新製品

一番日立らしい家電!? 日立インバーターポンプ
スマート強(つよし)くん


各メーカー、いろいろな特長をもっています。
癖と言ってもイイです。創業者がいるメーカーはかなり色濃く出ます。
でも、今回発表された「日立インバーターポンプ 浅井戸・加圧給水用スマート強(つよし)くん」を見た時、「イイ仕事だなぁ」と思いましたし、「日立らしい」とも思いました。
■今、家庭用井戸用ポンプの需要ってあるの?
DSCF4313日本の生活インフラの整備はスゴイです。
上水道:97%発表会での日立情報、下水道:77%平成26年3月31日。日本下水道協会のHPより。

下水道は「あれれ」と思う人がいるかも知れませんが、日本の下水道の普及は、ここ30年程度のことですからね。
公害が酷くなり、後手に回りながらも、普及させたというのが真実ですね。

面白いのは、上水道の残り:3%。
一声:4000万世帯ですから、単純計算:120万世帯、実際は約135万世帯が、井戸水を使っているわけです。

場所は、千葉県、福岡県が10万世帯以上。
北海道、福島県、茨城県、岐阜県、広島県、愛媛県、熊本県が5万世帯以上で続きます。

面積が広く、過疎化が強いエリア。また山が迫っていて、生活インフラが分断しやすいエリアです。

 
私の母方の実家は、広島県の中央部にあります。
広い昔屋で、土間の台所、井戸、かまど、米は一石が入れられるサイロの様なものに入れられていました。

7歳位までは、手押しポンプでした。横から井戸を見せてもらいましたが、5m位の暗い闇の中の水面は銀色に光り、幻想的というより怖かったですね。
その晩、台所から、「一枚」「二枚」という声が・・・。

それは置いておくとして、小学校に上がってから行くと、井戸はポンプで汲み上げられるようになっていました。
「ドッドッドッ」と大きな音共に、汲み上げられましたね。

使い勝手は、普通の水道と変わりません。
おばあちゃんは「楽になった!」と喜んでいましたね。

この井戸で、バケツによる水組み、手押しポンプと経験しましたが、バケツは本当に大変です。
手押しポンプは、それから比べると格段に楽になります。
でも、やはり大変ですね。

ポンプは、ありがたい家電なわけです。

 
■省エネ型を
このポンプですが、実は電気使用量のTOP7に入ります。
1位より順に、冷蔵庫、照明、テレビ、エアコン、電気温水器、ポンプ、エコキュートの順です。

20150707 HI ポンプ 資料_004 のコピー

発表会で配布された日立の資料より抜粋


テレビと異なり、ポンプは生活インフラですからね。
絶対に必要です。
こう言った生活を根本的に支えるために、今回日立は省エネ型の新型ポンプを開発しました。

 
■日立のよさ
日立の特長は、私は割と愚直なところにあると思います。
ユーザーの言うことを一つ一つ実現していく会社という意味です。

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日立といえば新幹線。安全神話に、「飛躍」という
文字はなく、日々の積み重ね。日立らしい


これは技術もそうですね。
日立の技術は着実です。
一つ一つ積み重ねています。

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昔から定評がある日立のモーター
今回は、埋め込み磁石型モーターを開発。
効率と信頼性を向上させた。


どちらかというと、日本の職人芸を思わせるところがあります。
技術=製品という分野には非常に強いです。
ただし、それだけでは商品の善し悪しは決まらないことも付け加えておきます。

 
そういう意味では、この技術的な家電。
インバーターポンプ。
日立にピッタリの家電、日立の良さが最大限に出ている家電といえます。

 
■新型ポンプの技術ポイント
20150707 HI ポンプ 資料_006 のコピー 全部、詳しく説明すると読む方も大変ですから、2つほど例を挙げます。

DSCF4300

ポンプのカットモデル。
中央の羽根車が水を汲み出す。原理的には水車と同じ。


 
■安定給水技術:キャビテーション対応
キャビテーションはという言葉ですが、船、潜水艦好きな人なら馴染みがあると思います。
流れる液体の中で圧力差により短時間に泡の発生、消滅が起きる現象です。

何故、船、潜水艦かというと、スクリューですね。
高速で回り、船、潜水艦を前に進めるのですが、実は計算通りの実力がでなかったことがあります。
調べてみるとキャビテーションが発生。泡をかき回すわけですから、前に進めなかったわけです。

これ船、潜水艦だけの話ではありません。
普通のホースでも置きます。
ホースを折り水を出すと、まあかなりの勢いで吹き出すわけですが、その時「ジュっ」というような音がするのですが、これもキャビテーションです。
つまり、チョットしたことで、どこにでも発生する現象です。

キャビテーションは泡です。
スクリューを幾ら回しても前に進まないように、ポンプも幾ら回しても水量が上がらなくなります。
ここで頑張って、ポンプを回し続けても、ダメ。
電気代を喰うだけです。

20150707 HI ポンプ 資料_007 のコピー で、日立が開発したのが「カルマン渦式超音波流量センサー」。
カルマン渦とは、流れのなかに障害物を置いたとき、または流体中で固体を動かしたときにその後方に交互にできる渦の列のことです。
モンロー・ウォークの時のお尻の動きの様です。

大気でも見られ、雲の形がそうなります。
ちなみにゴッホの星月夜もそうではないかと言われています。
もっともゴッホの方は、精神状態が不安定な時に書かれたというのが通説ですが・・・。

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左)地球規模で雲を見ると、カルマン渦が明確に見える。
右)ゴッホの星月夜。中央の渦は狂気の表現か、それともミストラルがもたらすカルマン渦か・・・


この渦を検知し、流量を正確に測ろうとするわけです。

その結果は動画でどうぞ。


 
■高信頼性技術:「耐摩耗弾性ケーシング」の原理
固体にせよ、液体にせよ物質に長時間接触させていると、金属といえども最終的には摩耗します。
ポンプの場合の問題は、水と共に地下水に含まれるものを吸い上げてしまうことです。一番良い例が「砂」です。

ほとんどフィルターで濾せるとしても、微細な砂が時々混じります。
砂は岩を細かくしたモノですから、決して柔らかいものではありません。

羽根車の回りはライナーで覆われています。
羽根車とライナーの間は狭く、ここで水は勢いを付けるわけです。
結果、水の混入物は、外側に、つまりライナーの方に飛ばされます。

硬い砂がかなりの高速でぶつかりますので、ライナーは削れて行きます。
つまり耐久性が失われると言うことです。

 
今までライナーは砲金(青銅)で作られていました。
十円硬貨の硬さだと思ってください。
でも削られますね。

ここで発想を変えます。
柔よく剛を制す。
弾性エラストマーを用いたわけです。

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砲金とエラストマー樹脂を半分覆いを付けサンドブラスター処理したモノ。
砲金の覆いされていない所はザラザラになっていることが分かる。
エラストマー樹脂は変っていない(指触でも確認済)


こちらも見事に功を奏しています。

20150707 HI ポンプ 資料_005 のコピー

大学の先生も太鼓判!


 
 ■能力新旧比較
さて、トータルの能力として、流量を一定にした時の消費電力と運転音の比較を見てください。
会場での一発勝負です。
運転音が高いと感じる人もいるかも知れませんが、会場での音は明らかに小さく、これ以上の差があるように感じました。DSCF4283 さらにいうと、サイズも一回り小さくなっています。
新型は、まさにALL NEWというわけです。

 
■ラインナップ
20150707 HI ポンプ 資料_009 のコピー  
自分に関係ないと思う人もいられるかも知れません。
が、私は日立というメーカーを知る上でも興味深い商品、そして使う人は本当に便利だと思います。

2015年7月8日

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