思うこと

家電販売と”オムニ”チャネルの可能性


auが、2015 Summerで発表したau WALLET Market。
“オニム”チャネルと言われるタイプです。
オムニは元々ラテン語の接頭語で、「全て」「あまねく」とかの意味です。
よく使われるのが音楽CDの「オムニバス」盤。
欧米とは使われ方が、やや違うのですが、それはさておき。

 
■”オニム”チャネルとは?
“オニム”チャネルとは、いろいろな販売形態を混ぜて使うということです。

買い物には、
「選択」「決済」「持ち帰り(設置)」の3つの要素があります。
例えば、掃除機を買うとしましょう。

始まるのは、店の選択からです。
例えば、いろいろな種類から選びたいなら、電車に乗って品揃えが豊富な量販店に行くし、30分以内に使いたいなら、品揃えが少ないけど自転車で5分の店、ということです。

そして、そこで品物の確認をするわけです。
掃除機として「並み」以上の性能か、自分のしたいことができるか、扱いやすいか等です。
当然、価格も自分想定価格と大きく喰い違っていないことが、条件です。
ここまでが「選択」。

決まったら、レジへ持って買います。
現金、カードなどで支払います。
「決済」ですね。

そして包装してもらって持ち帰ります。
スティック型掃除機は細長い箱に収まり、数キロですから、持てないことはありません。
お年寄りだと、配送をお願いするかも知れません。
一度、冷蔵庫をトラックで持ち帰ったおじさんを見たことがありますが、・・・。
これが「持ち帰り」です。

 
今、ありそうなパターンを上に書いたのですが、auが掲げる”オニム”チャネル化すると次のようになります。

「選択」。
リアル店舗で行います。
「なーんだ、今と同じじゃん!」と思わないでください。

説明員が懇切丁寧に説明、お客さんの選択を助けるのは同じですが、「在庫」を持たないわけです。つまり在庫を置くバックヤードスペースが不要。
カタログ類を置くスペースと、人が休むスペースがあればイイと言うことです。

つまり小店舗のauショップでもかなりのモノが置けるわけです。

 
「決済」
品物が決まると次は決済です。
レジに行き、財布を出し・・・・、と言うことはしません。

基本は、スマホで注文&決済です。
必要情報は予めインプットされていますので、1クリックです。
まぁ、パスワードは必要ですが。

 
「お持ち帰り」
基本は自宅配送です。
アマゾン、楽天と同じと考えてください。

 
分かると思いますが、「選択」部分が今のリアル店舗での販売、「決済以降」は今のネット販売に重なります。
リアルとネットが合体した販売方法、”オムニ”と称される所以です。

 
■多分大きな流れになる!
間違いなく、どんどん取り入れられる方式だと思います。
在庫を持たないので、リアルな店舗も開きやすくなります。

 
が、弱点もあります。
その場でクリックしてもらえないと、ネットなどで価格比較され、お客さんを別の店に取られることが上げられます。
また、持ち帰るより、配達もそれなりに時間が掛かります。

 
まず、価格勝負に持ち込まれないためには、どうすべきかということです。
一番手っ取り早いのは、「そこだけでしかない商品を扱う」のが一番です。
そうある種「セレクト・ショップ」化するのが重要です。

説明員の質も重要です。
親身になって話に乗ってくれると、その人から買おうと思うのは、よくある話です。
ユーザーが何故迷っているかを聞き出し、それに答えて上げるのが一番です。

昨日も、「店員はこれを勧めるんだけど、違うんだよね・・・」と言った人がいました。
よい店員のポイントは、ソムリエ型の顧客対応なのです。
お客さんの期待(想定)から離れたモノは、どんなにイイものでも、受け付けないのです。
お客さんの期待を少しだけ上回る。
一歩ではなく、半歩だけ先を行くのがポイントだと思います。

それ以外にも、店の信用もポイントになります。
例えば、ネット販売で「アマゾン」とか「楽天」といいますが、「アマゾン」や「楽天」がモノを販売しているわけではありません。
ネット上の場所を、いろいろな人に貸しているのです。
その人たちがネット上に店を開いて販売、アマゾンは在庫と配送を受け持っているわけです。

アマゾンは場貸しですが、評判の悪い店が多くなるとユーザーが離れて行きますからね。
そのためでしょうね、アマゾンはユーザーに店の評価をお願いしていますね。

 
■ネット通販だけの家電に対する解答として使えないか?
「アマゾン」も「楽天」も基本巨大です。
何でもある。
基本量販店ですね。

しかし、auが選んだのは「セレクト・ショップ」のオムニ・チャネルです。
ちょっと違いますね。

先日、メーカーのネット販売への危惧を書きました。
「商品を触れずに、買うことでも問題ないのか?」ということと「新しい家電を送出できるのか?」という疑問です。

そう、「セレクト・ショップ」を使うのはどうでしょうか?
auショップの数だと、十分な告知になると思います。

この”オムニ”チャネル。
アイディア次第では、もっといろいろな使い方ができると思います。

 
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