未来を現実にする機器
ソニー・オリンパスメディカルソリューションズの4K内視鏡
かのブラックジャック先生は使っていませんでしたが、「内視鏡手術」という術式があります。
健康診断で使われている内視鏡を使ったよる手術手術に使われる内視鏡は手術専用です。
内視鏡の先端から、電気メスなどで患部を切り取るのです。
内視鏡手術は21世紀の手術と言われています。
理由は、内視鏡の管を入れる穴があれば手術ができるためです。
患者への負担がすごく少ないのです。
例えば、腹部切開すると出血します。
この出血は患者の負担になります。
体力を奪われるわけですから、治りが遅くなります。
当然、麻酔も全身ではなく局部。
傷口が小さいので、開きにくい。
入院も最低日数で済みます。
ちなみに、宇宙船の中でもできる手術だそうです。
これらイイ事づくめ、このため21世紀の手術と言われています。
■何故、すべての手術が、内視鏡手術にならないのか?
内視鏡手術は高度先端医療に位置づけられていますが、積極的な病院とあまり積極的でない病院があります。
いろいろな理由があると思いますが、その中に機材の能力が含まれます。
医療ですからね。
まず、きちんと見えるのが絶対条件です。
今回のソニー・オリンパスメディカルソリューションズ(以下ソメドSony Olympus Medical Solutions)の4K内視鏡システムは、その弱点を払拭する機材。
ソメドでは、「デファクト・スタンダード」を狙いたいと言っていますが、それが十分可能なシステムです。
■4K内視鏡のポイント
内視鏡は、「光源」から出た光を光ファイバーを通して患部まで持って行き照射。
それを「対物レンズ」を通して「イメージセンサー」がキャッチ。
イメージを外にある「画像処理システム」で処理。
「表示モニター」で描写するわけです。
今回の4Kシステムは「」内の部分が全て新しくなっています。
一番変わったのは、「モニターサイズ」です。
通常、28型以下が多いのですが、この4Kシステムの標準モニターは、31型。
オプションはなんと55型。
しかもスタンド立ちです。
手術室は、そんなに広くない割りに、医療機械が一杯置いてあります。
執刀医、助手など人数もそれなりですからね。
新しいスタンド立ちの機器など、導入は厳しいのです。
ところが、この55型の評判がすこぶるイイそうです。
画を見せてもらった瞬間、体感できます。
「こりゃーぁイイ!」
■4K 55型の異次元映像
執刀医がモニターを見る距離は、大体1.5m位です。
HD(ハイビジョン)で、42型前後。
これがHDの場合、最も高精細に見えます。
1.5m、55型の4Kは、HDの4倍の情報量を持ちますので、その克明さは比類がありません。
また、患部は小さいですから、拡大して描写します。
ここで映像がぼやけない位の情報量です。
その上、1.5mだと視野が全てモニターになります。
執刀医は、モニター映像にひたすら集中できるわけです。
しかも明るく高精細な画は、医療ではあってはならない見落とし防止の役目も果たします。
■4KとHDの画質比較
この4K内視鏡システムはトータルシステムとして出来がよく、1つ1つ解説して行くと日が暮れそうですが、1つだけ加えます。
色、特に赤色の描写力に優れます。
これは規格がそうだからということですが、医療用にはピッタリの規格とも言えます。
値段は、だいたいHD内視鏡システムの、1.5倍と言われましたが、まだ定まっていないそうです。
しかし、これは「スゴイ」。
デファクト・スタンダードの可能性は充分あります。
2015年9月24日