豆知識

スギ花粉飛散開始日とは?
その日から対策しても手遅れなのか?!


今回の花粉問題対策事業者協議会(JAPOC)のレポートで興味深いモノがありました。
「スギ花粉飛散開始日前の症状発現に関する調査報告」(第1報)です。
これはスギ花粉飛散開始日から対策を始めたのでは、花粉症対策のタイミングが遅いのではないかという仮説に基づく検証です。
■スギ花粉飛散開始日の定義と、発症条件
スギ花粉飛散開始日は、1立方センチメートル辺り1個のスギ花粉を認めた時が開始日となります。
一方、必ず発症するのは、1立方センチメートル辺り2000個だそうです。
この数値だけ見比べると、開始日の定義はリーズナブルな様に見えます。

 
が、冒頭述べたような仮説が立つ位ですので、感覚的に合わないことがあったのだと思います。
理由は幾つも考えられますが、それから始めるとあらぬ事ばかり考えることにもなりかねませんので、まず実証です。

 
■アンケートによる分析調査
誤解が生じないように、提出されたレポートをここに提示します。
結論から言うと、「花粉飛散日より早く症状を発症する」花粉患者が多かったこと、そして、症状のトップは「目の痒み」でした。

 
20151210 JAPOC スギ花粉飛散開始日前の症状発現に関する調査報告(第一報)_001 20151210 JAPOC スギ花粉飛散開始日前の症状発現に関する調査報告(第一報)_002 20151210 JAPOC スギ花粉飛散開始日前の症状発現に関する調査報告(第一報)_003 20151210 JAPOC スギ花粉飛散開始日前の症状発現に関する調査報告(第一報)_004  
■長年のデーターが必要
考えて見ますと、このデーターは余り違和感がありません。
そもそもアレルゲンと人間の遭遇は確率論です。
このため、花粉が多くなるにつれ発症が多くなります。

問題は、立方センチメートルという単位にあると思います。

実は人が1日に呼吸する空気量は、成人:50kgの人で約15,000リットルと言われています。
立方センチメートルに換算すると、約15,000,000cm3。
この内、1/3の活動時に花粉に遭遇する可能性があるとします。

5,000,000cm3ですね。
例えば、飛散日の定義に満たない0.1個/cm3としても、50万個の花粉を曝露している可能性があるわけです。
実際は、鼻毛、唾液などの基本的な免疫などで体はこれらを避けますので、ぐっと少なくなるとしてもかなり曝露すると思われます。

立方センチメートルという単位がどこから決められたのかは、私は知りませんが、測定器の単位だったりすることは良くあるわけです。

花粉症は国民の1/3が掛かり、国民病と言われていますが、曝露量に関して、深く掘り下げられた話を余り聞きません。理由は、曝露量には個人差(体質差)があるからだと思いますが、明確にされてもいません。

データーが少なすぎるわけです。

 
■ビッグデーターの収集と活用を望む
しかし、花粉飛散日の予報は、人の苦しみを少なくするためにも、なければならないと思います。
そして多分一番有効な手段は、ビッグデーターを活用解析することだと思います。

ただしこのデーターはありません。
でもどうでしょうか、広く国民に呼びかけ、今回実施したアンケートに答えてもらうのはできない相談なのでしょうか?

私は、そうは思いません。
心臓病で手術代が足らない人に寄付するのと同じ様に、有識者による善意の非営利のビッグデーターがあってもイイのではと思います。

異常なスギ花粉の量に、日本の林業の歪さを感じながらも、症状を最低に抑えながら生活ができることのためにも、必要だと思います。

2015年12月10日

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