パナソニックが、50歳以上の目利き世代をターゲットに、昨年から始めたJコンセプト。
現在、日本人の世帯構成人数は少なくなり、また家電消費にそれなりに勢いがあるのが、50歳以上ですから、今の世相をよく反映しています。
昨年発売されました冷蔵庫、エアコン、紙パック掃除機に引き続いてのラインナップは、3合炊き炊飯器、スチームオーブンレンジ、タテ型洗濯機の3つでした。
■Jコンセプトとは
パナソニックが提案する、50〜60代の目利き世代をターゲットとした、旬の味わいを愛し、家事を楽しむ人にふさわしいこの国ならではの心づかいと上質な美意識を身につけた家電シリーズの総称ですね。
家電のカテゴリーは3つ。
「旬を愛でる」「家事を楽しむ」「体を思いやる」。
「旬を愛でる」は、台所家電ですね。
山、海があり、四季に恵まれた日本は、世界でも食材に恵まれたエリア。
その素材自体を最大限に活かした「刺身」など和食は、今や世界遺産です。
そんな中、通常の生活の一番の楽しみは、「食」かも知れません。
それを支える家電です。
「家事を楽しむ」はケア家電です。
フロア・ケアなら掃除機、衣類ケアなら洗濯機。
家事の中でも、最も負担が大きい分野です。
使いやすいさ、負担の少なさが要求される家電です。
「体を思いやる。」は、空調など家の環境を作ったりする、環境・健康家電です。
特に高齢者には重要な家電ということもできます。
■3合炊き炊飯器:美味しさを実現する「可変圧力」技術
冒頭申し上げました通り、今、世帯構成人数が減っています。
そして「米」も生鮮食料品ですから、炊きたてを食べるのが一番美味しい。
となると、2〜3合を毎回炊いて食べるのが一番です。
1升炊きは大き過ぎますし、5合炊きでもどうかなぁと言うところです。
もともと家電の標準は、家族4人ですから仕方のないことです。
このため、ここ1〜2年、3合炊きが注目を集めています。
御飯、その他、味噌汁、カレーなどにも共通しますが、美味しく作るコツは、ある程度以上の量で作ることです。これは、ある程度以上の量になるとその調理に必要な熱対流がきちんと起きるためです。
御飯の一合を大きな釜で炊くと、水量が少ないので深さがありません。
つまり熱対流が上手く使えないのです。
さらに付け加えますと、電気炊飯器の発熱を司るIHのパワーは、面積に比例します。
お釜を小型にすると、お釜の底面積は小さくなります。
つまり、炊きあげ時の熱量が少ないので、自在な炊きあげも難しくなるわけです。
パナソニックは、そこを「おどり炊き」で培った可変圧力の技術を採用。
加圧により、沸点を高めることにより、米に十分な熱を加え、炊きあげることができるようになるわけです。
もちろん、「かため」「やわらか」「もちもち」という「お好み炊き分け」機能も搭載されています。
形はお櫃をイメージし、赤、黒を使い、豊穣柄を「深絞り」という特殊な技術であしらっています。手頃なサイズでテーブルに持って行って使うことを前提としているそうです。
ちなみに、この機種、炊飯器の付属の「しゃもじ」はありません。
が、ちょっと洒落た「しゃもじ台」が付いています。
これは気に入ったしゃもじを、そのまま使って欲しいという思いからです。
3.5合炊きは、ある意味「もったいない」という考えでできていますが、ある意味「常に美味しく」というこだわりのモデルです。
しゃもじが付いていないのは、それを示します。
■50種類の和食レシピが楽しめるスチームオーブンレンジ
和食と他の国の料理の違いは、「素材の楽しみ方」にあります。
素材を活かしきるのがポイント。
と書くのは簡単ですが、切る、焼くは本当に難しい。
と言って、朝から額にしわを寄せて火加減をコントロールするのも、可笑しなものです。
パナソニックが提示した資料には、夕食には3品欲しい人が多いとありましたが、その中の1つは酒のおつまみ、御飯のお供になると思いますので、作り置きでも十分。
新しく作るのは2品という感じでしょうか。
Jコンセプトのコンパクトなスチームオーブンレンジは、50種類の和食レシピがプログラムされており、「焼く」「煮る」「蒸す」「揚げる」に対応しています。
両面焼きができるグリル皿、スピードスチーム機構で、火加減が難しい和食を、お任せで作ることができます。
また、ビストロはエリア加熱などの熱をより正確にコントロールする技術に優れますから、上下で2品が同時に作れるようなこともできます。
また、高齢者の場合、カロリー制限、塩分制限を医者から指示されることもありますが、その指定オーダーから、お勧めレシピを検索するすることもできます。
カロリー制限、塩分制限は、生活の楽しみである「食」にかなり影響を及ぼしますが、そこにもぬかりないわけです。
スイッチがほとんどない外観は、シンプルで好感が持てます。
タッチパネルを採用したお陰ですが、掃除もしやすい。
タッチパネルは、カラー。字も大きめですので、非常に読みやすい。
タッチパネルの応答も早く、ストレスを感じることはありません。
面白かったのは、扉に「ソフトダンパー」が仕込まれていること。
「和」の中には「おもてなし」という精神があります。
料理を作る時、ギスギスしてしまうと、家事を楽しみ、旬を愛でるところまで行きませんからね。
小さいながら、凝った作りです。
また、写真では分かりにくいですが、定番の「豊穣柄」を纏っています。
■徹底して作り込まれたタテ型洗濯機
世の中にオーダーメイドという作り方の商品があります。
服、靴、嗜好品、など、個人が素材、デザインを指定、自分に合ったサイズに作ってもらうわけです。
今だとPCも、かなりカスタマイズ指定ができますので、セミ・オーダーメイドと言ってもイイかも知れません。
オーダーはいろいろありますが、体を動かす場合、「サイズ」というのは非常に重要な要素です。
キッチンでも、台の高さが合わないと腰に来ますからね。
家事の中で、肉体的に厳しい洗濯も同じです。
水を含んだ重い洗濯物を、ほぐしながら取り出し、干す作業がありますからね。
今回のJコンセプトのタテ型洗濯機。
徹底してサイズを作り込んであります。
ターゲットが、50〜60代の目利き世代と、年齢が近しいのも幸いでしています。
元々パナソニックはパネルを後ろにし、洗濯槽を前に持ってきて、取り出しやすくするレイアウトを縦型洗濯機に取り入れていますが、Jコンセプトのタテ型洗濯機は徹底して追い込んでありますので、より楽です。
しかも、洗濯槽の径も大きくしてあります。
入れやすく、出しやすいわけです。
ちなみに、脱水後に洗濯槽を小刻みにゆらし洗濯物の絡みをほぐす「からみほぐし機能」も搭載しています。
操作はタッチパネルで行います。
ホワイトパネルですので、やや暗めの場所でも、読みやすく、操作がし易い。
パナソニックの定番技術、給水と同時に洗剤を泡立て素早く汚れを落とす「即効泡洗浄」、いつでもタンクをキレイに保つ「自動槽洗浄」も搭載しています。
ちなみに、こちらの柄は、新しい「清流柄」です。
■第一印象
コンセプトを踏まえた作り込みは好印象。
また、激しくない主張、さりげないたたずまいは好印象です。
不安のない「平穏な日々」を演出してくれているようです。
ただ実機での、味の確認、洗浄力の確認はしておりませんので、見て、触った感じです。
3機種ともオープン価格の設定です。
発売時期と市場導入予想価格は以下の通りです。
3合炊飯器 | SR-JX055 | 9月下旬 | 7万円 (税抜) |
スチームオーブンレンジ | NE-JBS652 | 7月上旬 | 8.5万円 (税抜) |
タテ型洗濯機 | NA-JFA801 | 7月中旬 | 18万円 (税抜) |
商品のより詳しい情報は、パナソニックのホームページにてご確認ください。
http://panasonic.jp/jconcept/
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