本炭釜10周年!未だ、なお進化中!
三菱の炊飯器「本炭釜 KAMADO」
「お釜」と「かまど」。
今、全ての”プレミアム”炊飯器が、目指している目標です。
そんな中、「KAMADO(かまど)」と言い切ったモデルが遂に現れました。
三菱 IHジャー炊飯器 本炭釜10周年の自信作、「本炭釜 KAMADO」です。
■10年経っても錆びない技術
各メーカー共、内釜にすごくこだわります。
素材は、鉄だったり合金だったり、またお米がはり付かないためのフッ素加工は当たり前なのですが、その他いろいろな工夫がほどこされています。
三菱が、10年作り続けてきた本炭釜は、「炭」で作られたお釜なのですが、何故「金属」でなく「炭」を選んだのでしょうか?
ちょっと話は変わりますが、以前、「ホコタテ」という番組がありました。
「やらせ」の回もあって終わってしまいましたが、中々面白い番組でした。
その中であった、「美味しい御飯勝負、かまど名人 対 ×××」という企画。
普通はプレミアム炊飯器なのですが、業務用ガス釜での対決でした。
何故電気でなくガスだったかというと、理由は「火力」でした。
電気は制御しやすいのですが、火力は強いと言われているIHでも、直火に比べるとそれなりです。
「火」の火力には敵わないわけです。
が、火は制御しにくいのですからね。
長所もれば、短所もあるわけです。
IHは電磁誘導による発熱ですが、最終的には磁力線により発生したうず電流に対する電気抵抗が熱となります。今は、余り言われなくなりましたが、一昔前はアルミ製の鍋はIHで使えないとされてきました。
電気抵抗が小さいすぎて、うず電流も発生しにくく、熱も発生しにくいためです。
そしてIHの火力は、このうず電流が発生する部分の大きさに比例して大きくなります。
実は、三菱が10年間使っている「炭」は、IHと相性が非常にいいのです。
このため、多くの場合、釜の外側しか発熱しないしないのですが、炭でできた本炭釜は釜全体が発熱するのです。
つまり火力が強いわけです。
本炭釜は「軽く」、「よく発熱してくれる」釜なのですが、製造はしにくい。
純度99.9%の炭の塊から削り出すのです。
完成までに、約100日。
三菱のこだわる釜は、性能もピカイチですが、コストもピカイチです。
さすがに”プレミアム”というわけです。
■かまど炊きの美味しい理由1:上部空間が必要
かまど炊きの美味しさを、三菱は次のように分析しました。
変わったなぁと思ったのは、羽釜の「上部空間」の有用性です。
羽釜の「上部空間」とは、羽根より上の部分のことです。
かまどの外へ突き出ている部分ですね。
当然、かまどの中にある下の部分より、格段に温度は低いわけです。
三菱はこの「上部空間」を「沸騰時の泡やうまみを受ける空間。ふきこぼれの勢いを抑制する。」と定義し、「ある程度低めの温度」であることが重要としました。
「ある程度低めの温度」を維持するには、広い空間が必要です。
そしてもう一つ、この空間にお米は進出してはいけないわけです。
羽釜の羽根より、高い位置に水量を設定することはできません。
急激に冷えるので、炊きが変わりますからね。
■かまど炊きの美味しい理由2:断熱構造
「かまど」は、ことに炊飯器で、よく使われる単語ですが実際に見たり、使ったりされたことがある人はかなり少なくなっていると思います。
かく言う私も、自宅にかまどはありませんでした。
が、母方の祖母の家が田舎にあり、そこは土間の台所でしたからかまどで煮炊きするようになっていました。
物珍しくて、祖母と母が料理を作る間、その当たりをウロウロ。
祖母からは、「そこは触ると熱いので触ったらダメ」とか、いろいろダメだしをされながら、かまどを覚えました。
そこで知ったのは、かまどの断熱性の優秀度です。
これはかなりのものです。
別の言い方をすると、熱は熱伝導の一番イイ釜の底を目がけて伝わって行くと言うことです。
エネルギーを有効に使うには、断熱という方法は極めて有用なことなのです。
■かまど炊きの美味しい理由3:大火力
かまどは直火ですからね、火力は強いわけです。
しかも先に書きました通り、熱を一番ところが釜底ですからね、火力が集中するわけです。
これに対応するのが「本炭釜」です。
■三菱の回答・・・新しいデザイン
まず製品を見てください。
むっちりとした、ややお尻の大きい安定した、母性を感じさせるデザインです。
「豊穣」という感覚を形にした感じがします。
三菱は、おむすび、熟れた果実、焼き上がったパンからしイメージした「実りの形」と形容しています。
見るからに美味しさが伝わって来ます。
ただ生活家電としての美しさではなく、生活道具としての美しさです。
このシンプルで豊穣なラインは、イイですね。
見てて飽きない。
下ぶくれのデザインは、中に断熱材が詰め込まれているためです。
つまり、機能とデザインがマッチしていることを意味しますが、これは「理に敵っている」わけです。
これはスゴいと思います。
■「本炭釜 KAMADO」の実力
「プレミアム」炊飯器ですからね。
実力は、味です。
やや冷めたお茶碗によそわれた御飯の感想は、以下の通りでした。
「6月近いですからね、新米までの香りはしません。
が、美味い。
噛むほどに米の甘味、旨みがどんどん出てきます。米だけでこの味は、まさに極上です。
また、歯に当たる感触がイイ。しっかりとした米粒感があるなぁ・・・。」
ここで三菱から出された資料をご覧ください。
粒感(かたさ)が2ポイント、みずみずしさ(含水率)が1ポイント上がっています。
たったこれだけと思われる方もいらっしゃるかも知れません。
が、実は「粒感」と「みずみずしさ」は相反する要素なのです。
つまり硬い(粒感がある)と水気が少ない、柔らかいと水気が多いのが普通です。
これが双方とも上がっているということは、一つ上のレベルになっていると言うわけです。
私の感想で、最後「・・・・」となっていますが、これは最近似た経験がないためです。
■三菱が捨てた技術、残した技術、そして自負
今まで搭載していて、今回三菱が搭載しなかった技術があります。
「蒸気レス」です。
蒸気レスは確かに便利なのですが、手入れなど大変ですし、味には関係ありません。
付けると、かなり頭でっかちになったのではないかと、思いますので、付けなくて正解だったと思います。
しかし、中々思い切れるものではありません。
開発した技術は、惜しいですからね。
ここは見事です。
今回、残したのは、見やすい液晶表示。
各種モードは、機能が追加されています。
今まであった銘柄芳潤炊きには、「つがるロマン」「東北194号」「さがびより」「にこまる」が追加されています。
また、「おこげモード」「美容玄米(B1残存量を増やす)」「芳潤炊き(発芽米)」が追加されています。
発表会の最後に、3.5合炊きの質問をしました。
というのは「本炭釜 KAMADO」は5.5合のみだったからです。
3.5合は釜が小さくなります。
つまりIHで熱を出す部分が少なくなるわけで、熱量が減るわけです。
ニーズとしては大きいのですが、作り込みが難しい。
三菱の回答は、「KAMADO」は「0.5合でも美味しく炊けます!」とのことでした。
「プレミアム」は味で勝負ですから、保証している合数(「KAMADO」の場合は、0.5合〜5.5合)は、どれでも美味しく炊けなければなりません。
しかし、中々、それは言い切れません。
言うには、繰り返し、繰り返し、炊きあげ、味を煮詰めていくしかないわけです。
今回の「KAMADO」は、試食もそうでしたが、よく作り込まれた感があります。
購入する人はもちろん、そうでない人も、店頭で眺められることをお勧めします。
伝わってくるモノがあります。
商品のより詳しい情報は、三菱電機のホームページにてご確認ください。
http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/suihanki/
■関連記事
レポート『美味しい「玄米」炊けます! 三菱 IHジャー炊飯器「本炭釜」NJ-XW105J』
2015年5月29日