IFA2015 01
Auto Careって何だ!?パナソニックの洗濯機から
IFA2015開催の前日、パナソニックがプレスに対してはブース公開を始めるというので行ってみました。
今回、パナソニックは展示のコンセプトを変えてきています。
『商品から、ライフスタイルへ』、です。
そんな中、洗濯機のブースでの話です。
日本と西洋では、洋服に対する心構えがかなり異なります。
典型的な例が、アイロンです。
下着のパンツにまでアイロンを掛けるのが、欧米流です。
日本の様に、自然にある感じを大切にするのとは、かなり違っています。
そのためでしょうか?
日本では広く受け入れられているのにも関わらず、海外では全く認知されないという機能も多くあります。
理由は割と簡単です。
共感する部分が違うからです。
今回、「力を入れて、展示をします」としたパナソニックの洗濯機もそうでした。
■”Auto Care”って何だ?
オートケア。
自動でいろいろなことに対応してくれるんでしょうか?
字面からすると、そうです。
実はこれ『エコナビ』のことです。
欧州でも「省エネ」は重要です。
しかし、日本が省エネであれば、「何となくいいのでは?」と思うのに対し、彼らにはそんな発想はありません。
理由は簡単です。
洗濯機の機能は、「汚れを落としてなんぼ」だからです。
欧州は、「硬水」。
汚れを落としにくい水が基本ですからね。
で、彼らは洗濯の基本をきっちりします。
まず、素材ごとに洗濯物を分けます。
笑う方もいらっしゃるかも知れませんが、これがイロハのイです。
一番重要な工程です。
次は洗剤ですね。
洗剤の中の酵素。
人間の体内にも酵素があります。
人間の中にあると言うことは、そうですね。
人間の体温で一番活性化するということです。
このため『お湯洗い』が基本です。
そしてドラム式。
叩き洗いです。
何故、元々の攪拌型から始まった洗濯機が、欧州で使われるドラム式と、日本で多く使われる縦型に分かれたのは、いろいろな人に聞いたのですが、イマイチ判然としませんが、とにかく方式も違います。
とにかく真っ白になるまで洗い、アイロンをかけ、ビシっと決めるのが欧州流です。
これができなければ、「省エネ」と言ってもそっぽを向かれます。
切れない包丁を売るようなものです。
■パナソニックのアピール
パナソニックは、4つのセンサーで、Auto Careは、できていると言います。
洗濯物の重量を測定する重量センサー。
水温を感知する温度センサー。
汚れ具合を感知する光センサー。
最後に、洗濯物の素材を感知するマテリアルセンサー。
つまり、洗濯物の区分けをある程度してくれたら、後は洗濯機に任せてくださいという意味です。
家事は、経験がモノを言うところが多いですからね。
正直、いろいろなアプローチがあるわけです。
大きくは違わないのですが、細部の方法が、人により違うなんて当たり前です。
極端な言い方をすると、今、洗濯という行為(技術)に家元制を取り入れたら10家以上できるのではないでしょうか?
いろいろな言い方があるのですが、今回パナソニックは、パナソニック流を宣言したわけです。
■「エコ」ではなく・・・
エコはエコロジー。
生態学のことで、言葉の発祥はドイツです。
最近多用され、それと共にエコに関する言葉も増えてきました。
日本で今エコと使われているのは、このエコロジーから派生した、「エコツーリズム」系の意味でしか使われていないのではと思います。
エコツーリズムとは、これもまだ定義が定まらないのですが、環境省の定義を借りると『地域ぐるみで自然環境や歴史文化など、地域固有の魅力を観光客に伝えることにより、その価値や大切さが理解され、保全につながっていくことを目指していく仕組み』です。
言葉には出てきていませんが、「リサイクル社会」「経済活動とマッチさせた環境保全」なども含まれます。
が、それは日本での話。
日本は、何でも縮めて使い、その結果元々の意味からかけ離れた使い方されることが多い。
こうなると、海外では全く通用しません。
日本の常識、世界の非常識です。
このため、製品ベネフィットを、欧州で分かる表現に変えたわけです。
■ちょっとあざといアピール
パナソニックですが、パナは映画の「パナビジョン」、ソニックは「音」。
それを合成して会社名にしたわけですが、そうすると間違えなく「AV」メーカーで、白モノ家電が優秀とは思わないでしょう。
今は、そんなに思われないでしょうが、会社名はそうです。
しかし欧州というビッグ市場には、エレクトラックス、サムソン、LGなどのグローバル企業が参入していますし、ミーレのように歴史と伝統がある会社もあります。
このためですかね。
今回、洗濯機に関しては歴史の展示もしていました。
1951年〜、歴代の洗濯機の写真と、初号機を展示しています。
これが通用するのは、やはり文化的伝統があるエリアですからね。
面白いと思いました。
2015年9月4日