思うこと

三菱 “大人” 家電のあり方


今、家電で一つ上の生活を、うたわないモノはありません。
今まで、「新しいことができます。」「できなかったことができる様になりました。」という世界を変える家電とは、ちょっと違います。
今ある生活をもっと豊かにする。というより、納得感のある、充実した時間に変えてくれる家電ですね。
main有名どころでは、パナソニックの「Jコンセプト」、タイガー魔法瓶の「Grand X」など開発から行っているモノもありますが、三菱のセレクトした道はそれではありませんでした。
今ある家電の中から、”大人”向けにセレクト。それを勧めるという、どちらかというとセレクト・カタログに似た方法を採用しています。

この意味を少し考えてみたいと思います。

 
■”大人”って何?
法律から言うと、20歳以上、という野暮な話は置いておきましょう。
現在の家電マーケティングでいうと、「団塊の世代」のことです。

働くのは正義という考え方で、未曾有の経済発展を遂げさせたあの世代です。
今よりよい明日を目標に、1980年初頭、古今例がない「一億皆中流階級」、そして本のタイトルにまでなった「Japan as Number One」の具現者です。
今と違って、ないものが出てきたり、商品の栄枯盛衰を見ているわけですので、いわゆる「目利き」になります。
この人たちへの”家電”というわけです。

 
■今時(いまどき)でないこと
昔と今、何が違うというと、身長とプロポーションでしょうね。
文部科学省の学校保健統計調査・運動能力調査データーによると、60〜64歳の女性の平均身長:154.59cm、平均体重:52.69kgに対し、20〜24歳の女性の平均身長:158.6cm、平均体重:50.76kg。
身長で約4cm伸び、体重では約2kg減っています。

やーぁ、大和撫子も、脚が長く、グッド・プロポーションが増えました!

しかしモノですから、このサイズは使い勝手ということでは、かなり効いてきます。

 
■開発から行う行為は、オートクチュールの服と同じ
その様な、大人に何を売るのかです。
1つ言えるのは、彼らの家電は基本的に「買い換え」であるということです。

別の言い方をすると、市場のパイの大きさは決まっており、その切り分け方(シェア)で差が付くだけということです。

 
パナソニックと、タイガー魔法瓶が取ったのは、それに対して新しく「開発」するという方式です。
例として、パナソニックの紙パック掃除機を上げましょう。
これは実によく出来ています。
生活家電.comでも、「太鼓判」を押しています。

理由は「軽さ」、つまり小さい人の扱いやすさにとことんこだわった事にあります。

これを使うと、サイクロン式掃除機を使うのがイヤになります。
軽いというのは、それだけ操作がし易い。
「紙パック掃除機は、軽く出来るからね。」という人もいるでしょう。
そう言うなら、作って見てください。
本体、2kgは、伊達や酔狂で出せる数字ではありません。

 
軽いのでお年寄りでも、使い易い。
軽いので、二階にも楽にもって行け、二台も持つ必要性がない。
ゴミ捨ても頻繁にしないで済む。
アレルゲンセンサーも付いている。

これは、家電のオートクチュールと称してもイイですよね。
使い手の顔を見ながら、丁寧に作り込むことができます。

ただし、専用品は開発費と初期投資が掛かります。

 
■セレクトモデルと、フラッグシップモデルの違い
対し今回の三菱のセレクトを見て見ましょう。

sub2

冷蔵庫 MR-JX48LZ(2015年9月発売予定)
まとめ買いもできるちょうどいい容量。
■たっぷり入るのでお買い物回数を減らせます。
■出し入れしやすいロータイプなので、 使いやすさも抜群です。


sub3

ジャー炊飯器 NJ-SW066
お茶碗一杯からおいしく炊ける3.5合炊き。
■文字が大きく、 使いやすいコンパクトサイズ。
■白米はもちろん、 玄米もおいしく炊き上げるので、 健康志向の方にもおすすめです。


sub4

液晶テレビ BHR7シリーズ
録音機能内蔵で、 録画も再生もこれ一台でOK。
■リモコン操作で画面の向きをカンタンに変えられます。
■タニタ製の体組成計や活動量計での計測データも表示でき健康管理に役立ちます。


sub5

クリーナー TC-FXE10P
軽くてコンパクト、 使いやすいサイズ。
■本体もホースも軽く、 自走式なのでスイスイ進んでお掃除ラクラク。
■紙パック式なのでお手入れがカンタンです。


 
面白いことに、これらは皆、フラッグシップモデルではありません。
程ほどの上質感と言うべきなのでしょうかね。

 
ちょっと寸評しておきます。

冷蔵庫のフラッグシップは、WXシリーズです。
しかし、どちらかというとWXシリーズは大きいことありきで設計されています。
最大は、本体幅:800mm、容量:705L。
これはでかいです!

JXシリーズは、これに次ぐ機種です。
性能もほぼ同等。
どちらかというと質実剛健。お買い得モデルという位置づけです。

 
炊飯器。
フラッグシップは、同じ本炭釜を使ったNJ-AW106。
0.5〜5.5合まできちんと炊け、美味しい。
(0.5合の試食もしましたが、かなり上手く炊けます)

発表会の時、意地悪にも、3.0合炊きは作らないのですか?
と質問したところ、トップは5.5合炊き1つで行きますという、非常に力強い言葉でした。

ま、それは置いておくとして、今回のお勧めは、それと同じ釜を使った3.5合炊きです。
1〜2合炊く場合、5.5合がやはり大きいという感じが否めませんからね。
味だけでなく、心理的安心感も付けると妥当な線ではないでしょうか?

 
テレビ。
テレビは、日本のほとんどの人が定観を持たなくなりました。
BHR7シリーズは、三菱のごくごく普通の2Kです。
三菱のご自慢はLSR6シリーズというレーザー光源の液晶テレビなのですが、何故でしょうか?
目の肥えた団塊の世代には、これで十分ということなのでしょうか?
そうなると、画質での色再現を否定している様でもあり、「画質」を全面に出す意味が分かりません。

 
掃除機。
これもすこぶる微妙です。
三菱のサイクロン式掃除機のフラッグシップは「風神」であり、紙パック式掃除機のフラッグシップは「雷神」です。
掃除は健康に直結しますので、かなり重要です。
今回のセレクトは、三菱の独自性より、パナソニックのJコンセプトを強く意識したためではないかと思います。

 
フラッグシップ・モデルは、未だに応用が利く世帯構成人数:4人で作られています。
フラッグシップ・モデルが、そのまま出てこないのは、その違いもあると思います。

 
■三菱セレクトは、「大人の買い方」をサポートか?
寸評させて頂きました。
オートクチュールほどのピッタリ感はなく、性能はフラッグシップ・モデルほどではないですが、余り過不足ない、十分な性能を持っていると思います。

逆に、「必需品」に無駄なお金を消費せず、きちんと使うのが大人の買い方ですから、それには合っているともいえます。

団塊の世代の子どもたちの時代に入りますが、ないものはない状態の上、世帯構成人数は減っていますので、この渋めのチョイスがベストと言われるようになるのかも知れません。

 
ただ、炊飯器、テレビなど、メーカーとしてこだわりがある製品に関しては、フラッグシップモデルを押すのでも悪くないのではと思います。

2015年8月30日

タグ: ,