エネルギー&家の国の施策と、パナソニック HEMSシステム価格変更
「HEMS」、「ZEH」。
家庭での、エネルギーと家のあり方が、スゴく変わろうとしています。
それに対し、パナソニックの実質的なアプローチが始まりました。
■原発に関する私見
原発の再稼働を巡り、意見が飛び交っています。
2011年 あの忌まわしくも、今でも放射能を出し続けている福島原発の惨状を見れば当たり前ですね。
私は原発は、根っからの原発反対派です。
「賛成」と言う人があれば、あーだこーだ言わずに、是非、自分の庭にミニ原発を作ってください。
ミニ水力発電を作る人はいても、絶対にしないでしょう。
それが原発です!
■エネルギーと食料は、戦争の大きな原因
産業革命以降、人間はエネルギーと食料で争ってきました。
エネルギーは中東の近代史を紐解けばそうですし、食料もフリッツ・ハーバー博士が空気中の窒素を固定窒素化する技術を開発しなければ、近代戦争の大きな理由になっていただしょうね。
『「窒素を固定窒素化する技術」と食料生産って関係あるの?』と思われる人もいらっしゃるかもしれませんが、大いに関係あるのです。
それは植物の生育に窒素が不可欠だからです。
もっと分かりやすくいうと、植物を早く、大きく育てるために肥料を使いますね。
肥料の中には多量の「固定窒素」が含まれているのです。
昔はこれを「チリ硝石」で賄っていたわけです。
当然、地下資源ですから枯渇します。
小麦が出来る量を人口が上回る。
あとは、力ずくでの食料確保。「戦争!」というわけです。
アニメ「キューティハニー」の最高傑作技術「空中元素固定装置」よろしく、まさに「窒素を固定窒素化する技術」は世界の食糧事情を一変させるわけです。
ところが、フリッツ・ハーバー博士は、第一次世界大戦では、ドイツ軍の科学総士官となり、「塩素ガス」を含む、数々の毒ガスをつくることもしていますから・・・。
人間の光と影。
科学は使い手により、こうも効果が違うのかを見せつけられる想いです。
■国のエネルギー施策
話を元に戻します。
日本はエネルギーの大半を輸入に頼っています。
それで飛びついたのが、リサイクルでも使える原子力です。
しかし原発に解はありません。
しかし、国の方も手をこまねいているわけではありません。
その対策が、「エネルギーの節約」、そして「エネルギーの自給自足」です。
それぞれに対応するワードが「HEMS」と「ZEH」です。
■4ステップで、ZEHへ
具体的にいうと、次の4段階があるとされています。
1つめは、2016年〜 始まる電力自由化です。
これでエネルギーは市場の法則に乗ります。
2つめは、もう始まっていますが、スマートメーターの設置です。
今までのメーターはアナログです。
このため、メーターを読みに来る人が必要だった訳です。
スマートメーターは、デジタルで、ネットにつながっています。
瞬時に、どこでどれ位の電気が使われているのかを把握することができます。
これは「いろは」の「い」の機能で、むしろ、それ以外の方が重要です。
それは、誰の家が、どの位電気を作っていて(余らせていて)、誰の家が、どの位欲しいとしているのかです。そうすると、余っている電気を足りないところに供給することが可能です。
例えば、Aさん宅で太陽電池で作っている電気が余剰にあるとき、三軒先のBさん宅では後10分でお客様をつれて、帰宅。昼食パーティーをするとします。
お客様とパーティーですから、普段より、電気をバンバン使います。
となると、Aさん宅の余剰電気を、Bさん宅に送ればイイわけです。
この考えは、スマートグリッドと呼ばれ、いろいろな所でエネルギーが作られるようになった時、重要な役割を果たします。
スマートメーターは、そのための土壌づくりなのです。
3つめは買い取り価格です。
太陽光発電システムは、年々値段が下がっていますが、やはり高いわけです。
昨年の時点で、概算しましたところ、投資回収に10年。20年使うと投資分、利益として戻ってくる感じです。
このため、当初は、固定価格買い取り制度(FIT)を導入。なるべく多くの人が太陽電池システムを買えるようにしました。
ところが、電力会社はその時点で、火力発電より高い価格で電気を買い、安く消費者に売るので儲かりません。
まあ、独占企業なので、少しは利益を吐き出せよと思わないでもないですが、日本は民主主義ですので、メチャメチャなことはできません。
ただ電力自由化は、市場が価格を決めるので、今まで電力会社がしてきたように、積み上げ式の価格では成り立ちません。
となると、太陽光発電の電気も安く買い叩かれます。
そうすると自分で使った方が安い時期が来るわけです。
遅くとも、2018年までにそうなると言われています。
4つめは、ZEHです。
ゼロ・エネルギー・ハウス。
戦争の原因は、エネルギー、資源、食料などいろいろありますが、エネルギーは大きなポイントです。
それに掛かる費用を「O」にする。
経済的にはエネルギーの自給自足が可能という意味です。
そのような家を、国民が建てる方向に政府はもって行こうとしています。
これはスゴいことです。
後、これで食料の目処が付けば、日本はグンと楽になります。
税のみ頼らず、憲法に記された「最低限の生活」の保障ができる可能性が出てきます。
それはさておき、具体的なZEHは、電気を作る太陽光発電システム、電気を無駄なく使うホーム・エネルギー・マネージメント・システム、そして余剰電気を溜める充電システムの3つのシステムを使うことができる家です。
■普及させるためには
HEMSは、”Home Energy Manegiment System”の頭文字をとったもので「ヘムス」と読みます。
日本語訳すると「家庭用エネルギー管理システム」。
このシステムは、HEMSのルールであるエコーネットライトに対応している家電と、家電からの情報を伝える専用Wi-Fiシステム、家電からの情報を分析するシステムの3つから成り立ちます。
今は、IOT時代だから、つなげればイイじゃないか。
そのうち、HEMSより安くてイイモノがでるでしょうと考えてられるかも知れませんが、それが中々難しい。
まず家電は、インターネットに接続しない個別独立(スタンド・アローン)で設計されています。
HEMSのために、家電メーカーがしたのは、2つです。
1つめは、徹底した「省エネ家電」を作ることです。
これは当たり前ですね。省エネの素質がない家電をコントロールしようとしても、今度は家電本来の力を発揮しませんからね。
2つめは、HEMSの通信に必要なエコーネットライトに対応させることです。
エコーネットライトへの対応は、まだ大きくはうたわれておりませんが、多くの家電が対応しています。
特にHEMSに関わり合いのある機器を、HEMS重点8機種として、優先して対応させています。
8機種とは、「スマートメーター」「太陽光発電」「蓄電池」「燃料電池(エネファーム)」「EV/PHV」「給湯器(エコキュート)」「エアコン」「照明」です。
多分これに加わるとしたら、24時間365日使う「冷蔵庫」でしょうね。
HEMSと言いますが、可動するには用意が必要というわけです。
■普及の鍵「リーズナブル・プライス」
しかし、どう正論を並べられても、価格が高いと食手は動きません。
まず、普及の土台に載せるには、「リーズナブル・プライス」。
その機能にあった値頃感が必要なのです。
パナソニックが、今回行ったのは「値下げ」です。
パナソニックが提唱する「スマートHEMS」の中のキーとなる配電盤「スマートコスモ」の値下げです。
■値下げを可能できたわけ
「スマートコスモ」が普通の配電盤と違うのは、電気量を測定する機能を持っていることです。
と簡単に書きましたが、実際はかなり大変です。
スマートコスモは、パナソニックの瀬戸工場で作られています。
あの「瀬戸物」の「瀬戸」です。
もともと配電盤は、絶縁のため焼き物でできた碍子が使われていましたから、瀬戸に工場があるわけです。
が、スマートコスモはハイテクの極みです。
分岐電流センサ(ロゴスキーコイル)などのパーツが採用されています。
ところが、分岐電流センサの生産がやっかいだそうです。
製造当初は、歩留まり75%だったとか。
厚み、位置精度をミクロン・オーダーで制御、生産することが必要なためです。
これは日本メーカーの強みですね。
現在、中国、韓国、台湾が、世界の工場で量産を繰り返していますが、それは組み立てという意味で、キーパーツは日本から出されることが多いです。
それは精度の高い「設計技術」「量産化技術」「品質保証技術」の3つがあって初めてできるわけです。
■生産量を「15倍」に
この生産技術が確立された、パナソニックは、量産に踏み切ります。
投資額:10億円。
今年の10月に18万台/年。2016年36万台/年に増強するそうです。
パナソニックの本気が始まります。
商品のより詳しい情報は、パナソニックのホームページにてご確認ください。
http://sumai.panasonic.jp/
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