白モノ家電と黒モノ家電の違い!
フュージョン(融合)家電の時代は来るのか?
大学時代、モルタル二階建てのアパートに住んでいた時代のことです。
1980年の前半ですから、全ての家にエアコンが入る前の時代です。
6畳一間に台所とトイレが付いた間取り。
その頃の東京は、まだ外風呂(銭湯)が元気な時代で、面倒くさがり屋の私は、風呂屋から1分半に住むことにしていました。
銭湯は多くの場合、コインランドリーを併設していますので、ここで洗濯物は片付けてしまおうというわけです。
■一人暮らし時代の家電
その頃、持っていた家電は、
ワープロ、TV、ステレオコンポ、留守録付き電話、冷蔵庫、炊飯器、オーブントースター、エアコン、コタツ、掃除機ですかね。
ビデオが普及途上、PCは出たばっかりですから、高くて買えない時代した。
しかし、これにベット、ビニールロッカーと机、本棚を置くと足の踏み場は多いとは言えません。
TV、ステレオは本棚収納です。
スピーカーはデンオン(現デノン)のブックシェルフ型でしたから、丁度イイやと自虐的に言っていました。
今みたいに、TVは大きくなかったですからね。
14インチです。
■今、一人暮らしをするとすると必要な家電は?
まず、電子機器として欠かせないのが
ノートPC、TV、ビデオ、スマホ。
ステレオは、独立システムではなく、TV連動型にするでしょう。
衣類メンテ(衣)は、風呂屋の横のランドリーがほぼ絶滅ですので、
洗濯乾燥機、アイロン。
調理家電(食)は
冷蔵庫、炊飯器、オーブンレンジ、あとエスプレッソマシン。
環境家電(住)は
エアコン、空気清浄機、掃除機。
これにベッド、机、椅子、ミニクローゼット、ブックシェルフ兼用TV台を置くことになるでしょうね。
■スペース・ユーティリティーからすると
この中で設置面積を必要とするのは、冷蔵庫、洗濯機、そしてTVです。
TVは、薄くなったとは言え、大きいですからね。
ということで、TVと冷蔵庫の融合を真剣に考える時期が来たのかも知れません。
冷蔵庫の最大の特徴は、箱形ということです。
つまり、縦型の大きな、凹凸のない長方形があるというわけです。
ちょっとアメリカ的なパブは、ここにポスターを貼ったわけです。
つまり、サイネージ(看板)として用いたわけです。
2013年のIFAでも展示されていたあれです。
これにご執心なのが、ハイアールですね。
ハイアールは、今いろいろな制約を取り外した商品を開発中で、先日のR&Dセンター発表会でも、透明洗濯機と共に液晶パネル付きTVが展示されていました。
■横に広い冷蔵庫はどうか?
しかし、TVは迫力ある画面を追求した結果、大画面となりました。
1990年の松下電器(現パナソニック)の「画王」は、私たちの年代ではほとんどの人がCMを覚えているはずです。
「画王、がおー、がおー、画王!」という、商品名連呼型のCMで、津川雅彦が画王国の王様に扮し、家臣一同が「画王」と歌いあげるわけです。
これで、29〜32型。
液晶にし、アスペクト比(縦横比)を変更、より横長にし、ハイビジョンにし、今の42〜48インチ標準ができたわけです。
追求したのは、「迫力」。
エンタテイメント性です。
言い方を変えると、映像の雄「映画」との融合させたわけです。
そのため、横に、こんなに大きくなったわけです。
逆に、冷蔵庫は収納性です。
ミニマムな設置面積で、最大に詰め込めること。
このため、各社、幅と内容積をうたい文句にします。
日本人の身長が高くなったのも、有利に働きます。
高くすると容積があがりますので。
逆にここに目を付けたのが、パナソニックのJコンセプト。
50代以上の女性の平均身長は、今の若い女性とかなり違いますので、そこに合わせ込んだ冷蔵庫を作ったわけです。
話を元に戻します。
要するに、TVは必然性があって横長になり、冷蔵庫は必然があって縦長になったわけです。
これを融合させるということは、どちらかが犠牲になります。
私は、冷蔵庫の形を変える方が、合理的なのではと思っています。
理由は、TVが横長なのは、人間の視野に基づいているからです。
故にTVの方を優先させるわけです。
横長の冷蔵庫なわけです。
独身なので、余り内容量は必要でないという前提に立っています。
■リビングにおける冷蔵庫の意味
自炊する時、一番楽だったのは、焼き肉ですね。
ご近所から、ホットプレートを借りるわけです。
あと、野菜を少し刻むと、全てテーブルの上で片付きますから。
TVで野球でも見ながら、ビールを片手に。
そして時々焼き物をし食べる。
冷蔵庫は、そんな時リビングにありたい。
すぐ追加の飲み物、食材が出せます。
私は酒飲みですから、この横型だと横に3つの扉を付けますね。
1つは冷蔵用、2つは冷凍用、そして3つはクーラーです。
今、お酒で最も高さがある瓶は一升瓶です。
中身は言わずと知れた日本酒なのですが、海外で「Sake」と高い評価を受けているのは、基本「吟醸系」のお酒です。
奇跡の香りと言っても過言ではない吟醸香を纏う、このお酒はワインよりやや低めの8℃位で保管しなければ変質してしまいます。
そのためのクーラーなのです。
ワイン、ビールと上手く組合せ保管できるなら、なおさらです。
男の自炊で、料理3種類というのは、まずないですからね。
リビングにあっても少しも構いません。
■技術的には進んでいるが、商品として融合は進んでいない理由は?
ネットに接続して使う様に白モノ家電がなってきており、黒モノ家電、白モノ家電の融合も、「技術的には」ドンドン進んでいます。
が、実際そのような商品は、ほとんどありません。
理由は簡単です。
黒モノ家電は、基本クリエイティブ系なのです。
体をリラックスさせ、人間の頭をフル回転させる仕様になっています。
白モノ家電は、逆ですね。
人間の肉体労働をサポートしてきたわけです。
古い言葉でいえば、ガテン系なわけです。
しかし、現在、都市部の住宅事情は、それを分けることが許されなくなりつつあります。
ベッドサイドに洗濯機という時代が来るかも知れません。
(IFA2014で、サムソンはクローゼットの下に洗濯乾燥機を持ってくる大胆な展示をしており、感心しました)
その要望を満たすためには、黒モノと白モノの融合。
白モノと家具の融合は、ある話だと思います。
となると未発掘分野が、まだまだあるわけでもあります!
ハイアールのR&Dセンターの写真を整理しながら、こう考えました。
2015年3月28日