日本人は、環境の変化に疎いと言います。
例えば、日本で、夏の温度が人間の体温を超すということは、私の記憶が正しければ、1994年からですが、今や当たり前。
本日も梅雨が明け、35℃になるそうです。
日本は、省エネハウスですので、真夏でもエアコン&電気があれば、それなりの環境を作り出せるのですが、問題も出ていますね。
室内の空気環境です。
■室内を確認するには・・・
室内の空気環境は、「温度」「(相対)湿度」「二酸化炭素量」「浮遊粉じん」「有害物質(一酸化炭素、ホルムアルデヒド)」「気流」の6点で決まります。
では、その実態をすぐに測れる機器があるのかというと、なかなかありません。
店でデジタル式の「温湿度計」は売っています。
私の書斎の壁にも付けてあります。
後の3つはないですね。
あるとしても研究用で、唖然とする位高い!
これが原因ですよね。
「空気清浄機」「換気システム」の重要度が分かりにくいのは。
まあ「空気清浄機」は花粉症の季節、アレルギー体質の人なら、その有用性は分かります。
体感しにくいのは「換気」です。
換気は、外気を室内に呼び込むことを言います。
このため、「温度」「(相対)湿度」「二酸化炭素量」「浮遊粉じん」「有害物質(一酸化炭素、ホルムアルデヒド)」が変わります。
温度は感じる人も多いと思いますが、その他はよほどのことがないと感じられないでしょうね。
■換気システムの問題点
例えば、冬。
最近は少なくなりましたが、室内で石油ストーブを燃やして不完全燃焼。一酸化炭素中毒で人がなくなったと新聞に載ることがあります。
「レアケースだから掲載されるんだよ。」と言われるとその通りですが、命に関わる問題なのにどうして、換気をしないのでしょうか?
原因は、2つですね。
1つは、外が非常に寒い。
これは換気したくないですよね。
分かりやすい話です。
2つめは、二酸化炭素で頭の動きが鈍くなっている可能性があると言うことです。
通常の外気の二酸化炭素量は、0.03%(300ppm)と言われています。
人間は、この外気に合わせて進化しています。
地球上の生物ですから、何と言おうとそれは仕方がないことです。
そのため、二酸化炭素濃度:4%位になると死んでしまいます。
その間の症状は幾つかありますが、一番影響を受けるのは「脳」ですね。
働きが悪くなります。
建築物衛生法における環境衛生管理基準が制定している基準値は、1000ppmですね。
これは、WHO報告書(1968年)「住居の衛生基準に対する生理学的基礎」が基になっており、その中に「1000ppmのCO2の吸入実験(Eliseeva 1964)Ref. Goromosov MS (1968) The physiological basis of health standards for dwellings.Public Health Papers No. 33, World Health Organization, Geneva.で呼吸、循環器系、大脳の電気活動に変化がみられた」とレポートされているからです。
まぁ、これにもいろいろな事例が付きますが、世界のほとんどの国が同じ状態にあります。
■Netatmoという会社
Netatmoはフランスのベンチャー企業です。
会社名は、Net+atmo、インターネットの「ネット」と空気、大気を示す「アトモスフィア」の「アトモ」の合成語です。
で、一号機が今回の Weather SaTation です。
一号機は、その会社の考え方をよく表しますからね。
Weather SaTationを作った理由は、欧米の認識が現実と違うためにひらめいたそうです。
多分、今の日本と一緒です。
それは「外気より、室内の空気環境はイイ」という認識です。
確かに、夏も冬も、外より家の中の方がスゴしやすい。
押し並べて、春、秋以外はそう感じられると思います。
しかし、実際はそうではないのですね。
部屋の中の方が汚いそうです。
まぁココは論より証拠。
試してみました。
■Weather Station
まず、家に無線LANがあるのが基本となります。
だんだん、家に無線LANがない環境が少なくなりました。
割と通信会社も安価でサポートしてくれますからね。
で、Weather Station(以下 WS)です。
開けた瞬間、品質の良さがドーンと来ます。
測定器の質実剛健さは微塵もありません。
シンプル、高品質という言葉、そのままです。
で、取説のほとんどが、イラストでの説明です。
センスの良さ、理想の高さが感じられます。
使うには、スマホにアプリを入れます。
PCでも使えますが、スマホの方がらしいです。
一回目の接続は、ちょっと時間が掛かりますが、まず失敗はないと思います。
大きいモジュールを室内に、小さいのを野外に置きます。
少し時間が立つと、どんどんデータを読み取ってきます。
■空気環境の管理
環境衛生管理基準を表にしておきます。
ビルの基準ですが、家でも大差ないです。
浮遊粉じんの量 | 0.15mg/m3以上 |
一酸化炭素含有率 | 10ppm以下 |
二酸化炭素含有率 | 1000ppm以下 |
温度 | 17℃以上、28℃以下 居室温度は、外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと |
相対湿度 | 40%以上、70%以下 |
気流 | 0.5m/秒以下 |
ホルムアルデヒド量 | 0.1mg/m3(0.08ppm)以下 |
WSで分かる室内のデーターは、「気温」「湿度」「気圧」「二酸化炭素」「騒音」の5種類です。
そして総合判定がでます。
で測定して、3時間で、だめ出しを出されました。
項目は、「二酸化炭素」です。
屋根裏 3畳の書斎で過ごすことが多いのですが、戸を閉め切ると、かなり短時間で1000ppmを超えます。
今の日本は、省エネ型ハウスですからね。
密閉度が高いと、あっさり基準オーバーすることが分かりました。
「2500〜3000ppmで、健康には影響ないが、集中力や意志決定に影響を及ぼす」とカリフォルニア大学の発表論文にあります。
少なくとも書斎に相応しいとは言えませんね。
以降、二酸化炭素濃度が高くなり過ぎるとドアを開けて、強制換気をすることにしました。
私はここで室内のドアを開けたのですが、それは外部の状態を考慮したからですね。
WSで分かる外のデーターは、「天気」「温度」「湿度」「体感温度」「一番近くの粉じん測定値」がでます。
ここで気温差が大きいと、二の足を踏みますね。
幸いすぐ書斎の二酸化炭素含有率は下がったのですが、下がらなければ気温差があっても窓を開けなければならないというわけです。
要するに、自宅の癖の把握と、どういうタイミングで換気すべきかが、分かります。
WSを作ったNetatmoの気持ちが充分分かります。
■活用法はあなた自身で決める
直接的な物言いをすると、火を使って暖を取る家庭には、是非進めたいですね。
換気のタイミングが分かります。
またエアコンをスマホで操作することができる機能があります。
当然、家の外からの操作も可能です。
しかし、この機能、使いますか?
帰ったら、二酸化炭素が多かったり、湿度が高かったりしたら、軽く換気する必要がある場合があります。
この時、エアコン入れていたら、冷やした空気はサヨウナラ。
何のために、エアコンを入れたのかが分からなくなります。
確実に室内の環境を把握できるWSはこんな時にも便利。
また、外気も最も近いエリアの浮遊物データーが取れますので、窓を開けるべきか、開けざるべきかを決めることもできます。
しかし一番イイのは、自分が住んでいる環境、室内だけでなく、戸外も含めて実感、理解できることです。
住まいに対する意識が、高くなります。
今後、住宅は、省エネ住宅から、健康住宅へと進化していきますが、それも実感、理解できると思います。
特殊で自分には関係ないと思われるかも知れませんが、使ってみるとかなり考え方が変わります。
面白い機器で、お勧めしたい一品です。
商品のより詳しい情報は、Netatmoのホームページにてご確認ください。
https://www.netatmo.com/site