仏 Netatmo のクラウドを使用しない、
ホームセキュリティーシステム『Welcome』
仏 Netatmo社から販売されたスマートホームカメラ “Welcome”。
顔認識システムが付いていて、その場にいなくてもスマートフォンなどで、家族の状態がすぐに分かる優れものです。
世界で初めて顔認識システムを搭載したとのことですが、私が引かれたのはそこではありません。セキュリティーの考え方です。
■”HEMS”の足音が聞こえる、この時代
HEMSは、ホーム・エネルギー・マネージメント・システムの略。
名は体を表すの言葉通り、元々は家庭で使う電気をマネージメントするためのシステムです。
エネルギーと食糧問題は、人類がかかえる二大問題ですからね。
国の根幹にも関わります。
HEMSの発想は、電気を買って使うだけでなく、「創電」から来ています。
太陽電池で作った電気を、電力会社に売った方が儲かるのか、使った方が得なのか、など計算しながら対応するのは、今でも大変です。
何たって「時間変動制」ですからね。
おやおや、雨が降ってきました。
創電の条件が変わりました。
こうなるとわけが分かりません。
それで、電力自由化ですからね。
ここは10円高いけど、ここでポイントが10ポイント・・・。
HEMSは、これを名奉行大岡越前之守忠相のごとく、快刀乱麻裁いて行きます。
■HEMSとクラウドの関係
HEMSは、それだけでなく、電力消費も管理します。
エアコンはその筆頭ですね。
家の生活環境を管理するわけです。
だんだん機能が複雑になりますね。
しかも、家電がつながっているわけですから、よりよいことができる様に、いろいろな工夫がされます。
この時重宝されるのが、「クラウド」です。
単純にいえば、自分のPCがネット上にあるようなモノです。
PCの画面とキーボード&マウスが、スマホに当たります。
本体はネット上ですね。
大型コンピューターに、巨大サーバーですから、自分のPCより強力です。
さてここからが問題です。
クラウドは暗黙の了解として、記録されたデーターを匿名のビッグデーターとして使います。そしてますます発展します。
が、ネット上のデーターに「確実に安全」という言葉はありません。
「世に泥棒の種は尽きまじ」と呼んだのは大泥棒として名を残す石川五右衛門ですが、今の世、「ハッカーの数は尽きまじ」ですからね。
しかも、海外から面白半分にちょっかいをかけたりしますよね。
このため、絶対に安全と言うわけではありません。
■家と家族は違う!
家は財産です。
財産は、お金は重要です。
が、家族はそれより大切です。
その家族をつなぐのが、スマートホームカメラ “Welcome”です。
単純に言えば、家族がどこにいるのかを知るためのカメラです。
このため、このカメラはプライベートな情報、つまり個人情報の塊です。
で、Netatmoが取ったのは、クラウドを使わないことでした。
ダイレクトに、指示された機器のみに、指示されたデーターのみを送るのです。
今は、アドビを始め、種々の写真関連会社が、写真保存用のクラウドを持っています。
私も、仕事で使う写真は、クラウドに上げています。
そんな時代ですからね、時代に逆行していると言われればそうです。
しかし家族の写真は、今だに家のサーバーの中ですね。
トラブルにあった場合、デジタルデーターは、アナログと違い修復がほとんど効きませんからね。
サーバー以外に、2種類のメディアに保存しています。
とにかく、家族をつなぐために、家族をトラブルにさらす可能性をなくしたのは、賢明だと思います。
■シンプルで使い勝手がよいシステム
例えば家の玄関に、Welcomeを置いたとします。
すると、家族が帰る度に、スマートフォンに連絡が来ます。
「トムさんが帰りました」
「リリーさんが帰りました」
で、未登録の人を認識した場合は、「未登録の人が来ました。」と教えてくれます。
これらは、文字情報だけでなく、フルHDの動画で確認することができますので、どうすればイイのか的確な判断が可能です。
カメラは130°とかなり広角に取ることができます。
これは通常のデジタルカメラより広範囲です。
その上、赤外線のナイトビジョンの性能もあります。
画面は白黒。
ちょっとホラー映画のような見え方になりますが、こちらもくっきり見えます。
後、プライバシー設定も可能です。
年頃の女の子は、とくに五月蠅いですからね。
通知、ビデオ映像オフも可能です。
で、一番重いデーターとなるビデオ映像は、mini SDに保存されます。
■振動を感知する「タグ」
Welcomeは人間の「目」と同じですが、泥棒用に、振動を感知する「タグ」も同梱されます。
四角い長方形。目立つことはありません。
2つ合わせると、かなり家のセキュリティーが上がりますね。
■Netatmo社のこと
これを作ったNetatmo社は若い会社です。
設立が2011年。
これまでに、Welcomeを入れて4製品。
最初の製品は、スマートフォン用ウェザーステーションです。
外だけではなく、室内のモニタリングが可能。
欧州は冬寒く、セントラルヒーティングがしてあるところと、そうでないところの差が激しいですから、これは便利です。
社名のnetatmoですが、net+atomoということからきています。
netはnetwork、atomoは気象のatmospheric phenomena。
もともと、ネットと気象をつなげるビジネスをおこなうベンチャー企業です。
面白いのは、デザインですね。
フランスの工業製品は、シトロエン 2CV(二馬力)のように実用味溢れるデザインか、片やコンコルドのように最先端を行くかですが、こちらは最先端ですね。
シンプルこのうえないデザインは、洗練されています。
また、スマホ画面のデザインもイイですね。
日本のデザインは、キャラを使うところが多く、ユーザーに媚びている感じがするのですが、この単純明快なデザインは分かりやすいです。
日本の家電メーカーのほとんどは、これらの基本技術は持っているのですが、セキュリティーは余り上手くないですからね。
ゴチャゴチャしたAndroidより、スマートなiPhoneに人気が集まっている様に、今回のWelcomeも、そのシンプル&スマートな設計故に日本でも指示される可能性があると思います。
商品のより詳しい情報は、Netatmoのホームページにてご確認ください。
https://www.netatmo.com/site
2015年6月28日