24時間活動量計を上手く使う。
“睡眠編” fitbitの体験イベントより
4月23日に開催されたfitbit Charge HRの発表会。
発表会の後に、種々の体験イベントがありました。
イベントですが、有用情報がギッシリ。
今回は、その中、”睡眠”のお話です。
■悪い奴ほどよく眠る
どこかで聞いたことがあると思いますが、「悪い奴ほどよく眠る」という言葉があります。
諺ではありません。
黒澤明監督の映画のタイトルです。
しかし悪事を盛んに行う連中を指したタイトルですが、言い得て妙ですね。
「よく眠る」
活力があり、悪事を何とも思っていないことが、分かります。
「睡眠」は健康に重要であることは、皆さんの認識あるようです。
■よい睡眠を取るために・・・、4つのポイント
講師は、ベストクリニックで睡眠外来を担当する菅原洋平氏。
話は、細かなことから始まりました。
よい睡眠を、取るためのノウハウです。
1つめは、「寝床に物を持ち込まない」ことだそうです。
環境が変わると寝られないことは、よくある話です。
これは脳が、いつも使うベッドの端のラインを「眠りのスタートライン」と見ているためだそうです。
スタートラインが不明確では厳しいわけです。
寝床に物を持ち込むということは、寝床で睡眠以外のことを行うと言うことです。
一度すると、脳は寝所は「睡眠以外のことをする」という認識が生まれ、スタートラインを通過しても、すぐには眠くならないそうです。
で、それがいつか不眠に結びつく。
そうしないためには、寝床でしていることを別の所でするのがイイそうです。
寝転んで読書は、ベッドではなく、ソファーで行う等です。
2つめは、睡眠効率です。
寝床にいた時間に対する、実際に眠っていた時間です。
つまり、脳に寝床は睡眠するところということを認識させるわけです。
これは別の言い方をすると、眠くないのにベッドに入らないということです。
これも寝床は、寝るところであるということを認識させる手です。
3つめは、睡眠開始時間でなく、起床時間を合わせると言うことです。
人間は起床後、必ず16時間後に眠くなります。
ここで寝ると睡眠時間は8時間ですから、理にかなっているといえば、その通りです。
これは逆な言い方をすると、起床時間がずれると、眠くなる時間がズレるというわけです。
寝を一定にするには、寝る時間より起きる時間を一定にした方が良いことがわかります。
4つめは、本睡眠の前に眠らないこと。
本睡眠とは1日で一番長い睡眠です。
この本睡眠の質が重要なのですが、質を良くする(深く眠る)には、睡眠圧(睡眠を欲する圧力。一度寝ると”O”になる。)を上げる必要があります。
本睡眠は、意識して上げるモノではありません。
眠らなければ勝手に高まります。
この4つは、いずれも睡眠を取るために必要なことです。
当たり前のことなのですが、我が身を振り返ってみると、余りキチンとできていない。
菅原氏の睡眠講義は、そうして始まりました。
■睡眠を把握するために:3つの生態リズム
睡眠を把握するためには、3つの生態リズムと睡眠パターンを知っておく必要があります。
3つの生態リズムというのは、「メラトニンリズム」「睡眠覚醒リズム」「深部体温リズム」。
聞き慣れない名前が出始めましたが、我慢してください。
メラトニンは、脳から分泌されるホルモンの1つです。
昼少なく、夜多いホルモンで、メラトニンが脈拍・体温・血圧・などを低下させることができ、睡眠の準備が出来たと体が認識し、睡眠に向かわせる作用があります。
朝日を浴びて規則正しく生活することで、メラトニンの分泌する時間や量が調整され、人の持つ体内時計の機能、生体リズムが調整されます。
光を浴びることが重要と言われるのは、このためです。
睡眠覚醒リズムというのは、別の言い方をすると眠気を催すリズムですね。
眠くなるのは、1日2回。
14時頃つまり昼寝と、4時です。
午前4時は寝ているという人もいるかも知れませんが、昔から「寝付けなかったが、夜明け前にウトウトし、」というような表現がありますからね。
最後の深部体温というのは、内臓の体温です。
通常の体温とは違います。
ピークは起床から11時間後。朝7時に起きると、18時がピークです。
逆に、こんな時にうだうだしていますと、生体リズムが整いません。
うまく行うことが必要です。
■睡眠を把握するために:睡眠のリズム
睡眠は、2種類に分類されます。
レム睡眠とノンレム睡眠です。
また、ノンレム睡眠は、4段階に分かれます。
大まかに分けると、ノンレムの第1、2段階は浅い眠り、第3、4段階は深い眠りと言われます。
深い眠りは、眠り始めに起きることが多いのですが、この時に成長ホルモンがでます。
ノンレム睡眠の深い眠りの時は、一番エネルギーを消費する臓器である脳が余りエネルギーを使いませんので、余剰エネルギーがあります。
これを使い、身体のメンテナンス(=疲労回復)を行うわけです。
その後、段々眠りは浅くなります。
そしてノンレム睡眠の浅い眠りとレム睡眠が交互にきます。
レム睡眠は、夢を見ている時と言われていますが、この時、脳の疲労回復をしていると言われています。
人間は、感情豊かです。
ただ、その感情に囚われていては、次に進めないことも多くあります。
そのためか、どうかはわかりませんが、時が経つにつれて感情的な記憶はどんどんなくなって行きます。
で、最終的には、いつでも使えるすっきりとした記憶になるわけです。
さて起床3時間前からコルチゾールという副腎皮質ホルモンが身体の中で増えてきます。
糖代謝をはじめ、タンパク代謝、脂質代謝、電解質の代謝、骨代謝、さらに免疫機構にも関与しており、生命維持に不可欠なホルモンです。
コルチゾールは、ストレス耐性を高めるホルモンという言い方もできますが、この手のホルモンは強いですからね。
過ぎたるは及ばざるが如し、多量に分泌されると大変です。
一般的に、コルチゾールは、起床時が一番濃度が高く、それから段々落ちて行きます。
生きると言うことは大変です。
コルチゾールの面白いところは、言葉でコントロールできると言うことです。
多分、「ストレス」にポイントがあるのだと思います。
言葉によるストレスが多いですからね。
そのサポートというわけです。
■4-6-11の法則
これらを総合したのが、「4-6-11の法則」です。
4、6、11は、すべて起床後の時間を示します。
まず起床後、4時間ですが、光を浴びることです。
より具体的に言うと、できる限り起床後1時間以内に、光を浴びることが望ましい。
とは言っても直射日光である必然性はありません。
窓から1m以内のレベルで問題ないです。
もし、起きられなければ、明るくした上で二度寝をするのもありだそうです。
次、起床後、6時間に1回目の眠気が襲ってきます。
朝7時に起きると、午後1時。
要するに、昼寝タイムです。
しかし、現代社会、シェスタ(午睡)は無理ですからね。
眠気が強くなる前に、リラックスして椅子に腰掛け、眼を閉じましょう。
時間は30分以内。
本格的に寝てはダメ。
睡魔の出鼻をくじく感じです。
11時間後。朝7時に起きた場合は、午後6時。
身体を動かす時です。
残業の人は、一息ついて姿勢を正しましょう。
ポイントは、体温を上げて、眠気を吹き飛ばすと言うわけです。
帰りに少し歩くのでも問題ないです。
さて、最後に、就寝前です。
起きる時間を決め、その時間を唱えるのです。
要するに、脳に時間を言葉でインプット。
それにより、起きる3時間前からコルチゾール濃度を上げさせるのです。
菅原氏の弁に寄れば、7時起床なら7時に目覚まし、スヌーズ機能は必要ないそうです。
また照明の問題もあります。
一般家庭だと、まだいいのですが、「こち亀」で誘蛾灯の様と表現されたコンビニはスゴいです。また、TV、PC、スマホも明るいですね。
これをずっと見ていますと、脳が勘違いしますからね。
大変です。
睡眠環境の灯りは、0.3ルクス以下(住居環境が300ルクス。)と言われていますので、正直真っ暗です。
しかし暗いと、全てが適正に働きます。
この照明も、もう一度見直すことをお勧めします。
■寝付きを良くするために
一番のポイントは、頭を冷やすことです。
冷静になるというわけではなく、なるべく考えない(=脳を使わない)と言うわけです。
寝付きには、深い眠りに入りやすい。
その状態を作り出してやるのです。
頭寒足熱も、その1つです。
それも含め、5つの快眠法を教えて頂きました。
■睡眠チャートのポイント
さて、fitbit Charge HRなど24時間の活動量計の場合、睡眠はfitbit独自のチャートで示されます。
レム睡眠、ノンレム睡眠ではなく、「(深い)眠りの状態(青色)」「落ち着きのない(浅い)眠りの状態(緑色)」「目覚めた状態(赤色)」(()は筆者注)に分けて表示されます。
ポイントは、4つ。
1-2は、成長ホルモンによる疲労回復です。深い睡眠がポイントです。
3は、レム睡眠、浅い睡眠です。
4は、起床時間ですね。
逆に、良い方に持って行くには、起床時間は一定にすること。
そして体温の扱いです。
そのためには、運動、お風呂のタイミングにも、ちょっと気を付けましょう。
どうですか、余り使わなかった睡眠データーが面白くなってきませんか?
※4月23日に行われたfitbit体験セミナー 講師:菅原洋平氏の回を筆者が再構成しました。
2015年4月29日