暑がりも、寒がりも大満足?! 三菱の革命的エアコン FZシリーズ!
定評ある三菱のエアコン「霧ヶ峰」。
日本を代表するエアコンの1つに間違いありません。
1968年、家庭用エアコンに「ラインフローファン」(エアコンの中に入っている円筒形のファン)を導入し、今のエアコンの構成を作り上げたのが三菱ですから。
その三菱が、ラインフローファンではなく、プロペラ型のファンを採用したFZシリーズを発表しました。
これはチョット驚愕モノです。
■エアコンの考え方が変わり始めた
エアコンは、少ないランニングコストで、快適な住環境を提供する家電です。
少ないランニングコストと言うのは、言わずと知れた「省エネ」性で、常にエアコンに求められる性能です。
快適な住環境というのは、夏涼しく:28℃以下、冬暖かく:18℃以上と言われています。
これ実は部屋の温度を意味します。
しかし部屋がこの温度なら、人間は全員快適かと言うとそうではありませんね。
例えば、熱帯夜に旦那が外から帰ってくる。
部屋は、お嫁さんが28℃にセット、快適な住環境に整えている。
部屋温度が28℃なので、「めでたし、めでたし」になるかというと、そうではないですね。
旦那さんは、体の中から火照っていますから、「もっと涼しく」と要求するわけです。
お嫁さんは、28℃の環境にずっといるので、「これで充分。これ以上冷やしたくない。」と思っている。
あゝ、愛し合う夫婦の絆は・・・。
昔々の弁士ふうに、ちょっとオーバーに言ってみましたが、現状はこんなモノです。
人により差があります。
このため、少しづつですが、快適な部屋から、個人の快適性へと、快適の対象が変わり始めている。
それが現状です。
■ポイントは「風」
「部屋の温度が28℃なら、感じられる温度は28℃じゃん!」
そう思われる人も多いと思います。
しかし実際はそうではありませんね。
風が少しでも吹くと、風を感じた人の体感温度は下がります。
これは気化熱の作用ですね。
風が当たる、皮膚の汗の蒸発を促す。
その時、熱を奪うのです。
今、全てのエアコンが、風に力を入れているのは、部屋の空気ではなく、人の温度をより細かくするためです。
先ほどの話だと、男性にだけ風を送ることができれば、女性の体を冷やさずに、男性のみ冷やすことができると言うわけです。
■パーソナルツインフロー
風は、風を起こす(強さを決める)ファンと、風の方向を決めるフラップでコントロールします。
今までは、フラップで方向のみの対応でした。
今回の「霧ヶ峰」FZシリーズで採用されたのは、風を起こすファンの見直しでした。
1968年、家庭用エアコンに「ラインフローファン」から脱却し、プロペラ型のファンを2つ採用したのです。
これにより、風は完全に別々の強さで、別々の方向へ送ることができるようになりました。
まるで仮面ライダーV3の「力」と「技」の「ダブルタイフーン」です。
しかし、これはスゴイです。
風で変えることができる温度は、最大3℃。
先ほどの話でいうと、お嫁さんが28℃なら、旦那さんは25℃で涼めるわけです。
これ、かなりの差です。
■構想7年
実は、FZシリーズは開発に7年掛けたそうです。
ここ7年で一番変わったなぁと感じられるのは、本体の奥行き、厚みではないでしょうか?
今のエアコンは、タヌキのお腹のように前へ前へとせり出しています。
これは本体の設置面積を変えずに、省エネを追求してきたからです。
本体の設置面積は、実は日本の場合、和室にも付けることを前提に作られていますので、無理矢理変えることはできません。
また変えてしまうと、10年前設置していた所に付けられないなどのトラブルが発生することになると思います。
しかし、省エネの要求はシビアです。
効率を上げるためには、ラインフローファンをある程度大きくして、熱交換器でそれを覆うことになります。
つまり、必要なスペースは大きくなるわけで、前にせり出させるしかできないわけです。
1968、家庭用エアコンに「ラインフローファン」を三菱が採用した理由の1つは、省スペースです。
薄型だと、プロペラ型のファンは入りませんし、無理矢理押し込むと、エアコンの効率が著しく落ちることになります。
ところが、今や、そのプロペラ型のファンを入れるだけのスペースを必要とするようになったわけです。
これがプロペラ・ファン見直しになったわけです。
三菱がエアコンも製造を始めて、今年で50年。
節目の年にプロペラファンの採用になった訳です。
ちなみに、熱交換器の形状も変更しています。
ファンから送り出される風を受ける場所に、横から見ると「W」字型に積層させ、通常のエアコンより熱交換器の搭載量をアップしています。
実に巧みです。
開発こぼれ話を1つ。
このフル新設計のエアコンですが、一番苦労したのは「動作音」だそうです。
エアコンの動作音は「0」、つまり無音がベストです。
ところが、単純に作ると、上部に配置されたプロペラ・ファンの音が、天井に反射して聞こえてしまうのだそうです。
通常の場合、ファンは熱交換器で包まれるようになっているので、割と動作音は小さめです。(中には出来の悪いのもありますが・・・)
この動作音対応に、2〜3年掛かったそうです。
パーツのレイアウトを変えるということは、それだけ大変なことです。
今は亡き、アップルのスティーブ・ジョブスの逸話に、PCの回路がシンプルでなく、美的でないという理由でやりなおさせたというモノがありますが、新型「霧ヶ峰」の中身は非常にキレイです。
■ファンを使いこなすための、「ムーブアイ極」
10万円のエアコンと20万円のエアコン、どちらが得ですかと聞かれることがあります。
主な差は、いろいろなコントロールを自動でしてくれるか、どうかです。
いろいろケースがありますが、ざっくりいうと、10年前のエアコンと比較した場合、10年でこの差分の6〜7割はランニング・コストで、取り戻すことができます。
残りは、「手間が要らない分だけ、楽」と考えるとイイと思います。
後は、その人の考え方次第です。
この自動でコントロールするためには、部屋と、その部屋に居る人の情報を的確に掴む必要があるのですが、ここで活躍するのが、左右方向のセンシングをより細分化、解像度を4倍に上げた「ムーブアイ極」です。
手先、足先など、温度変化が最も大きい部分を的確にとらえ、体との温度差で、その人の感じ方を推定します。
この「ムーブアイ極」が的確に判断してくれるからこそ、新型ファンの効果も抜群になるわけです。
■5年分の成果を先取る省エネ性能
最後は、エアコンにしつこく求められてきたし、今後とも求められ続けられる省エネ性能です。
「ラインフローファン」は、出来て、40年以上経ちます。
レイアウトを見直し、細部を詰め、開発陣が努力を重ねても、良くて3%。近年は、2%がイイ所です。
今回は、聞いてビックリ。
13.2%。
野球で言うと、最終回2アウトで逆転満塁サヨナラホームランが飛び出したような感じです。
5年間の成果を叩き出した訳ですから。
■容量は4.0kW〜
容量は、4.0kW〜9.0kW。
さすがにフラッグシップです。
大型エアコンに必要な要素が全て盛り込まれています。
しかもレイアウト、ファンを変えた価値が充分ある一品です。
三菱は、FZシリーズを、「霧ヶ峰 ADVANCE」と呼称しています。
今からのエアコンに対し、大きな提案だと思います。
商品のより詳しい情報は、三菱電機のホームページにてご確認ください。
http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/kirigamine/
2015年8月27日
タグ: ADVANCE, FZ, パーソナルツインフロー, 三菱, 霧ヶ峰