シャープのDCハイブリッド・エアコン 他、
PV JAPAN始まる
今週の日曜日、ネットでシャープのDCハイブリッド・エアコンのニュースが流れました。
そして本日より、東京ビッグサイトで、PV JAPANが開催されました。
PVとは、Photovoltaic。『光発電の』という意味です。
その中のシャープブースに、うやうやしく飾られていたDCハイブリッド・エアコン他、PV JAPANの速報です。
■DCって・・・
初心者のためにまずは、用語から。
DC。これは直流(Direct Current)のことです。
非常に素直な電流で、電流の向き、大きさ(電圧)が一定です。
小学校の頃実験で使った乾電池等が典型例です。
AC。交流(Alternating Current)のことです。
こちらは電流の向きと大きさが周期的に変化します。
電流の向きが変わるというのは、プラスとマイナスが入れ替わることです。
よく、東日本では50Hz、西日本では60Hzの交流という話を聞かれると思いますが、これは1分間に何回プラスとマイナスが入れ替わるのです。
今の世の中、電気会社は、発電、送電ともに交流を採用しています。
そして家電は・・・。
最近話題の扇風機。わざわざ『DCモーター』と銘打っている位だから、ACが主流かしらとお思いの人も多いと思います。
しかし、家電の主流は、DCなのです。
ちなみに、エアコンは全メーカーDC(直流)で動かしています。
■DCハイブリッドエアコンのもつ意味
現在、太陽光発電を持たない家は、交流の電気を電力会社から買っています。
コンセントには、交流が来ているわけです。
家電は、この交流を本体内で直流に変え使います。
と言うのは、DCモーターでないと、回転数を的確に変えることができないからです。
いずれ、別の機会に詳しく書きたいと思いますが、エアコンに採用されているDCモーターと、その制御システムは、技術の華、粋と呼んでも言いレベルです。
ダテに、日本の家電メーカーが、膨大な時間、人数、お金を掛けて開発しているわけではないのです。
これで、キャッチした回りの状況に応じ、的確な温度、湿度の空気を、気流で送り出します。
何故、ACでなく内部でDCにするのかというと、ACモーターだと構造上回転制御が難しいからです。
このための、DCモーターです。
ちなみに、このDCモーター徹底的な省エネ型ですからね。
送風モードでの電気代は、DCモーター採用の扇風機より、電気代が掛かりません。
多くのメーカーが、お金を掛けて、数十年研鑽を積んできた技術ですからね。
当たり前と言えば、当たり前のことです。
次に、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス。ゼッチと呼称されます。)という考えがあります。
年間を通して、収支を計算する時、『光熱費=0円』になるシステムを持った家を、日本の標準家屋にしようという考えです。
これは国が推奨している考えで、将来的には全ての家をこうする考えです。
日本は、化石燃料のほとんど輸入に頼っていますが、一般生活がそれから脱皮できるということは、エネルギー問題に対する画期的な転機です。
これが実現できれば、本当に原発撤廃できる可能性が出てきます。
しかし、ZEHは、今までの電気、ガス、上下水道、換気システムを持った家とは違います。
エネルギーシステムを持つ家です。
このため、いろいろな事が様変わりします。
例えば、日本の法律では、ある程度期間が経つと上物(家)の価値が法律上『0円』になります。
『よく日本の町並みは、海外に比べ、どうこう』と言われる人もいますが、数十年で『価値なし』と断定される家に金を掛けられますか?
100年以上持つ家にしたいと考えますか?
書いていて、国立競技場の寿命を思い出したので、むなしくなりました。
とにかく、このZEHを本気で進めるためには、いろいろな部分が変わります。
『太陽光パネル』『パワーコンディショナー』『蓄電池』『HEMS』をシステムで入れます。
安くても一軒:300万円程度の負担になります。
この300万円を、『買って良かった!』にできるのかが、このプロジェクトの成否を分けると思います。
ちなみに、昨年の計算ですが、太陽光発電に2000万円投資すると、大体200万円/年の収入があります。10年で元取り、20年で投資分を取り戻すわけです。
■DCハイブリッドの真意
ZEHは、全てを太陽光発電で賄うとは言っていません。
あくまでも、収支『0』円です。
余った時は電力会社に売り、足らない時は買うわけです。
しかし、その時は、ACで販売、ACで購入です。
つまり、家の中の電気は、ACだったり、DCだったりとなります。
シャープのDCハイブリッドは、DC、ACどちらにも対応できると言うことです。
DC家電を、DCで使う時のメリットは、AC⇒DCでの変換ロス分、5%がなくなるということです。
今回のシャープで評価したいのは、『第一歩を踏み出した』ことです。
先に書きました通り、いろいろな意味で、ZEHは、まだまだかけ声的なところも多いです。
しかし、この動きはしなければならない。
日本の未来が見えてこないのです。
原発OK。未だに未完成の核リサイクル技術他に未来を託すなら、不要ですが、私はそうは思いません。
このシャープの一歩には、アポロで月面に降り立ったアームストロング船長の言葉、『この一歩は小さいが、人類に取っては大きな一歩である』が、相応しいかも知れません。
■シャープのブースは賑やか
シャープのブースは賑やかです。
今回『ZEH』対応できることをアピールするのに、役者さんを使っています。
滑舌の良いセリフで、ほとんどテレビ・ショッピングのノリ、絶妙のコントで説明をします。
で、ことあるごとに『ZEH』ポーズ。
家電芸人という言葉がありますが、家電役者で売り出すのは、どうだと思えるほどです。
さて、シャープは、DCハイブリッドエアコン以外に、災害時対応用の冷蔵庫も展示していました。
これ冷蔵庫の中に、バッテリーを内蔵させてあります。
停電してもOKと言うわけです。
ただバッテリーはどうしても限界があるので、冷蔵庫『メガフリーザー』の幾つかの部屋だけですが。
また、今回の展示モデルは、扉の部分にどこがバッテリーで冷えているのか分かるように、液晶モニターがはめ込んであるのですが、さすがパネルメーカーだけあって、フィニッシュも見事なモノ。
ハイアールが、冷蔵庫とテレビを一体化した商品を戦略発表会の時、提示していましたが、同様なモノはシャープならすぐ作れそうです。
後、1つは液晶テレビの中、サブ画面を、HEMSのモニターをしてしまおうという技術です。インターネット・テレビの技術を持っていると、技術的な難易度は高くありませんが、有用な技術だと思います。
それは専用モニターを付けると、どんどんモニターが増えてしまうのと、お金が掛かるためです。
例えば、リビングで使うリモコン、どうにかできないかと思うことはないですか?
テレビ、レコーダー、照明、エアコン、扇風機等々、多いですよね。
モニターも一緒です。
テレビ、風呂(ガス)、HEMS、空気環境、健康管理など、どんどん増えます。
このため、スマホを上手く使うことが想定されていますが、テレビでも確認できた方が便利なことは事実です。
後、シャープは、蓄電池を、野球のキャッチャーに位置づけていますね。
AC、DC双方ともつなぎますので、家電もここでコントロールしようという考えです。
■パナソニックは、太陽光モジュール:25年保証
パナソニックの展示で面白かったのは、北国用に作られた、垂直に置く太陽光パネルです。
展示品を見ると垣根の一部です。
雪国で、太陽光発電は難しいとされてきましたが、こちらも一歩踏み出さした感じです。
しかし驚いたのは、太陽光モジュール:25年保証。
今までが20年保証ですから、25%延長!
家の考え方を本当に改めなければならないと思いました。
■三菱は、14年間実績データーを展示。
三菱の展示で面白かったのは、14年間の実績データーを展示してあったことです。
14年前と14年後で、発電量比較です。
ほぼ同等ですね。
いろいろなメーカーが、少しずつデーターを積み上げて、太陽光発電も、かなり全部が見え始めたかなぁという感じです。
三菱の目玉は、パワコンです。
パワコンというのは、太陽電池で得られたDCをACに変える役割です。
これがないと、電力会社は電気を買えませんからね。
家庭用パワコンの効率は驚異の98%。
一般家電のAD⇒DCは、前述の通り、95%位ですからね。
これは驚異のハイスペックと言ってもいいですね。
今回のPV JAPANは、スープで言えば、煮詰まり始めて、もう少しで食べ頃になる様な雰囲気。ハデではない、小さいけれど、重要な一歩が、そこかしこで見受けられました。
PV JAPANは、7/31(金)まで開催されています。
http://www.jpea.gr.jp/pvj2015/
2015年7月29日
タグ: DCハイブリッド, HITダブル, PV JAPAN, エアコン, シャープ, パナソニック, パワコン, 三菱