持ちがイイ暖かさ。

暖房機器というよりは、嗜好品とでもいうべき暖房器具。
お金を出しても良いのなら、お勧めの逸品です。

 
 
 
 
 
 
商品のより詳しい情報は、デロンギのホームページにてご確認ください。
http://mdheater.delonghi.co.jp
 
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2015年12月15日

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