新製品

シャープ、ヘルシオお茶PRESSO
より美味しくなった2代目


シャープは、独特の商品を世に問うメーカーです。
その商品の中でも一際輝いているのが、「ヘルシオお茶PRESSO」。
昨年4月に発売されて以降、色々な所で見かけるシャープのヒット商品です。
その二代目の発表会の様子をレポートします。
■商品で勝負するシャープ
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シャープの第一声は、商品の考え方。
発表会資料より。

唐突ですが。「メーカーは商品でしか、自分を語ることができない。」
これが私の考え方です。
経営者の言葉より、販売している商品は重要です。

今回の発表会で、シャープが一番最初に話を始めたのは、健康・環境商品の考え方でした。

シャープならではの「独自技術」、自社でなく第三者機関による「効果効能の実証」、そして新しい需要を創造できる「独自の視点」でのマーケティングです。

「言うは易く、行うは難し。」という諺がありますが、これを守った商品開発は非常に難しい。
効果の実証1つでも、お金も掛かりますし、必ずしも思った通りの結果が出るとは限らないからです。

シャープは、プラズマクラスターの効果を実に丹念に確認しています。
医療、つまりアカデミックにも協力してもらっているのですが、これもそう簡単にできることではありません。

更に、新しい市場の創造は難しい。

が、シャープの昨年度は、かなりスゴかったです。
5月のコードレスサイクロンFREED、10月のメガフリーザー冷蔵庫、11月の天井設置型プラズマクラスターイオン発生機、など枚挙にいとまがありません。

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二代目 お茶PRESSOのラインナップ
TE-TS56V(グリーン系、レッド系)、TE-GS10B(グリーン系、ブラウン系)


その中でも光っているのが、4月に発表された「ヘルシオお茶PRESSO」です。
フード・アクション・ニッポン・アワード2014の「研究開発・新技術部門」最優秀賞を受賞した逸品。
その二代目が、今回発表された新製品です。

 
■初代好評の理由
初代モデルは、当初予想を上回り、色々な所で好評に得たそうですが、シャープの購入者調査によると、購入ポイントのベスト3は次の通りです。

1.栄養価の高いお茶が作れるから(75%)
2.本格的なお茶が飲めそうだから(51%)
3.茶殻の処理が不要だから(38%)

20150325 SH ヘルシオお茶PRESSO 資料_007 そして購入者は、50代以上の2人暮らしが多い。

要するに、今まで急須でお茶を淹れていた人が、本格的な抹茶を味わいたくなったのをイメージして頂ければ大きくは誤りがないと思います。

面白いのは企業が来客へのおもてなし用、または従業員用に買ったという話です。
給湯室は、多くのビルにありますが、生ゴミの処理に困ることが往々にしてありますからね。
茶殻の処理が不要というのは、割とポイントが高いかも知れません。

 
■二代目の改良ポイント 〜1.粒径〜
これだけの評価を受けている1代目から1年。
二代目の登場となるわけですが、やはり改良ポイントは、お茶好きの人からの指摘だったそうです。

一つ目は、茶葉を粒度です。
抹茶は、粒径:5μm。初代は20μm。

抹茶を飲みつけない人だと、粒径:20μmでも十分滑らかと私は評しました。
しかし、お茶PRESSOの評判が高いと、当然お茶好きは手を出しますからね。
そうすると、抹茶と滑らかさが違うことはすぐ分かります。

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左)二代目の挽き臼、中央に「たまり」部がある、右)初代の挽き臼


シャープは、まずここに対応しました。
挽き臼の中央部に、粉末を滞留させる「ふくみ」を持たせました。
これによって、より細かく挽けるわけです。

二代目の粒径は、15〜20μm。
抹茶の石臼には及びませんが、より滑らかなのどごしになっています。

 
■二代目の改良ポイント 〜2.抽出温度〜
石田三成と豊臣秀吉の出会いのエピソードを、ご存じでしょうか?
喉が渇いた秀吉が、寺で茶を所望しました。
その時、応対したのが、寺の小坊主。
のちの三成です。

一杯目は、ややヌルく、たっぷり目に。
二杯目は、やや熱く、量を減します。
三杯目は、熱く、量も少ない。
この喉の渇きを止める、三成の機知に富んだ応対に、小坊主は秀吉に召し抱えられ、後に、関ヶ原で西軍を率いるまでの武将になるわけです・・・。

 
お茶は抽出温度により、2つの要素が変わります。
味と香りです。

茶の味は、大きく2つの成分、旨み成分のアミノ酸と苦み成分のカテキンのバランスにより決まると言えます。
アミノ成分は低めの60〜80℃位の低めの温度で、カテキンは70〜100℃位の高めの温度で抽出されます。
つまり、どちらかというと、低い温度のお茶の方が、美味いです。

香りもそうですね。
茶釜で湯が「ガバンガバン」と沸きますと、水を差し、温度をやや低めにします。
そうでないと香りが一気に飛んでしまいますので。

嗜好品に共通するのは「香り」です。

例えば、最上級の日本酒は、大吟醸です。
作るのは大変ですが、できたお酒は、信じられない豊かな香り、「吟醸香」をまといます。
この香りを楽しみ、そして味を楽しむのが、美味しい日本酒の楽しみ方です。

お茶を心底楽しむには、まず香りを楽しむわけですから、高い温度での抽出は野暮ってものです。

20150325 SH ヘルシオお茶PRESSO 資料_010-5 シャープは、100℃にして一度沸騰させた湯を、70℃にして湯冷ましして点てる機能を設けました。
沸騰させるのは、カルキを完全に飛ばすためです。
湯ざましの70℃のお湯で入れたお茶は、実に美味しい。

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左)初代、右)二代目のコンパネ。「ねるめ(湯ざまし)」が付け加えられている


 
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湯ざましは沸騰した100℃の
お湯を、強制冷却し行う。

■70℃に対するちょっとした想い
70℃というと、私はエスプレッソとカプチーノを思い出します。
この2つは、68℃が飲む時のベスト温度と言います。
エスプレッソマシンは、その様にセットされています。
エスプレッソ、カプチーノ共に、その美味しさと共に、がぶっと飲めるのが特徴です。
しかも香り豊か!

70℃前後は、人間に取って、香りを楽しむ嗜好品に取って、何か意味のある温度なのかも知れません。

 
■そのままの姿勢で2杯
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左)初代:容量 420ml
右)二代目:容量 560ml

単独で見た場合分かり難いですが、二代目は初代機より一回り大きいです。
初代はたっぷり三杯だったのが、二代目はたっぷり四杯飲めます。

これは喫茶にとって重要なことです。

席に着いたまま、何度お替わりできるのかが決まります。
冒頭、二人で飲むと書きました。
それから考えると、四杯だと、二人でゆっくり二杯。
三十分程度、語らいの時を持つことができます。

三杯と半端ですが、四杯だとぴったり収まるわけです。

 
■海外にも輸出
初代と違うのは製品としてだけではありません。
海外輸出しようというわけです。

イギリスの紅茶は有名ですが、お茶は全世界で静かなブームです。
理由は、全世界的にも健康志向だからです。

昔、本多さんの「アラビア遊牧民」だったか、NHKの「未来への遺産」のルポでしたか、「砂漠での肥満は全員から羨ましがられる」ということが書いてありました。
砂漠では、痩せた体が当たり前で、肥満できるのは、「自分で体を動かさない」。つまり富の象徴となるわけです。

ところが現在はグローバル。
肥満は富の象徴から、ファースト・フードを食べる貧乏人の象徴になりました。
意地悪く言うと、欧米の価値観が、経済策のグローバル化で、各国に押しつけられた結果、独自の文化を潰してしまったという言い方もできます。

グローバル時代と、それまでの違いは、移動です。
そのエリアから逃げ出せるのがグローバル時代の特徴です。
つまり地に根ざした文化が、どんどん希薄になるわけです。

そのアメリカで流行っているのは楽な健康です。
「フレッシュ・ジュース」もそうですし、「和食」もそうです。

で、「お茶」もその一つということです。

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アメリカでも、いろいろな人がお茶に興味を持っている


 
現在、アメリカは日本が輸出するお茶の半分を消費しています。
シャープは、お茶PRESSOをアメリカに輸出しようというわけです。

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左)Tea-Ceréと、右)お茶Presso


その時の名前は、茶道を踏まえ、「Tea-Ceré(ティーセレ)」(Tea Ceremony:お茶会)。
不思議の国のアリスにお茶会のシーンキチガイじみたお茶の会。有名なキチガイ帽子屋(マッド・ハッター)が登場する。がありますが、こちらは「Tea-Party」です。
作法を踏まえた、お茶の儀式。
茶の席は、身分の上下なく自由に心を通わせるという意味がありましたが、外人から見ると何とも奇妙に見えますからね。
その意味で、セレモニーなのでしょうね。

 
■質感の向上は嬉しい!
お茶を嗜好品とした時、その道具は実用品であり、芸術品です。
日本は芸術のための芸術品は、数少ない。
むしろ、実用品を芸術品にまで高める民族性です。

これを反映した茶道具は、すごいです。
例えば、茶碗でも、「一楽、二萩、三唐津」です。
これが茶碗に適した三代の瀬戸物なのですが、共通は土が剥き出しになっていないことです。
水を濾すとまで言われる備前焼きだと、茶の成分が薄くなりますので。
日本人の智恵ですね。

それはさておき、茶道具は、安いにせよ、高いにせよ、好きな人はこだわります。
一番イイのは、茶が好きな人が、長年使ってきた道具ですね。
その人の美意識、個性と、愛着が感じられます。

しかし少なくとも、初代のお茶Pressoには、それが感じられません。
私にそれは寂しいことと感じられました。

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左)二代目の撹拌部、右)初代の撹拌部
茶器に似せただけではあるが、雰囲気が全然違う。


二代目は、少しですが質感が上がっています。
素材は、成形品なので変わらないのでしょうが、雰囲気がよくなりました。
ちょっとした変更ですが、かなり嬉しいです。

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左)初代 帯電により挽いた茶粉がケースに貼り付く、
右)二代目 帯電防止剤を練り込むことにより、貼り付きを防止


それ以外にも、ありとあらゆる所が見直されたとお考えください。
イイ感じです。

 
■健康食品としてのお茶
当初から、お茶が薬の効果を持っていることは知られていました。
シャープは、抹茶の使い方として、飲むだけでなく、食べることも推奨しています。
レシピ集も作る力の入れようです。

この4月から、食品への「機能性表示」が解禁されますが、お茶はスゴいでしょうね。
粉末にして、全部摂取しようというのですから、その意味でも注目を集めることと思います。

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食事も含めてお茶づくしができます


■第一印象
初代に比べ、全てが良くなっています。
正当な進化を遂げた製品といえます。

中でも、香り、味とも、よくなる「湯ざまし機能」は秀逸。
今回のランナップでは、「湯ざまし機能」ありのTE-TS56Vと、なしのTE-GS10Bがラインナップされるが、価格差を考えると、TE-TS56Vをお勧めしたい。

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左)TE-TS56V:湯さまし機能付き、容量 560ml、市場想定売価:28,000円(税抜)
右)TE-GS10B:湯さまし機能なし、容量 420ml、市場想定売価:25,000円(税抜)


ただ70℃だけに冷めやすくのも事実です。
人の動きを考えた、おもてなしの心も必要です。

 
商品のより詳しい情報は、シャープのホームページにてご確認ください。
http://www.sharp.co.jp/ocha/
 
■関連記事 レポート「シャープ「茶の湯」再発見、ヘルシオお茶PRESSO

2015年3月26日

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