ハイアール、R&Dセンターを、熊谷にオープン
3月19日に、ハイアールアジアは、埼玉県熊谷市にR&Dの新拠点、「ハイアールアジアR&D」を設立し、開所式が行われました。
その様子をレポートします。
■タクシーで到着すると・・・
東京駅から熊谷駅まで、新幹線で39分。
そこからクルマで5分足らずの所に、ハイアールアジアR&D(以下R&D)の建物はあります。
熊谷駅に着く数分前に、左手に見える巨大な建物です。
タクシーで、R&Dに着いた私は、まずビックリ。
大きさでビックリしたのではありません。
守衛所もなく、玄関までタクシーで乗り付けられることにビックリしたのです。
R&Dセンターは、技術の総本山ですからね。
高い塀で囲み、入り口を限定。そこを電子チェックと人の二重チェックを掛けるのが常識です。
ところが、その様な雰囲気がない。
オープン極まりないスタイルなのです。
オープン・イノベーション新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革のこと。産学協同はこの一つの例。とよく言いますが、それを目の前に提示されたような気持ちになりました。
■日本から世界に技術発信を
R&Dの入り口は、小さなホール並みのスペースがあり、式はそこで始まりました。
冒頭、ハイアールアジア R&D(株)の代表取締役会長兼CEOの伊藤嘉明 氏の挨拶があったのですが、それを聞いて、またビックリしました。
今あるハイアールのR&Dセンターの中で最大規模というのです。
ハイアールは、中国青島が本社です。
当然ここには、R&Dセンターがあります。
他に米国、欧州ドイツにもあります。
日本でも、京都に洗濯機をメインとしたR&Dがあります。
順序からいうと、日本で2番目です。
1つの国に2つのR&Dセンターも珍しいのですが、しかも最大規模だというのです。これも余り例がありません。
もともとハイアールアジアR&Dの多くのメンバーは元三洋社員と聞いています。
三洋が倒産した時、ハイアールは冷蔵庫、洗濯機の技術部門を買ったわけですが、よくあるのは技術の移植が済んだら、捨てられるという構図です。
このように場所とお金を出すのは、余り例がありません。
よく「日本は技術立国にならなくては」という話を聞きますが、このような大規模な例は余りないと思います。
延べ床面積:1万5千m2、土地代、設備代を含む総工費:約70億円。
スゴいモノです。
■白モノ、黒モノの境を取り除いて
伊藤氏の発表した壇上に、冷蔵庫、洗濯機も据えられていました。
実はこれも珍しい。
私は「メーカーは、製品で語るべき」が信条ですので、違和感を感じないのですが、実は製品発表会以外の発表で、製品を見るのは稀です。
今回ある冷蔵庫と洗濯機は、開発中のモノです。
冷蔵庫はディスプレイ付き、洗濯機はスケルトン。
伊藤氏は言います。
「IOT(Internet of things。現在流行中のビジネス用語。)により、今まであった白モノ冷蔵庫、洗濯機のような家事をこなす家電、黒モノTV、PC、スマホのようなクリエーティブやエンターテイメントに長けた家電の境がなくなります。
例えば、TV付き冷蔵庫でTVを見る時代が来るかも知れません。
今、冷蔵庫を土台にいいましたが、冷蔵庫付きTVという見方も可能です。
このように、境目がない商品です。
それもここで開発します。」
新しいR&Dセンターは、単なる技術開発だけでなく、新しい創造力をも請け負うわけです。
■熊谷と一緒に歩む
伊藤氏の後を受け、壇上に立ったのは、時振玉(じ しんぎょく)氏、取締役社長です。
彼の話で印象的だったのは、「グローバル貢献と地域貢献をするための、オープン・イノベーション」という言葉です。
昔の日本では当たり前のことだったのですが、グローバルを叫んだ会社は、よほど力がないと地域貢献しなくなりました。
その場に事業所があると当然、その地の人を雇いますから経済的に潤うのですが、理想的な地域貢献は、イイ人材を輩出できる素地を整えることです。
活気があり、人的交流が盛ん、文化的練度が高いことが理想なのですが、全部やると会社が潰れるほどお金が掛かります。
ハイアールは、地元の球団、BCリーグ「武蔵ヒートベアーズ」のスポンサーを務めます。
また当日、社外の人と一緒にアイデアソンあるテーマに添った、ブレインストーミング方式のアイディア出しを行っていました。
さらにいうと、パートナーが必要な時は、なるべく地元の企業一緒にということでした。
勝つためには、天地人と言われます。時(天)、地のり(地)、人材&地元の後押し(人)が大切なわけです。
隙なく実行しているなぁと感じました。
また「新しい酒は、新しい皮袋に」という言い方があります。
この新しいR&Dセンターは、まさに新しい革袋。
新しい酒(家電)を作るための、容器としては十分。
これからの、ハイアール、アクア(AQUA)ブランドに期待です。
■おまけ プレスツアー写真
式が終わった後、プレスツアーに参加しました。
余り見ることのない写真を数点。
お楽しみください。
まずは振動試験器。輸送時の揺れを再現し、輸送中にネジなどの緩み、その他のトラブルが起こらないか確認します。
落下試験器。JISで決められた高さから、指定床へ落下させ、問題がないことを確認します。
次は、騒音関係。
無響室、半無響室で、モーター音などを測定。五月蠅くないことを確認します。
より詳しい情報は、ハイアールアジアのホームページにてご確認ください。
http://haier.co.jp/
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2015年3月20日