豆知識

12のQ&Aで分かる、『現在の歯科』!


電動歯ブラシの取材を進めています。
が、歯に関しての基礎知識がないと、この家電の意味が正確に分かりません。
このため友だちの、山田智子歯科衛生士に依頼し、『現在の歯科』を一問一答形式で、わかりやすく書いて頂きました。
電動歯ブラシに興味のある人だけでなく、皆さん「是非、是非読んでみてください。」
Q1: 歯のメジャーな病気は、「虫歯」「歯周病」で、それだけを考えればいいのでしょうか?
A1: みなさんは、歯医者にかかる時は『虫歯』か『歯周病』が大半だと思います。
メジャーな病気…といえばそう言えるでしょう。

あと『矯正』もよく耳にするのではないでしょうか。
矯正とは・・・ざっくり言うと、元々アゴの骨格が小さめ~細め、もしくはアゴの骨格と比較して歯が大きめ、などで歯並びのガタガタを治す矯正と、虫歯や歯周病を放置したばかりに歯列不正が起こり、アゴのズレや噛み合わせの不適合が進んで行く…というのを治す矯正とあります。

あとは歯が無くなってしまったところに『インプラント』や『入れ歯』を入れる修復治療もあります。これは虫歯や歯周病で歯を抜いてしまったところ、打撲で歯が抜けてしまったところ、先天的に歯が無いところに人工の歯根を入れたり、入れ歯を入れたりする歯を造る修復治療です。

 
Q2: 「虫歯」の現在はどうなっていますか?
A2: 一昔前は、虫歯になっているから削って銀歯を入れましょう…でしょうか。

今は削るにしても悪い歯質だけを取り除きます。削る量によっては銀歯ではなく白い専用の樹脂などを詰める治療も進んできています。

歯科界もCADcomputer aided designのこと。コンピュータ支援設計。コンピュータを用いて設計をすること。/CAMcomputer aided manufacturing。コンピュータ支援製造の略。CADで作成された形状データを入力データとして使用、工作機械、3Dプリンターに送られて実際の加工が行われる。が普及しております。部位によっては白い詰め物も保険適応になりました。

歯のメジャーな病気は03.doc

歯科用CAD/CAM機械


歯のメジャーな病気は02.doc

CAD/CAMで作成した小臼歯の詰め物


後は、歯や歯髄(歯の神経)再生療法の研究が進んでいるみたいです。最近話題のiPS細胞を取り入れての研究とか。
近い将来、虫歯の治療も180度変わるかもしれませんね。

 
Q3: 「虫歯」予防の方法のベストは?
A3: 歯みがき…は言わずとしれて予防のベスト1と言ってイイと思います。
歯みがきをしても磨けてなければ虫歯になるわけで、一本一本丁寧に磨くことが一番の予防です。
その際歯の隣接部もお忘れなく。

歯と歯の間から虫歯になることがとても多いです。しかし歯と歯の間に歯ブラシを当てることが出来ません。
ではどうすれば良いか?

デンタルフロスです。
日本ではデンタルフロスの普及が非常に遅れております。ですが、フロスは歯ブラシ同様虫歯予防には欠かせないツールです。
使い慣れないと難しいと思われるかもしれませんし、時間がかかって面倒と感じるかもしれません。
しかし、フロスを使う1分間が効果的なのは検証済み。将来、虫歯で治療する時間とお金とを考えると…。どちらを選びますか?

 
Q4: 味が嫌いなのですが、歯磨き粉は使うべきなのでしょうか?
A4: 歯磨き粉は使うべきです。
その際、自分に合った成分と量を使用するのがベストです。
例えば、虫歯になりやすい歯質ならばフッ素配合のものや、歯周病が気になるならば歯肉の炎症を抑える薬剤が配合されたもの、知覚過敏の歯にはしみにくくなる薬剤が配合されたものなどなど自分に合わせて使うといいと思います。

分からなければ、かかりつけ歯科医院の歯科衛生士さんが一番適したものを選んでくれると思いますよ。

 
Q5: 現在、よく聞かれる「歯周病」を詳しく教えてください。
A5: 歯周病はギネスブックの感染症ナンバーワンに記録されている病気です。

歯周病菌は口の中で悪さをするにとどまらないことが判明しています。
歯周病の菌が糖尿病を悪化させているとか、妊婦さんが歯周病だと早産や低体重児出産のリスクは4.3倍になるとか、冠状動脈性疾患のリスクも上がったり、誤嚥性肺炎や骨粗しょう症のリスクも上がることがわかっています。

また、脳梗塞や関節炎、メタボリックシンドロームなどとの深い関わりも解明されてきました。

 
Q6: 「歯周病」予防の方法は?
A6: 定期的な歯科の検診と口腔内クリーニング(歯石取り)が大切です。
そしてやはり歯みがきが予防には欠かせません。
 
Q7: 歯周病に有効な磨き方は?
A7: 虫歯予防の磨き方にプラスで、歯肉もマッサージするように歯ブラシの毛先を当てて磨くことです。
歯周ポケット専用の歯ブラシもありますので自分の口腔内に合った物をチョイスされといいと思います。

 
Q8: 磨いていて、血が出ても、問題ないですか?
A8: 歯みがき時に出血するのは大半は炎症が起こっているサインです。

なぜ炎症が起こっているのか?…その原因と処置は歯科医院で見てもらった方がいいと思いますよ。
そのサインを見逃さないでください。

 
Q9: 歯周病は治癒するのですか?
A9: 残念ながら歯周病は治癒いたしません。 ですので、歯科医院で歯石取りや口腔内クリーニングで歯周病菌を減らし、自宅では歯みがきををしっかりしてください。

口腔内クリーニングで一旦は菌の数は減りますが、2~3ヶ月で元の菌数に戻ることがわかっています。定期的に口腔内クリーニングを受けて行けば歯周病の再発を遅らせることが出来ます。

 
Q10: 電動歯ブラシの使用は有効ですか?
A10: 電動歯ブラシ…というよりは、音波歯ブラシが有効です。
1分間に3万回転の高速微振動で動いています。その高速微振動によって歯垢やステインを除去します。
プラス毎日使うことによって、歯垢やステインが付着しにくくなるという優れモノです。

 
Q11: ブラシとジェットウォッシャーどちらが有効?
A11: ジェットウォッシャーはあくまで補助的な清掃器具です。
ブラシを使い、それからジェットウォッシャーを使用すると相乗効果でより汚れが除去できます。
両方を使いこなすことが有効といえます。

 
Q12: 最後に、答えにくい疑問(トリビア)を! 何故、コンビニより歯医者の数は多いのですか?
A12: 20~30年前にさかのぼった話です。当時は高度成長期で人口も増加傾向でした。
その時の人口に対して歯科医師の数は極端に少なかったそうです。ですから歯科大学を増やし、歯科医師の数を多く確保していきました。

結果、現在は歯科医師数が多くなり、コンビニよりも歯科医院の数のほうが多いということになっています。

国家資格である歯科医師免許に合格するのは年間およそ2,000人。これでも以前に比べると合格人数枠はかなり小さくされてあるとか。来年から再来年には合格枠もまた更に小さくなるようです。

しかし、2025年を過ぎるとまた歯科医師の数は足りなくなると予測されているようです。

(掲載責任:生活家電.com主催 多賀一晃)

2015年8月8日

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