レポート

“バブル(泡)”が人生にもたらす幸福
ビアレッティ「ミルクフローサー」


スターバックスが鳥取県に進出しましたが、私の友達の中にはスターバックスを認めないのもいます。
理由は、バリスタが淹れてくれたラテ、カプチーノに比べると劣るというのです。
片やプロ中のプロのバリスタが淹れたのと、片やチェーン店ですからね。
そりゃ違いますよ。
■カプセル型エスプレッソマシンの泣き所
エスプレッソを淹れるには、コーヒー粉、そしてオープン規格のコーヒーポッド、メーカー毎に仕様が違うカプセルの3つがあります。

コーヒー粉から入れるのは、正直手間です。
そのため、コーヒー粉をある程度、詰めたコーヒーポッドが開発されました。
その次が、カプセルです。

コーヒー粉に対応するエスプレッソマシンは、家電メーカーが作ります。
日本でも有名なのは、デロンギ社。
しかし、不満がありますね。
手間がかかることと、コーヒー粉は保存し難いこと。

これを楽にするために生まれたのが、コーヒーポッドです。
日本では馴染みがない人も多いかも知れませんが、海外では割と使われています。

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筆者愛用の、ビアレッティ タジッシマ ホワイト。
カプセルの「トレノ」「ナポリ」がお気に入りだが、
今は、コーヒーポッド探索にハマっている。


その後に出てきたのが、カプセルです。
実はカプセル用のエスプレッソマシンを作るのは、豆屋さんです。
世界最大の豆屋は、ネスカフェをランナップしているネスレです。
確かにある程度味は限られてしまいますが、そのブレンドされた豆の味を的確に引き出しています。

その後、ネスレに対抗し、UCC他、有力な豆屋は自分のカプセルを開発、家電メーカーと手を組んだりして対抗しています。

そして今、全盛のカプセル型ですが、当然長所も短所もあります。

割と共通して上げられるのが、カプチーノを作る時に使うフォームドミルクを作るための「スチーマー」です。
ミルクですからね、豆とは違いますからね。

 
これがどうも使いにくい。
単純な言い方をすると、「連続して一定温度のスチーム」が出てくるだけでイイのですが、これがなかなか難しい。

実は、安定した良質のスチーム供給は中々難しい問題です。
スチームは掃除の時も使われますが、小型だと釜が小さいため、継続して十分なスチームが得られない時があります。

掃除時ほどではないですが、10℃前後のミルクを70℃近くまで連続して温めるわけですから、かなりの熱量が必要です。
カプセル型は、小型が一つの基本ですから、釜は小さいわけです。
エスプレッソの場合、抽出に必要なお湯は、少しで問題ないわけなのですが、小さい釜では豊富な蒸気を連続して出すのが難しい。
このため、カプセル型のコーヒーメーカーは、スチーマーが良くない場合が多いです。

愛用のビアレッティの「タジッシマ ホワイト」は、かなり頑張っていますが、スチーマーに関してはもう少し改良が欲しいと思っています。

 
■「香り」と「バブル」は嗜好品の命
コーヒーは嗜好品です。
人間がモノを好きになるのは、2パターンあると思います。
「好み」「嗜好」です。

「好み」は、服などに使いますね。
情報は、主に眼から入るわけです。

「嗜好」は、食品、飲みモノ、もしくは性的な好み(フェチシズム)に使われます。
情報は、「香り」「味」「触感」を通じて入ります。

人間生まれた時、眼がほとんど利きません。
利くのは臭覚。
「臭い」だそうです。

このため「香り」の記憶は深いです。

「香り」と「味」は密接な関係にあります。
風邪を引いて、鼻が利かない時、味も分からないのが典型例です。

 
「触感」も香りに似た所があります。
例えば、唇から舌にかけての感触は、理ではなくダイレクトに脳を刺激します。

 
そう嗜好の一番の特徴は、「理」ではなく、ダイレクトに個人個人の脳に働きかけるということです。
逆にいえば、十人十色。
よくこれが一番とかいう言い方をしますが、それに流される必要はありません。
自分が好きなモノが、その人の「嗜好」なのですから。
そして、好きなことに理由はありません。

 
嗜好の二つ目の特徴は、「香り」「触感」など、「失われやすいモノだ」ということです。
「永遠不滅」という言葉位、嗜好品に相応しくない言葉はないでしょう。
その瞬間でしかありませんが、「最高の瞬間」にする。
それが嗜好品です。

 
■フォームミルクのこだわり
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ビアレッティ
ミルクフローサー MK01


美味しいカプチーノは、どこで決まるかというと「泡」です。

言葉で書くと「細かく、均一な」泡です。
触感は「蕩けるような」と形容したい泡で、私はこの「泡」が好きなため、カプチーノを飲んでいる様な所があります。
その位、カプチーノの泡は美味しい。

 
IFAのレポートにも書きましたが、デロンギは、それを作り出せるエスプレッソマシンを開発しています。
が、このマシン、価格は10万円以上。

今回紹介するビアレッティ ミルクフローサー MK01は、それに似たフォームミルクを作り出します。
価格は、12,500円(税抜)。

 
■ビアレッティ ミルクフローサー MK01
ミルクフローサーは、2つの機能で作られます。
一つは、ミルクを撹拌、気泡を中に入れ、泡を作る機能。
もう一つは、ミルクを温める機能です。

01全体
ランプ

パイロットランプにより、「モーター」「ヒーター」どちらが、動いているかが分かる。


作業は簡単です。
ミルクフローサーに泡立て用のリングをセット。
ミルクを表示に沿って入れ、スィッチ・オン。

06中

自動で泡立てる場合、ミルクの量がポイントになる。初めて使う人は、メモするのも手!


1分半待つと、見事なフォームミルクの出来上がりです。

 
泡は細やかで、かつ均一。
触感も滑らかです。

04泡

左)「温め」×「泡立てリング」(通常のカプチーノ用)、かなりイイ泡
右)「常温」×「泡立てリング」、泡立ちにくい条件だと、少し泡に難あり


ただし、出来上がったら素早くカップに入れることが重要です。
そして、味わう。
泡は、時間と共にダメになります。

その瞬間、「幸福」の2文字

■ミルクフローサー MK01のできること
MK01は、「温め(通常のスィッチ・オン)」「常温(長押し3秒のスィッチ・オン)」の2つのモード。

そして、リングを2つ持ちます。
泡立て用のリングは、「気泡が入りやすくなっている形状」のものと、「撹拌だけの形状」のものの2つです。
そして、リングを使わないを入れると、3つあることになります。
つまり、4通りのミルクを作ることができます。
(常温、撹拌リング&リングなしでは全く泡立たないので、2組はなし)

07蓋 正式なカプチーノは前項のやり方で作ったフォームミルクですが、では他のモノは何に使えるのでしょうか?
実は、決まっていないのです。
日本でよく言われる「アイス×××」は、海外にはほとんどありません。

しかし「アイスカプチーノ」があってもイイではないでしょうか?
「嗜好品」ですから、セオリーはありません。
自分が飲んで美味しければ、それでイイのです。

また泡よりミルクが多い「温めモード」×「撹拌用のリング」では、ラテとカプチーノの間として使えます。
これも中々乙なものです。

 
■使いこなしは貴方次第
ミルクフローサー MK01のイイ所は、まだあります。
ミルクはすぐ変質して、イヤな臭いがします。

MK01は、ミルクを入れる部分が「フッ素加工」しています。

使い終わった後、軽く水でゆすぎます。
その後、水を入れ、装置を作動させます。
そうすると、ほとんどのミルクの残はとれます。

03洗い

水を入れて回すと、リングに牛乳が付かないのはGoodです。


後は、柔らかなスポンジで、軽く洗ってやればOKです。

 
私は嗜好品の道具は、二つ必要なことがあると考えています。
一つは、自分の好みを楽に再現できること。
もう一つは、自分の好みを試すことができること。

ミルクフローサー MK01のフォームミルクは、かなりのレベルです。
点数を付けると87点以上。
以上というのは、「自分の好みを試すことができるので」もっと高い点にできるということです。

MK01のフォームミルクは、かなりソフトな触感ですが、自分の好みから言うと、もうほんの少しばかりソフトの方が好みです。

例えばこれは、MK01はフルオートですが、途中でスィッチを切り温度の微調整することで可能です。

また牛乳を「成分無調整」ではなく、「成分調整」を使うなど、牛乳を選ぶことでもっと詰めることができます。(「成分調整牛乳」は脂肪分が少ないです。脂肪分が少ないと泡立ちが悪いため、通常は使いません。それを逆手に使います。)

 
モード、撹拌リングの違いも面白いですが、嗜好品ですからね。
あらゆる知識、アイディアを総動員して、自分の理想に肉薄するのが面白いし、楽しいです。

ビアレッティ ミルクフローサー MK01は簡単にまま使ってもイイ感じですが、簡単にいろいろ遊べるミルクフローサーです。

 
■テスト中のある出来事:日本の牛乳事情
先ほど、『これは牛乳を「成分無調整」ではなく、「成分調整」を使うなど、牛乳を選ぶことでもっと詰めることができます。』と書きました。

ところが、「常温」×「泡立てリング」で泡立たない、「成分無調整」で泡立たない牛乳もありました。
初めは、眼を疑いました。
多分、乳脂肪分の質が異なるのではないかと思いますが、データーがないので断言はできません。

5種類試して、1種類がそうでした。

基本的に、成分無調整の安価な牛乳という考えを持っていましたが、ちょっと考えを変えた方がイイかも知れません。
生ものですからね。
適切なモノも、不適切なモノもあるわけです。

改めて、素材選びの難しさを感じました。
ビアレッティ ミルクフローサー MK01は、今一度、日本の食事情を感じさせてくれた面白い家電です。

 
商品の詳しい情報は、ビアレッティのホームページにてご確認ください。
http://bialetti.jp/
 
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2015年5月5日

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